がらくた処分場

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星と占いと四番街の迷い猫【後日談③】(原題/「セクサロイド? お前が?」 「そうじゃ、おかしいか?」)



【後日談③】

(その後の四番街)


ロクロー誕生からおよそ5年後、メンバーが住処としていた廃ビルは老朽化により危険が増したため転居を要する事となった。

とはいえその先は、元の廃ビルから数百メートルの位置にある別の建物。

築年数は大きく違わないが、造りがシンプルであったため暫くは使用に耐えると見込み新居とした。


ただ、そのタイミングでジロー・花子夫妻とロクローの一家は更に別の居を探し、他の皆とは別れて暮らす事となった。

彼らが見つけた元は商店と思しき小さな愛の巣は、皆が暮らす建物から僅か数軒隣りだ。

それでも百合子は花子と離れる事を随分と寂しがっていた。


それから間もなく、サブローは勤める事となった建設会社の寮に入る事となり、四番街を後にする。

ノーラは百合子に対して「サブローについていかなくて良いのか」と散々けしかけたが、不貞腐れた彼女は「白馬の王子様を探す」と言って四番街に残った。

しかしそれから3年程をかけても遂に王子様は現れず、週末の度に四番街に帰って来ていたサブローに「いい加減諦めろ」と諭されようやく言う事をきく。

翌年、二人も結ばれ結局四番街のごく近所に居を構える事となった。


タローは念願だった安価なパワードスーツ型ロボットの開発責任者となる。

ジローとサブローは後に、それを現場で試用するオペレーターとして活躍する事となるのだ。


ゴローはノーラに様々な物語を聞かされた事に影響されてか、小説家を志すようになった。

基本的には四番街の新居を拠点としているが、時に数ヶ月も帰って来ない事もある。

青年となっても街の年上女性から好かれる性質は変わっておらず、彼女達から『静かに執筆できる環境』を与えられているようだ。


そしてジローの一家が別に暮らすようになった頃から、四番街にはもうひとつの変化が起こっていた。

ノーラという有名人を抱え、地区としても名を知られるようになったそこには各地から孤児達が集まってくるようになったのだ。

新居は元はホテルだったと思われ、部屋数は多い。

年に数名から10名ほども頭数を増やしてゆくメンバーも、暫くは無理なく受け入れられた。


しかしそれもさすがに限度がある、しかも新たに加わる者の多くは10歳にも満たない児童だ。

時には幼児という呼ぶのが相応しい年齢の者を抱え込む事もあり、明らかに大人の手が足りない状況となってゆく。


だが連続三期目を務める縦浜市長は、それを捨て置かなかった。

四番街にあった適度な大きさの建物を補強・改築し、市営の孤児院を構えたのだ。

それはノーラが地球を救ってから、およそ10年が経過した頃の事だった。


無論、公営の施設である以上は施設長や職員の多くは市から派遣される。

ただその内で幼い子供達に接する保育士のリーダーには、元よりそのコミュニティで親しまれている二人が適任と判断された──


………



「──はいはい! みんな並んで座るよー! 一番遅い子は誰かなー!?」


二十代後半となった『シロ先生』は、温厚で子供達の人気者。

正確には子供達からだけではなく、同僚にあたる歳の近い女性保育士の間でも密かな人気がある。

しかし誰も彼を射止めようとする者はいない、それは常にシロ先生の傍には『10才以上も歳が離れて見えるパートナー』がいるからだ。


「ふふふ……儂の目は誤魔化せんぞ! 一番遅かったのは小サブじゃ!」

「小サブじゃねーし! 俺の名前はサン太だし!」

「いい子にしておらぬと、また百合子に言いつけるぞ?」


孤児院は地域の家庭向けの託児所としても使われている。

これも市長が推進する失業対策のひとつだ。

午後にはボランティアとしてロクローもよく手伝いに訪れていた。


「じゃあ、今日もノーラ先生のお話を始めるよー。はい、昨日はどこまでだったっけ?」

「『夢だけど夢じゃなかった!』までー!!」

「じゃあノーラ、よろしく」

「こほん、それでは皆が静かになったら始めようかの──?」


………



シロとノーラは孤児院に併設された居住スペースで二人暮らしをしている。

ただの持ち主とロボットのような関係とも、普通の恋人や夫婦という存在とも違う、特別な二人だけの絆。

無論、互いを愛し共に生きる事を望んでいるのは確かだが、それは家族愛や男女間の愛情を内包しつつも通常のそれとは異なる。


「──おやすみ、ノーラ」

「うむ、おやすみ」


二人がいくら身体を重ねても、彼らの間に子を授かる事は無い。

時と共に歳をとってゆくシロと、いつまでも16歳の少女をモデルとしたままのノーラ。


「……シロ、寝たか?」


だがそれこそが、あの日ノーラが夢見た想い。


「愛しておるよ、シロ──」


ロボットでありながら家族を得て、忘れるのではなく『それでもいい』と認め合い共に生きてゆく。

互いが救いあい、手にした幸せの形なのだ。



【後日談③おわり】



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テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

  1. 2000/01/01(土) 00:00:00|
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