がらくた処分場

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星と占いと四番街の迷い猫【後日談②】(原題/「セクサロイド? お前が?」 「そうじゃ、おかしいか?」)



【後日談②】

(本編から二年後)


……………
………


…商店街入り口、占いカウンター


「──そろそろ今日は店じまいとするかの」


占いのカウンターは、最初を思えば幾分凝った作りになった。

ノーラが四番街に戻った直後はまさに休む間もない盛況ぶりで、代金や釣り銭の出し入れなどを含めできるだけ手早く効率的にこなす必要があったからだ。

さほど高いものではないがカウンターのテーブルも新調され、鍵のかかる引き出しを備えている。


「ユーリ、お疲れ様じゃったな」

「なんのなんの」


今日の占い助手は百合子一人だった。

普段はよく花子かゴローと共に助手を務める彼女だが、自身が「今日は一人でいい」と名乗り出たのだ。

もちろんそこには目的があった。


「ノーラ、ところで……えへへ」

「わかっておるよ」


ノーラは引き出しから幾らかの金を取り出し、百合子に渡す。

決して高い額では無いが、百合子の日当というわけだ。


「何か欲しいものでもあるのかの?」

「んー、ちょっとね」


今日は月曜日。

毎週木曜は店を休む事にしているが、百合子は火曜・水曜と続けて今日と同じく一人で助手を務めると宣言している。

三日分の日当を合わせれば、まずまずの服や靴でも買えるだろう。


二人は慣れた順序でカウンターを片付け、廃ビルへと帰る。

百合子はその途中、仕事の間は邪魔にならないようゴムで束ねていた長い髪を解き、ふう……と息をついた。


……………
………


…木曜、廃ビル1Fホール


「──ちょっとサブ! なんで盗み食いとかしてるわけ!? この野菜レトルトは今日の夕食に使うつもりだったのよ!」

「うるせー! なんとなくご飯にかけて食いたくなったんだ、現場仕事するにはシリアルなんかじゃ腹が保たねーんだよ!」

「ジロ兄ちゃんはシリアルだけで済ませてるんだよ! あんた、燃費悪過ぎ!」


サブローと百合子は相変わらず、あの日ノーラが願った通り『仲良く喧嘩』している。

それ以上でも、それ以下でもない仲だ。


「んじゃ、行ってくる!」

「こら! 逃げるな! まだ話は終わってないんだから!」

「晩メシ期待してるぜー!」

「あんたの分なんか作るもんか! 帰ってくんなっ!」


無理もないが、百合子は非常に機嫌が悪い。

シロとゴロー、ノーラが宥めるもすぐには直りそうもない。


サブローはここのところ、こうしてジローと共に日雇い仕事に出る事が多くなった。

シロも時に呼ばれるが、彼は現在いつかのタローほどではないにせよ勉学にも励んでいる。

特にはっきりした目標があるわけではないが、ノーラという家庭教師がいる事を活かさない手は無い。


「あー、もう腹立つ! 出掛けてくる!」


百合子は腹の虫も治まらぬまま、上着を手に引っ掛けてホールの玄関へと向かった。


「ユーリ、どこへ行くのじゃ? 買い出しなら荷物持ちに付き合うが」

「一人でいい! 王子様探しに行くんだから! もう、サブなんか知るかっ!」


悪態を吐きつつ去る百合子、残る者達は『誰も今、サブローの事など訊いていないのに』と苦笑いした。


………


…ハンドメイドショップ


「──うーん、お嬢ちゃん……前も言ったけど、これを直すなら新しいのが幾つも買えるよ?」


手作りのアクセサリーやインテリア小物などを販売するショップ、百合子から修理の依頼品を渡された主人は念を押すように言った。


「いいんです、直して下さい」

「ふむ……留め具だけを付け替えるのは手間がかさむ、台座ごと変えた方が安く済むからそれでいいかい?」

「……できる限りそのままがいいです」


軽金属の溶接は難しい。

かといって接着剤などで簡易に処置したのでは、じきにまた外れてしまうだろう。


「わかった、やってみるよ。よほど大事なものなんだね」

「別に、大事とかじゃないです!」


主人は「サイズが合う在庫があるかな」と呟き、棚からバレッタのパーツを探し始めた。



【後日談②おわり】



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テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

  1. 2000/01/01(土) 00:00:00|
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