がらくた処分場

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星と占いと四番街の迷い猫【前後日談①】(原題/「セクサロイド? お前が?」 「そうじゃ、おかしいか?」)



【後日談①】

(本編から数ヵ月後)


……………
………


…廃ビル、1Fホール


「──なあ、俺の番は!?」

「あとで! せっかく今スヤスヤ寝てるんだからっ!」

「チョーウケルー」


百合子はまだ首も据わらないロクローを抱き、でれでれとした表情でその寝顔を覗き込んでいる。

ゴローは既に抱っこして済んだ、現在順番待ちをしているのはサブローだ。


花子の出産はかなり安産な方だったが、初産であったためその後10日ほど入院していた。

その間、四番街の他メンバー達はロクローに触れられる日を指折り数えて待っていたのだ。

しかしよくある話で、その期間の内にロクローのへそが化膿してしまう。

結果、花子は予定通り退院できたが彼は一週間余分に入院したままとなってしまった。


「赤子というのは実に可愛いものじゃの」

「本当だねー」


ジロー・花子夫妻が利用した産院は、面会者は新生児をガラス越しにしか見られない。

しかもロクローは実によく寝る子で、今のところ5人は目を開けた状態の彼を見た事がないのだ。


「ほら! もう5分経ったぞ! 交代交代!!」

「もう! うるさいなぁ、起きちゃうじゃない!」

「いいから、ほら! ……おおおおおぉおおぉっ!? 軽い! 小さい! 可愛い!」


サブローは赤子を受け取るなり、その軽さに驚いて小さく『高い高い』の仕草をとった。

首に手は添えられているが、その持ちようは実に雑だ。


「ちょっと! 首しっかり支えてよ!」

「ジロ兄ちゃんの子だから丈夫だって、心配ないって」

「 チ ョ ー ウ ケ ル ー 」

「ヒッ!? す、すみません……っ!」


花子が威嚇し、サブローは姿勢を正す。

その時の動きも雑で急だった事が災いした。


「あっ……あっ……あーーーうぁーーーーーん」

「ほら! ロクロー泣いちゃったじゃん!」

「うぇ!? ちょ、うわ、どうしよ、次のノーラにパス!」

「なんじゃと!?」


驚きつつも、慣れない手つきでロクローを受け取るノーラ。

彼女が過去に読んだ本にも赤子は登場したが、それを頼りに最初から上手くできるというものではない。


「うぁーーーーーーーん」

「ど、どうすればよいのじゃ!? ええと、むかしむかしあるところに」

「それはまだ早いよ……」


皆が初めて目にする起きた状態のロクローではあるが、泣いているが故に相変わらず目は瞑ったまま。

しかし解らないなりにもノーラが優しく身体を揺すり、おむつ越しのお尻をぽんぽんと叩いていると次第に彼は落ち着き始めた。


「いい感じ……泣き止んだぞ」

「よしよし、良い子じゃ……賢いぞ、ロクロー」

「ノーラ、意外と上手いじゃん」


そして、ついにロクローがその目を開ける──


「……ジローじゃ」

「ぷっ……そっくりだ!!」

「あははははは! 目を開けても眉間に皺寄ってる……!」

「ジロ兄ちゃーーーん!」


──男前かどうかは別として、少なくともその人相はあまり良くない。

今は仕事に出ているジローがもし横にいれば、仲間達は余計に大笑いしていた事だろう。

どこからどう見ても親子だと判るレベルにそっくりなのだ。


「ハナに似てるとこがあんまり無い……」

「チョーウケル……」


花子はホールの壁を透かして空を見つめるように視線を逸らし、少し複雑そうに呟いた。



【後日談①おわり】



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テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

  1. 2000/01/01(土) 00:00:00|
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