がらくた処分場

聖なる夜にロマンスがふたつ(2014年クリスマス閑話)



350 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage] 投稿日:2014/12/24(水) 21:55:24 ID:GhvR/.UM


今年はクリスマス話来ないのかな?



351 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[] 投稿日:2014/12/25(木) 00:28:47 ID:/tCXpBRQ


メリクリてーい



352 名前: ◆M7hSLIKnTI[sage] 投稿日:2014/12/25(木) 15:10:52 ID:vGcPVkjY [1/17]


本編の更新が滞ってて申し訳ない
…が、ちょっと番外投下




353 名前: ◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/12/25(木) 15:11:22 ID:vGcPVkjY [2/17]


幼馴染(一羽まるまるのチキンはもう火が通ってます。あとはロースターで温めなおすだけ)テキパキ

幼馴染(サラダも盛り付けて、パルメザンチーズとドレッシングをかければOK)パタパタ…トンッ

幼馴染(こないだ男が釣ってきたスズキはカルパッチョにしました)コトッ

幼馴染(餃子の皮を生地にしたミニピザもオーブンの中)

幼馴染(あとは主食……大皿にチキンライスをドーナツ状に盛り付けて、その中にレタスを敷いて…ローストチキンが真ん中)


幼馴染「ではチキンライス、私の細腕には似合わない大きなフライパンですが」カチッチッチッ・・・ボッ

幼馴染「ご飯を炒めるのは力よりコツ!」ジューー…



354 名前: ◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/12/25(木) 15:13:25 ID:vGcPVkjY [3/17]


幼馴染「We…」グッ…

幼馴染「Wish!!」ガバッ!

幼馴染「You a Merry X'mas♪ We…」ジュージュー

幼馴染「Wish!!」ガバッ!

幼馴染「You a Merry X'mas♪ We…」ジャーー

幼馴染「Wish!!」ガバッ!

幼馴染「You a Merry X'mas♪ And a Happy New Year~♪」ジュージュー


…ガチャッ


男「ご機嫌のようで」フー

幼馴染「おお、早かったです。いらっしゃいませ」ニコッ



355 名前: ◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/12/25(木) 15:13:56 ID:vGcPVkjY [4/17]


幼馴染「料理の準備も順調です。男は上着を脱いで、部屋の飾りつけやテーブルをお願いします」ジュージュー

男(ミニスカサンタで料理ですかそうですか)


幼馴染「幼友は弟君と駅前で会ったようです、17時過ぎにLINEが」ガバッ

男「せっかくだからイルミネーションの街並を流したり、少しドライブしてくると言っていました」

幼馴染「一応19時を目安に来て下さいと伝えています」

男「今度は本当に?」

幼馴染「なんのことやら」シレッ


男(……今が17時半…か──)チラッ



356 名前: ◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/12/25(木) 15:14:42 ID:vGcPVkjY [5/17]


……………
………


ガコッ、ブロロロロロロ…


弟「今日は従妹ちゃん来られなくて残念だったなぁ」

幼友「まあね、でもせっかく中学校で仲良くなってきた友達の家のパーティだもん、そっちが大事だよ」

弟「そうだね」


幼友「おー! 点いてるついてる、イルミネーション」

弟「一番背が高いのはユリノキの並木かな」

幼友「うーん、でも電飾を木に玉ねぎ状につけるのはどうだろう。なんかケチくさいなー」

弟「やっぱりちゃんと枝に添ってつけて欲しいよね」


幼友「あ、でもあっちの緑道沿いは綺麗! 通っていける?」

弟「いえっさー」カッチ、カッチ…

幼友「幼馴染ちゃんの家には19時って聞いてる。まだ17時半だし回り道しても間に合うでしょ」



357 名前: ◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/12/25(木) 15:15:14 ID:vGcPVkjY [6/17]


幼友「見てみて! 緑道のイルミネーション、川面に映ってすごくいい感じ!」

弟「ちょっと待って、けっこう車も人も多いからよそ見できないや」

幼友「このへんが一番綺麗なのにー」

弟「だいじょうぶ、すぐ信号の列に……あ、青になった」ガーン

幼友「むぅ、残念…」


弟「うーん、じゃあせっかくだし」

幼友「ん?」


弟「そこの路上パーキング停めてちょっと歩こっか」

幼友「え、いいよ…? そんなわざわざ」

弟「ううん、僕がそうしたいんだ」カッチ、カッチ…

幼友「そ…そっか…」ドキッ



358 名前: ◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/12/25(木) 15:15:47 ID:vGcPVkjY [7/17]


………



弟「パーキングチケット、窓の内側から貼って…っと」ペタリ


幼友「ごめんね、そんなに長居しないのに駐車代かかっちゃって」

弟「平気だよ、一緒にクリスマスの街を散歩できるなら」

幼友「ん…ありがと」

弟(……車の小銭ポッケに入ってた100円玉だとは言わないでおこっと)


幼友「よしっ、行こ──」

弟「──幼友ちゃん。ほら、手」スッ

幼友「あぅ」

弟「けっこう車いるし、危ないからね」ギュッ



359 名前: ◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/12/25(木) 15:16:26 ID:vGcPVkjY [8/17]


弟「おー、本当だ…すごく綺麗」

幼友「………」


弟「このイルミネーションの下でも、川の中には魚が泳いでるんだろうねー」

幼友「…うん」


弟「街中を流れる細い川だけど、近年で随分水は綺麗になったんだ…って、兄ちゃん言ってた」

幼友「………」


弟「でも、いなくなった種類の魚達はなかなか帰ってこないんだって」

幼友「そっか…」


弟「昔はこのへんでもアユが泳いだりしてたらしいよ。僕らが生まれるよりもずっと前だけど」



360 名前: ◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/12/25(木) 15:17:52 ID:vGcPVkjY [9/17]


弟「ちょっと寒いけど、歩こっか。あんまり車から離れても大変だけどね」

幼友「うん」


弟「あ、イルミネーションの色が変わったよ」

幼友(……なんだろ)

弟「図書館の前の広場もライトアップされてるんだね」

幼友(なんか…今日の弟君、オトコらしいぞ)ドキドキ

弟「あー…電飾のイルミネーションも綺麗だけど、白熱灯のレンガ道もいいな」

幼友(どうしたの、なにこの雰囲気……)


弟「こんなに寒いんだから、これでホワイトクリスマスだったら最高なのに」

幼友(もし今…弟君に『付き合って』って言われたら……)

弟「でもそれじゃ渋滞がもっと激しくなって、幼馴染ちゃん家に間に合わないか」

幼友(たぶん…私…)


弟「だけど今日の様子ならもう少しは時間、大丈夫かな──」



361 名前: ◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/12/25(木) 15:18:35 ID:vGcPVkjY [10/17]


弟「──幼友ちゃん、付き合ってくれる?」

幼友「ふぇっ!?」ビクゥッ

弟「?」


幼友「ちょ…言い方、軽くない!? その、あの…!」アタフタ

弟「軽かったかな……ごめん?」キョトン


幼友「いや…えっと……あの…うぅ……ぃ…いい…ょ……」コクン

弟「…うん」ニコッ

幼友(はー…、とうとうOKしちゃった…ぜんぜん嫌じゃないけど、いや嬉しいけど──)ドキドキドキドキ


弟「──じゃあ少し先まで歩くけど、付き合ってね」

幼友「へっ?」

弟「たしか歩いてもそんなに無かったと思うよ──」



362 名前: ◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/12/25(木) 15:19:08 ID:vGcPVkjY [11/17]


………



幼友(ちょ、ここ、だんだんホテルあったりするとこに近づいてんだけど……!)アワワワ…

弟「もう一本向こうの通りだったかな」テクテク


幼友(どこか目星つけてるホテルでもあるのかな……さすがに利用した事はないんだろうけど…)

弟「あ、ここだ」ピタッ

幼友「あの…や、やっぱり急過ぎない──?」モジモジ…


弟「──ここだよね? 幼友ちゃんが兄ちゃんに会ったとこ」



363 名前: ◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/12/25(木) 15:19:41 ID:vGcPVkjY [12/17]


幼友「……えっ」キョロキョロ

弟「前に用事で、兄ちゃんと二人で街中を通りがてら話してくれたんだ」


幼友(男さんと会った…?)

弟「幼馴染ちゃんのハタチ祝いだっけ?」


幼友(繁華街…)

弟「兄ちゃんが幼馴染ちゃん迎えにきて、でも幼馴染ちゃんは酔っ払ってタクシーで帰ってて」


幼友(緑道公園……川…)

弟「この橋の近くで、幼友ちゃんがサラリーマンに絡まれてて──」


『──幼友ちゃん、お待たせしました』

『ほら、これ俺の免許です。合ってますよね? なので諦めて下さい』

『しつけーな、お前ら』

『急に話をフッてすみません』

『じゃあ良かったら幼友ちゃんを送りましょうか──』



364 名前: ◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/12/25(木) 15:20:27 ID:vGcPVkjY [13/17]


弟「──もしかして、幼友ちゃんが兄ちゃんを好きになったのは、その時なのかな…って思ったんだ」

幼友「……弟くん」


弟「僕は兄ちゃんみたいに体育会系じゃないし、そんな奴らに絡まれてる幼友ちゃんを自分の腕っぷしで助けてあげるのは難しいかもしれない」

弟「でも、もし今度そんな事があったら、例えどんな手を使っても僕は幼友ちゃんを守るよ」

弟「格好よくはないかもしれないけど、それでも、なんとしても」

弟「…なんとなく、この場所で誓いたかったんだ。ごめんね、急に付き合ってもらって」


幼友「うん……うん…うん? 付き合ってもらって?」

弟「へ? さっき言ったでしょ?」


『──幼友ちゃん、付き合ってくれる?』



365 名前: ◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/12/25(木) 15:21:03 ID:vGcPVkjY [14/17]


……………
………



幼馴染「──モール、そっちを引っ張って…はいそのへんでピンを」

男「よっ…と」プスッ

幼馴染「じゃあ弛みはこのくらいで…こっちをとめます……くっ、力が入らない!」プルプル…


男(くっ……ミニスカ生足で椅子に立つか)

幼馴染「よい…しょっ…!」ググッ…プスッ

男(む、艶あり白)ジーーッ


幼馴染「……どこを見ていますか」クスッ

男「そんな格好で高いところに上がるのが悪い、ちょっとミニ過ぎませんか」



366 名前: ◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/12/25(木) 15:21:33 ID:vGcPVkjY [15/17]


幼馴染「ご心配なく、幼友達が来る時にはスパッツとタイツを着用します」トンッ

男「なぜ今から着ておかないのでしょう」

幼馴染「そんな事を言わせますか」ジロッ


男(……まだ18時過ぎ…か)チラッ

幼馴染「あとの料理は全て直前に火を通すだけ、ツリーも出したし飾りつけもできました」


男「……家の人は?」

幼馴染「いません」

男「自分の部屋は?」

幼馴染「片付け済みです」

男「…これはまた嵌められました」

幼馴染「サンタ服は嫌いでしょうか──?」ニヤリ



367 名前: ◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/12/25(木) 15:22:18 ID:vGcPVkjY [16/17]


………



弟「──ねえ、幼友ちゃん…さっきから怒ってる?」

幼友「別にっ」フンス


弟「もーぅ…もうちょっとゆっくりしてもよかったのに」

幼友(むうぅ…めっちゃドキドキしたんだから)

弟「まだ18時過ぎなのに幼馴染ちゃんの家に着いちゃうな、まあいっか」

幼友(…言ってくれた事はすごく嬉しかったけど、でもでもっ!)


弟「あれ? 一階の電気消えてる…? あ、でも幼馴染ちゃんの部屋は灯りが着いてるね。呼び鈴押してみよっかな──」


…ピーンポーン



【クリスマス閑話おわり】



368 名前: ◆M7hSLIKnTI[sage] 投稿日:2014/12/25(木) 15:22:48 ID:vGcPVkjY [17/17]


すまぬ…本編もがんばる



369 名前:以下、名無しが深夜にお送りします[sage] 投稿日:2014/12/25(木) 15:45:10 ID:Tg7aUCEk


>>368
おつ!こんなX'masうらやま。。。



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  1. 2014/12/25(木) 16:20:56|
  2. 釣りSS
  3. | コメント:4

Japan Santa Claus Association(原題/NPO法人日本サンタクロース協会)



1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]


『──なあ、父ちゃん。サンタってやっぱり父ちゃんや母ちゃんなんだろ?』

『クラスみんな知ってるもん、サンタなんかいないって』


『俺、12月に出るファミコンソフトがいい!』

『でも発売日はクリスマスより前だから、先にプレゼントだけ欲しいんだけど』

『当日はケーキがあったらいいよ』


『えー、じゃあお年玉前借りはできない?』

『……俺、来年からクリスマスプレゼントは現金がいいな──』



2014/12/22(月) 15:31:45.65 ID:LeOO3t5gO
2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]

……………
………



娘「サンタさん、私の欲しいものちゃんと分かるかなー」

父「どうだろうな」

娘「ママには言ったんだけどなぁ」ハァ…


父「そんなに気になるなら、サンタに手紙でも書いたらどうだ?」

娘「手紙? サンタさん読む?」

父「そりゃ読むだろ。今の内から枕元に靴下吊るして、そん中に入れとけばいい」

娘「……そっか」


父「もう保育園で字は習ったろ?」

娘「うん! でも『は』と『ほ』と『ま』をいっつも間違えるんだ……」

父「大丈夫、サンタは子供の字は見慣れてるはずだ。ちゃんと読めると思うぞ」

娘「じゃあ私、サンタさんに手紙書くよ──!」フンス



2014/12/22(月) 15:32:40.37 ID:LeOO3t5gO
3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]


………



妻「──お疲れさま、あなた」

父「さんざん相手させられたなぁ」フゥ

妻「そりゃそうよ、朝にプレゼントを見た時から『パパが帰ってきたら一緒に遊ぶんだ』って大はしゃぎだったもの」

父「楽しいクリスマスだったみたいでなにより」


妻「ちゃんと欲しいおもちゃ解ってくれてた…って、すっかりサンタを信じてるわ」

父「そりゃよかった」

妻「でもいつまでサンタを信じる純粋な子供でいてくれるかしら」

父「……ずっとだ」

妻「だといいわね、ふふ…」



2014/12/22(月) 15:33:07.01 ID:LeOO3t5gO
4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]


……………
………



娘「──サンタさんって、いつ手紙持って帰ってるのかな。枕元にあるのにいつの間にか消えてるの」

父「お前も大きくなったな、そういう事を不思議に思うようになったか」

娘「もう二年生だもん」フフン


父「じゃあ…そろそろ話すか」

娘「?」キョトン

父「実はな、お前の手紙はパパやママがサンタに送ってるんだ」

娘「えっ」


父「さすがにサンタも夜中、鍵をかけて家族が寝てる家に忍び込むわけにはいかんからな」

娘「……泥棒さんと間違えられちゃう」

父「そう、逆に泥棒がサンタのふりをしてたらそれも怖いだろ?」


娘「うん……でも、じゃあイブの夜にはどうやってプレゼントを置いてるの?」

父「それも…実はパパやママが夜中に玄関で受け取ってるんだ」

娘「そうなんだ……でも、サンタさんはいるんだね? プレゼントを持ってきてくれてるんだよね?」

父「そうだよ」

娘「そっか! じゃあやっぱり今年も欲しい物のお手紙書くね──!」ニパッ



2014/12/22(月) 15:33:51.84 ID:LeOO3t5gO
5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]


………



妻「──今年のプレゼントも喜んでくれたわね」

父「ああ……でもどうかな、ちゃんとサンタを信じてくれてるだろうか」

妻「もちろんよ、じゃなきゃ欲しい物の手紙に『いつもありがとう』なんて書き添えないわ」

父「そうか、そうだな」


妻「よく遊ぶ娘友ちゃんのところでは、そろそろやっぱりサンタはパパじゃないかと疑い始めてるって」

父「隣の男の子はどうなんだ、毎日のように遊んでるけど」

妻「あの子はサンタがどうとかいうより、欲しいおもちゃの事やケーキの事で頭がいっぱいみたいよ」

父「はは……純粋でいい幼馴染みがいてよかったよ──」



2014/12/22(月) 15:34:27.16 ID:LeOO3t5gO
6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]


……………
………



父「──今年欲しいものの手紙は書けたのか?」

娘「うん……書いたけど」

父「…どうした?」


娘「クラスのみんな、サンタさんなんかいないって言うんだ。プレゼントはパパやママがおもちゃ屋さんで買ってるって」

父「……なるほど。さすがに五年生にもなりゃ、童話みたいな話も信じ難いだろうな」

娘「じゃあ──」


父「──いるよ、サンタは」

娘「…え」


父「ただ、さすがに絵本に出てくるような赤い服でトナカイのソリに乗ったサンタはいない」

娘「………」

父「だがその絵本に出てくる昔のサンタが創った『サンタクロース協会』って組織はあるんだ」

娘「サンタ協会…?」

父「一人のサンタが世界中の子供にプレゼントを配れるわけないだろ?」


娘「そっか…服装とかは違っても、やっぱりサンタはちゃんといるんだね」

父「そういうことだ」

娘「よかった、じゃあやっぱり手紙書こうっと──」



2014/12/22(月) 15:34:56.84 ID:LeOO3t5gO
7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]


妻「──ちょっと無理があったんじゃない?」

父「なにを言う、手紙はいつも通りだったぞ」

妻「そうだけど…ねぇ?」クスクス


父「いいんだよ、そろそろ少しは現実味を帯びた話じゃなきゃ信じない」

妻「そうかもしれないけど」

父「これでいいんだ」

妻「はいはい……でも子供にいつまでもサンタを信じていて欲しいなんて、それはそれで親の都合よね」


父「サンタだけじゃない」ボソッ

妻「え?」

父「…なんでもない」



2014/12/22(月) 15:35:27.37 ID:LeOO3t5gO
8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]


……………
………



娘「──どうかなぁ…」ハァ…

父「どうした?」


娘「ん…サンタさんにね、手紙を書くの」

父「毎年の事じゃないか」

娘「でも、スマホなんてくれると思う? くれたとしても、その後の月々の料金とかどうなるんだろう」


父「……さすがに中学生になると、欲しいものもオモチャやゲームじゃなくなるんだな」

娘「まぁね」

父「…やむを得んな」

娘「?」


父「とうとう全てを話す時がきたか…」

娘「……やっぱ、サンタっていないの──?」



2014/12/22(月) 15:35:57.46 ID:LeOO3t5gO
9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]


父「──いや、サンタはいる」

娘「………」


父「サンタ協会って組織がある…と言ったよな」

娘「うん」

父「この国では『NPO法人日本サンタクロース協会』がそれにあたる」

娘「…会社?」

父「非営利団体だがな。活動目的は世界の子供に対するプレゼントの配布」


娘「どうやってプレゼントを購入してるの? 資金は?」

父「もちろん会費制だ、タダでプレゼントが貰えるほど甘くはない」

娘「会費……パパやママが払ってるってこと?」

父「そうだ、毎月自動引き落としになってる。ただこの協会に加入するかどうかは任意だ」


娘「じゃあ、加入してない家も…」

父「そういうことだ、だからその家では『サンタなんかいない』ってことになる」

娘「なるほど…!」



2014/12/22(月) 15:36:28.08 ID:LeOO3t5gO
10:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]


父「通常は年間に納めた会費より、少し目減りした額のプレゼントが届く。浮いたお金は孤児や発展途上国の子供達へのプレゼントに回される」

娘「ボランティア的なものなんだね」

父「だが学校などから送られた内申書の査定により、何年かに一度掛け金を超えるスペシャルプレゼントを希望できる年がある」


娘「スペシャル…」キラキラ

父「三年生の時、覚えてるか?」ニヤリ

娘「ハッ……! Wii本体とソフトのセットだった!」


父「そうだ…そして今、またスペシャルプレゼントの権利がたまってる。いい子にしててよかったな」

娘「じゃあ…!」パァッ

父「スマホ、欲しいんだろ? 手紙に書いとけよ。ただし月料金はウチが払うんだ、ママにも感謝しろ」

娘「うんっ──」



2014/12/22(月) 15:37:02.02 ID:LeOO3t5gO
11:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]


………



妻「──飽きれたわ、あそこまで作り話して信じさせるなんて」

父「大人でも引っかかりそうだろ」クックッ…

妻「でもどうしてそんなに頑なにサンタを信じ込ませるの? あの子ももう中学生よ?」

父「それが大事だからだよ──」


『──なあ、父ちゃん。サンタってやっぱり父ちゃんや母ちゃんなんだろ?』

『クラスみんな知ってるもん、サンタなんかいないって──』


父「──俺はな、兄貴がいたのもあって小学校も早い内からサンタを信じなくなった」

父「サンタを信じないって事は、プレゼントは親がくれるものと認識するって事だ」

父「するとクリスマスというイベントは普通の家庭では『プレゼントを買ってもらって当たり前の日』という事になる」

父「子供心にも感謝の気持ちは薄くなったと思う」


父「でも実際にはどうだ。サンタがくれるプレゼントも親が買うそれも、ただ子供に喜んでもらうための優しい贈り物だ、なにも変わらない」

父「でもそんな大人たちの気遣いも小学生の子供には解らないんだ」



2014/12/22(月) 15:37:39.91 ID:LeOO3t5gO
12:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]


父「サンタを信じるってことは、御伽噺みたいな優しい世界を信じるってことだと思う」

父「……俺はサンタを信じなくなった事が、子供らしい夢を失うきっかけのひとつになった気がする」


『……俺、来年からクリスマスプレゼントは現金がいいな──』


父「挙句、プレゼントは現金がいい…なんてな」

父「優しさの形を金に求めるなんて、大人だってするもんじゃないのに」


父「自分が色んな優しさに包まれて育てられてきたんだ……それに気づける歳になるまで」

父「俺はあの子にサンタを信じていて欲しい」

父「例えその形が偽物の団体であったとしても、子供達の幸せを願う団体とそこに加入する優しい親達が世界中にいるって」

父「そう思っておいて欲しいんだ──」



2014/12/22(月) 15:38:09.36 ID:LeOO3t5gO
13:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]


……………
………



娘「──お父さん」モジモジ

父「ん、どうした?」


娘「今年の…サンタさんへのお願いなんだけどね」

父「ああ」

娘「こんな事…怒られるかな」

父「……言わなきゃ解らん」


娘「お金…現金がいいの」

父「!!」

娘「商品券でもいいんだけど…」


父「……それは、なにかサンタに伝えにくいようなものが欲しいのか?」

娘「ち、違う!」

父「じゃあ──」



2014/12/22(月) 15:38:36.04 ID:LeOO3t5gO
14:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]


娘「──プレゼントを買いたいの」

父「プレゼント…?」

娘「うん…人にあげるプレゼント」

父「………」


娘「あの…ウチの高校、バイト禁止だから…その」

父「うん」

娘「普段のやりくりは贅沢しなければお小遣いでなんとかなるんだけど……それ以上の余裕はなくて」


父「……誰にあげたいんだ?」

娘「!!」ドキッ

父「隣の幼馴染くんか」

娘「…ん」コクン



2014/12/22(月) 15:39:06.20 ID:LeOO3t5gO
15:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]


娘「やっぱり怒られるかな」

父「怒られるもんか。でも…その願い事をしたらそれで最後なんだ」

娘「最後…?」

父「ああ…子供が自分の金で、他の誰かにプレゼントをしたい…そう言い出す時」

娘「………」

父「それがサンタの役目が終わる時なんだ」

娘「……お父…さん」グスッ


父「大きくなった…お前も大人になったんだなぁ…」

娘「大人じゃないよぅ…まだ」

父「幼馴染くんは、お前と同じように純粋で素朴な子だと思う」

娘「うん」

父「これからは彼がお前のサンタになってくれる、よかった…よかったなぁ──」



2014/12/22(月) 15:39:37.19 ID:LeOO3t5gO
16:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]


………



妻「──あら、おはよう。久しぶりだったわね、夫婦二人でのイブなんて」

父「そうだな……ところで、これはなんだ?」

妻「ああ…朝、私も見たわ。貴方の枕元にあったわね。でも私は知らないわよ、サンタさんじゃない?」

父「バカな」ガサガサ


妻「あら、いい色」

父「!!」


妻「あの子ったら……幼馴染くんへのプレゼント、少し切り詰めたのね」

父「娘、あいつ──」



2014/12/22(月) 15:40:04.81 ID:LeOO3t5gO
17:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]


……………
………



司会「──ではここで、お手元のプログラムには記載しておりませんが、新婦よりご両親への手紙を読んで頂きたいと思います」


パチパチパチ…


父「なんだ、聞いてないぞ」

妻「あらあら」ニコニコ


娘「……お父さん、お母さん。私を今日まで育ててくれて──」



2014/12/22(月) 15:40:35.45 ID:LeOO3t5gO
18:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]


娘「──でした。…それから、お父さん」

父「………」


娘「子供の言う事にちゃんと耳を傾けてくれて、ちょっと怖いけど誠実な貴方が、私は大好きでした」

娘「子供の夢をできるだけ壊さずに、ずっと守ってくれた貴方のおかげで」

娘「私は幼馴染くんから『少し天然気味』と言われてしまうくらい、純粋に育つことができたんだと思います」

娘「貴方が語ってくれたサンタさんの秘密、私はずっと忘れません」グスッ

父「うっ…うぅ…っ」


娘「…こんな大事な日に、そんなくたびれた安物のネクタイでよかったの?」ポロポロ

父「当たり…前だ」


娘「いつか私も母になると思います、だから──」

父「……娘っ」ポロッ…


娘「──私にも、サンタ協会への加入方法…教えて下さい」



【おしまい】



.

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

  1. 2014/12/22(月) 16:01:34|
  2. その他
  3. | コメント:6

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