がらくた処分場

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牽引ロープで連れてって(原題/カプチーノ「もうすぐ今年もX'masだね」 ジムニー「うん……」)



1: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/09(金) 10:05:49 ID:5KnALnIQ


……キーンコーンカーンコーン

ミンナ オツカレー!
オウ、マタアシタナー!

ブロロロロ……


カプチ「もうすぐ今年もクリスマスだね」

ジムニー「うん……」


カプチ「……楽しみじゃない?」

ジムニー「そういうわけじゃないんだけどさ」

カプチ「今年も出るの? JTCのトライアウト」

ジムニー「うん、そのつもりだよ」


カプチ「『Japan Tonakai Car of the Year』か……けっこうみんな目指してるみたいだもんね」

ジムニー「サンタに乗ってもらって子供達に夢を配るなんて、車冥利に尽きる晴れ舞台だからね」



2: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/09(金) 10:06:38 ID:5KnALnIQ


コペン「おっ……お二人さん、またご一緒に下校?」ニヤニヤ

S660「相変わらず仲がいいねぇ」ニヤニヤ

タントカスタム「チョーウケルー」


カプチ「ちょっ、冷やかさないでよー」テレテレ

ジムニー「そうだよ、そんなのカプチが可哀想だろ」


コペン「可哀想?」

ジムニー「……俺とカプチは幼馴染みなだけだよ、こいつには俺みたいな寸詰まりのオフロードじゃ似合わない」

S660「じゃあどんなヒトなら似合うってのよ」

ジムニー「そりゃ……もっとスタイリッシュで、一緒にワインディングを楽しめるような奴だろ──」


86「──そうそう、解ってるじゃん。カプチちゃんだって軽とはいえFRスポーツなんだ」サラッ…

BRZ「俺たち兄弟みたいな、ロングノーズのエアロフォルムじゃないとね」フワッサァ…



3: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/09(金) 10:07:17 ID:5KnALnIQ


コペン「きゃっ……86センパイ!」キラキラ

86「おっとすまない、FFのコペンちゃんを悪く言ったつもりじゃないんだ」キラーン

BRZ「そうだよ、FFもMRも素敵だと思ってるさ」


カプチ「……4WDだっていいじゃないですか」ムッ

BRZ「そうは言ってもねぇ……」

86「あの通りだからね──」


エボX「やるんかゴルアアアアアァアァアァァッ!!」ドッザアアァアァァァァッ!

WRX「ブッ潰したらァアアアアァアァァッ!!」ギャリギャリギャリィッ!


……ドッカーーーン!ギャーーー!


86「──お世辞にも上品とは言えないよねぇ……」ハァ…

BRZ「ロードスポーツ寄りでもああだからね。ましてやクロカン……いや、俺達とはジャンルが違うってだけなんだけどさ」



4: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/09(金) 10:07:52 ID:5KnALnIQ


S2000「おーす、お待たせ」

ロドスタ「なんか賑やかにやってんな?」


BRZ「よし、じゃあFR同士で帰るか……カプチちゃんも一緒にどう?」キラッ

カプチ「私はジムニーと帰りますっ」フンッ


86「ははは……意固地だな、まあじきに気づくさ」

ロドスタ「ばいばーい、軽のロリッ娘ちゃん達ー」フリフリ

S2000「先に帰ってるぞー、妹」

S660「はいはい、私もすぐに帰りますよーだ」


コペン「はぁ……やっぱ二年生(661~2000cc)にもなると、余裕あって格好いいなぁ」

S660「あはは、一緒に住んでるとけっこう格好悪いトコも見るもんだよ?」

コペン「でもあんなお兄さん羨ましいよー」

タントカスタム「チョーウケルー」



5: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/09(金) 10:09:28 ID:5KnALnIQ


ライフ「あ、コペンいたいた」

ワゴンR「一緒に帰ろー」

S660「じゃあ、カプチは幼馴染み君と帰るんでしょ? また明日ね!」フリフリ

カプチ「うん、また明日……」フリフリ


コペン「……ジムニー君、ちょっといいかな?」

ジムニー「うん?」

コペン「耳貸して」

ジムニー「えっ」ドキドキ


コペン(カプチに向かって『自分とは似合わない』なんて言っちゃダメよ?)ヒソヒソ

ジムニー(え……? でも本当の事だよ?)ヒソヒソ

コペン(本当に鈍いなぁ、とにかくダメだからね! それと、あんまりキミもうかうかしてちゃいけないんだよ?)ヒソヒソ

ジムニー(それって、どういうこと──?)ヒソヒソ



6: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/09(金) 10:10:03 ID:5KnALnIQ


ハスラー「──カプチちゃん、今帰りなのかい?」ニコニコ

カプチ「うん、こんにちはハスラー君」ニコッ


コペン(あ、言ってたらちょうど来たわ。いい? ちゃんとカプチを捕まえといてね!)ヒソヒソ

ジムニー(わ……わかったよ)ヒソヒソ


ハスラー「よかったら、帰りご一緒してもいいかな?」

カプチ「ジムニーと帰るつもりなんだけど……」

ハスラー「駅の近くにできたカフェ、すごく良かったんだ。寄って帰らない?」


カプチ「だから、三人でになるけどいいの?」

ハスラー「あいつは林道で一人用コンロ焚いてインスタントコーヒー飲んでるのが似合いだろ?」ハハハ

カプチ「……いい、私はジムニーと二人で帰る」プイ

ハスラー「ちぇ……幼馴染みってだけで、ずいぶん優位に立てるもんだ。でもこのままだと思うなよ?」ギロッ



7: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/09(金) 10:10:37 ID:5KnALnIQ


ジムニー(捕まえておけ……か)

ハスラー「あれ? 聞こえてないのか、幼馴染みクンよ?」

ジムニー「……このままだよ」ボソッ

ハスラー「はぁ?」


ジムニー「幼馴染み同士な事はずっと変わらない、このままなんだよ。この学校でカプチは俺の唯一の幼馴染みなんだ」

カプチ「ジムニー……」キュン


ハスラー「……はん、そうかい」チッ…

ジムニー「そうだよ」キッ

ハスラー「けっこうだよ、ずっと幼馴染み関係でどうぞ。ボクは彼女にとって、もっと特別な存在になればいいだけだ──」



8: 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/12/09(金) 11:44:33 ID:KDGiHiU.


大きくなったら何になるというのか



9: 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/12/09(金) 14:06:22 ID:prGG9PbY


さんねんせいがたのしみ



10: 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/12/09(金) 20:30:21 ID:NWF2zQkE


とんでもないスレを開いてしまった…



11: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/10(土) 10:42:17 ID:Yo4/Fcg6


………


…下校中


カプチ(──ジムニー、口数少ないな……)

カプチ(みんな、ジムニーをからかうような事言うんだもん)


カプチ「みんな、酷いよね」ポツリ

ジムニー「……ん? なにが?」

カプチ「だってジムニーの事、体育の授業の時は競技によってはヒーロー扱いしてるくせに」フンス

ジムニー「ああ、さっきの事か。まあ今日は、たまたま走り系の車が集っちゃったしね」


カプチ「ハスラー君は走り系ってわけじゃないでしょ」

ジムニー「あいつはいつもあんな感じじゃん」

カプチ「そうだけど……」



12: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/10(土) 10:43:03 ID:Yo4/Fcg6


カプチ「ジムニーは悔しくないの?」

ジムニー「うーん……そりゃ気分良くはないけどさ」

カプチ「……私は悔しいよ」ボソッ

ジムニー「ん? なんでカプチが──」


『──本当に鈍いなぁ』

『あんまりキミもうかうかしてちゃいけないんだよ──?』


ジムニー(──いや、さっきのコペンの言葉を読み解けば……やっぱりカプチは)


カプチ「ジムニーには、ジムニーにしかできない事がいっぱいあるんだよ」

ジムニー「……そうかな、嬉しいけど」ポリポリ



13: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/10(土) 10:43:40 ID:Yo4/Fcg6


カプチ「だってラダーフレームだから丈夫だし」

ジムニー「重いけどね」

カプチ「大径タイヤだから悪路に強いし」

ジムニー「交換に選択の余地が少ないんだけどね」

カプチ「リジッドサスだから道無き道も入れるし」

ジムニー「めっちゃ跳ねるけどね」


カプチ「とにかく! ジムニーはすごいんだよ!」フンスフンス

ジムニー「あ、ありがとう……」

カプチ「86先輩達なんか、凸凹砂利道だったらついていけないくせに!」

ジムニー「あー、前にセルシオ先輩に絡まれた時、そうやって逃げたなぁ……」ウンウン



14: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/10(土) 10:44:10 ID:Yo4/Fcg6


カプチ「でも……私もついていけないから、ゆっくり走ってね?」

ジムニー「っていうか、カプチは凸凹道とか入ったらダメだよ」

カプチ「ついて行きたいんだもん……」


ジムニー「亀になったら大変だろ?」

カプチ「そしたらジムニーが助けてくれるでしょ?」

ジムニー「そりゃまあ……だけど、お腹が擦り傷だらけになっちゃうよ」


カプチ「や、やだ! ジムニーの変態っ! そんなとこ想像しないでよっ!」アセアセ

ジムニー「してないよ! それに昔は一緒に洗車機入ったりしてただろ!」アセアセ

カプチ「昔と今じゃ違うの! もう……子供なんだから」

ジムニー(くそ……そんなの言うから、前にオイル交換してるの窓越しに見ちゃった時の事、思い出したじゃん……)ドキドキ


カプチ「ふーんだ」プイ

ジムニー(あの時、部分合成油だったな……昔は鉱物油だったのに。……だめだ! 忘れろ、俺! 煩悩に支配されてるぞ!)ブンブン



15: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/10(土) 11:30:58 ID:Yo4/Fcg6


カプチ「……さっきから黙ってたのは、落ち込んでたんじゃないの?」

ジムニー「ああ、そんな事を気にしてくれてたのか」

カプチ「そんな事って言わないでよ」


ジムニー「ごめんごめん、トライアウトの事ばっか考えてたよ」

カプチ「なーんだ、心配して損しちゃった」


ジムニー「今年も選ばれるのはOBのハイエースさんなのかなー」

カプチ「そうしたら三連覇だもんね、でもキャラバンさんも狙ってるらしいよ?」

ジムニー「あー、そうみたいだね。やっぱり軽と違って、積載性がすごいよなぁ……」


カプチ「でも同級生のウェイク君も相当気合い入れてるって、応援してあげたいよね」

ジムニー「あいつはやっぱCMが効いたよね、『兄ちゃん、これウェイクだよ!』って」ケラケラ

カプチ「あはは、似てなーい」ケラケラ



16: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/10(土) 11:31:37 ID:Yo4/Fcg6


ジムニー(……ちゃんと捕まえておけ、か)チラッ

カプチ「はー、おかしかったぁ」フゥ


ジムニー「なあ、カプチ」

カプチ「ん? どしたの?」

ジムニー「ウェイクも、もちろん他のみんなも全力を出し切って欲しいし、応援すべきなんだけどさ」

カプチ「うん」


ジムニー「でも、その……今年のトライアウトでは、お前は……俺だけを応援しててくれないか?」テレテレ

カプチ「……!!」


ジムニー「こ、声に出したりはしなくていいから……心の中だけでも──」

カプチ「──ジムニーの、ばーーーーか!」ペシッ

ジムニー「痛てっ」



17: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/10(土) 11:32:26 ID:Yo4/Fcg6


ジムニー「なにすんだよ……馬鹿ってなんだ」

カプチ「そりゃ、さっきウェイク君の事『応援したい』って言ったよ?」

ジムニー「だからだよ」ムム…

カプチ「でも、みんなに対する応援とジムニーへの応援が同じなわけないじゃない。そのくらい解ってて欲しかったな」

ジムニー「……それって」


カプチ「みんな頑張って欲しいよ。でも、私が『勝って欲しい』と願ってるのはジムニーだけ、昔っからね?」

ジムニー「う……願っておいてアレだけど、言われると照れるな」ポリポリ

カプチ「私だって照れてるの、ちゃんと聞きなさい! だって……ジムニーは私にとって一人だけの、大切な幼馴染みだよ? ねっ?」


ジムニー「でも学校は違うけど、アルトもスイフト兄ちゃんも幼馴染み──」

カプチ「──てーい!」ベシッ!

ジムニー「痛てっ、またかよ」



18: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/10(土) 11:33:06 ID:Yo4/Fcg6


カプチ「私は今、なんて言った?」

ジムニー「『一人だけの幼馴染み』って……」

カプチ「不正解ーー。ほんと馬鹿、大馬鹿、そこが大事だったのに」

ジムニー「えー……」


カプチ「はい、時間切れー。家に着きましたー」

ジムニー「なんだよ」

カプチ「教えなーい、また明日ねっ!」ベーーー


…ウィーーーーーーーーン、カシャン


ジムニー(電動シャッターいいなー。ウチのガレージ、手動式で重いんだよなー)ガラガラガラ…

ジムニー(でもウチ、物持ちいいし。大切に使ってるから、まだまだ──)

ジムニー「あ……」

ジムニー(──そっか……あいつ、さっき「一人だけの『大切な』幼馴染み」って言ったんだ)

ジムニー(明日、ちゃんと謝ろう──)ニヤニヤ



19: :2016/12/10(土) 12:03:57 ID:OkE99DKw


このジムニーはワイドじゃない。まちがいない(確信)。



20: 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/12/10(土) 16:27:11 ID:7SnJq4zA


洗車機とオイル交換で吹いた。そして「てーい」ですか(壁監視)




21: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/13(火) 17:46:49 ID:v8M.AugI


……………
………


…数日後、トライアウト会場


アクア《──さあ、今年もJTCトライアウト開催となりました! 実況は私、HBD48のアクアが務めさせて頂きます!》

アコード《いやぁ、参加者みんな気合いの入った表情で実に楽しみですね》

アクア《本当ですね、解説のアコードさん。今日はよろしくおねがいします!》

アコード《よろしくおねがいします》ペコリ


アクア《『よろしく』と言えば私達HBD48の新シングルが明日発売なのでよろしくお願いします! 握手券ぜひGetして下さいね!》

アコード《実に唐突なPRです》



22: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/13(火) 17:47:40 ID:v8M.AugI


アクア《さあ、そしてこの本部席には審査員長であり今年もトナカイカーのハンドルを握る事となる、サンタさんがいらっしゃいます!》

アコード《サンタさん、今回の参加者の面々を見ていかがですか?》

サンタ《豊作・平年並み・不作の三択いずれかでしょう、サンタクロースだけに》ドヤァ

アコード《なぜドヤ顔できるのかわかりません》


アクア「それでは私は最初の競技『積載性チェック』の会場にやって参りました。現在審査中なのは優勝候補、ハイエースさんです!」

ハイエース「ワイド&ロング&ハイルーフ平床仕様の俺に勝てる奴なんざいねえぜ」フッ…

アクア「やはり広い! 圧倒的なアドバンテージです!」


アコード《優勝候補と言われるだけありますね、サンタさん》

サンタ《うむ、これならプレゼントも数百……あるいは千人分も積めるかもしれません》

アコード《ほう、という事は今年のプレゼントは比較的サイズは小さいという事でしょうか?》

サンタ《まだ物は明かせませんが、ハイエースなら実際のところ800TENGAくらいでしょうか》



23: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/13(火) 17:48:53 ID:v8M.AugI


アクア「続いては打倒ハイエースさんに闘志を燃やします、日産キャラバンNV350さんです!」

キャラバン「どうも、特に後ろから声を掛けられる時しょっちゅう『ハイエースさん!』と言われるのが悩みです、恐縮です!」

アクア「もうちょっと差別化しましょうよ……」

キャラバン「テールランプ横型にして欲しかったです!」


アコード《積載量としてはハイエースと互角、甲乙つけ難いですね》

サンタ《しかしハイエースやキャラバンに、なぜTENGAなのか? そこはフルフラットシート&カーテンでギシアンではないのか……と考えると、いたたまれません》


アクア「さあ、次に……ここで軽自動車がエントリー! 軽でありながら抜群の積載性を誇るN-BOX選手の登場です!」

N-BOX「どうも! 諸先輩方の前で緊張しちゃってますけど、頑張ります!」

アクア「リヤシートを倒すと相当な空間ですね!」

N-BOX「いやぁ、普通車の方々には勝てないですよ! でも燃費重視の合わせ技で狙ってます!」


アコード《確かに、燃費の良さは環境面を考慮しても経費の面でも魅力的なんじゃないですか?》

サンタ《まあ私が払うんじゃないしね》

アコード《お役所思想ですねー》



24: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/13(火) 17:50:29 ID:v8M.AugI


アクア「次のエントリー車輌は……おっと、ここで毎年出場のジムニー選手です! いかがですか、今年の意気込みは?」

ジムニー「はい! トナカイカーになる事にずっと憧れてたので、頑張りたいです!」


カプチ「ジムニー、頑張って……!」ドキドキ

コペン「積載性については頑張るも何もなくない?」

タントカスタム「チョーウケルー」


アクア「それでは注目の判定です!」

アコード《あー……これは解ってはいましたが、厳しいですねー》

サンタ《TENGA-EGGで精一杯ですが、あの先端集中の刺激もそれはそれで良い物です》カポッ


ジムニー「キャリアを装着すると屋根にも積めます!」

アクア「ジムニー選手、熱烈なアピール!」

アコード《キャリアの取り付けが可能な車種なら何でもそうですよね》

サンタ《たまには林道で人目を気にせずというのも一興かもしれませウッ…》カッポカッポ



25: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/13(火) 17:51:27 ID:v8M.AugI


アクア《さあ、次の審査項目は特設サーキットのラップタイムを競う『走行性能チェック』! 私も放送席からお送りします!》

アコード《一晩という限られた時間の内にプレゼントを配り終えるためにも、やはり走行性能は高いに越した事はありませんか?》

サンタ《限られた時間、一夜限り……ソソるモノがあるワードです》ウットリ


86(──テクニカル区間……! ここで稼ぐっ!!)ヴォウッ!キュイィィィィッ!!

エボX「圧倒的トラクショーーーーン!!!!!」ギュイイィィィィッッ!!

インテR「コーナー楽すぃぃぃーーーーっ!!」グッ……キュウゥゥンッ!!!

スイスポ「コンパクト舐めんなあああぁあぁぁっ!!!」ギャギャギャ……ッ!!


アクア《テクニカルエリア、積載性には劣る選手達が火花を散らしています!》

アコード《あれはトナカイカーの座を狙っているというより、走りたいだけでしょう!》

サンタ《私の三擦り半より速い者など存在せぬ……ッ!!》



26: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/13(火) 17:52:12 ID:v8M.AugI


キュルルルル……! ガッシャーーーン!!


アクア《ここでクラッシュ発生! 大丈夫でしょうかっ!?》

アコード《土煙が晴れていきます、大クラッシュしたのは……?》


パラパラ……メキッ…
…コロンッ


プリウス「いやー、痛てて……またやっちゃった」ケホケホ


アクア《プリウス兄さん! 先週の用水路インに続いて、今度はコンビニドライブスルー未遂です!!》

アコード《日常の光景ですね》

サンタ《あの頻度でクラッシュしていれば、女子校の壁を突き破って侵入しても怪しまれない……閃いた》キラーン

アコード《通報した》



27: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/13(火) 17:53:23 ID:v8M.AugI


ロドスタ「最終コーナー! いいポジションだ……このままっ!!」キュキュキュッ…!


アクア《ストレート立ち上がり! 加速勝負です!!》

アコード《ホームストレートの全長は2km弱、ゴールラインまでは1.5kmあります。これは加速のみならず最高速性能も物を言うでしょう》

サンタ《輝け右手! レッドゾーンの向こうにホワイトゾーンが開けるまで……ッ!》スコココココ


BRZ「くそ……! 後ろから追い上げが来るっ!」ブォンッ…!

S2000「なにっ──!?」ギュウウウゥゥゥンッ!!


スープラ「──力こそ正義……!! どけ、小童どもっ!」ヴォオオオォォオォッ!!!

GTR「フン……280馬力規制に捉われたお前がそれを言うのか?」フオオオォォォォォン……ッ!

FD「馬力が低かろうが、軽けりゃいいのさ……!」キュイイイィイィィィン!!


アクア「ここに来て大排気量車やロータリーといったハイパワースポーツが追い上げてきました!!」

サンタ「ロリータアアアアァアァァァッ!!」ウオォォォォッ!

アコード「なに叫んでるんでしょう」



28: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/13(火) 18:09:54 ID:v8M.AugI


アクア《今、ゴーーール!! 一位は日産GTRさん! 素晴らしい伸びでした!》

アコード《やはりこの種目はスポーツタイプの車輌が席巻しましたね、当然です。いかがでしたか、サンタさん?》

サンタ《オゥ……イェスッ……! ホワイトアウト……ッ!》ビクンビクン


アクア《続々と周回を終えた車輌がゴールラインを通過します! 高級セダンとしてはクラウンアスリートさんが勝利! ミニバンではオデッセイさんが最初にチェッカーを受けしました!》

アコード《RVジャンルとしてはフォレスターさんが強かったですね、水平対向エンジン恐るべし》

サンタ《縦に横に、前から後ろからですね》キリッ


アクア《エントリー車輌はこれで全てゴールしたでしょうか? 皆さんお疲れ様でした!》

アコード《いや……今、最終コーナーを立ち上がってくる車輌がありますよ》

アクア《あれは! ジムニー選手です!片輪が浮きそうなほどのロール具合! 絵面だけを見ると早そうです!》

アコード《サーキットの路面は非常にミューが高いため、あの車高と車幅でブッ飛ばすとよく横転しますね》


ジムニー「転ける……転ける……!」アワワ

カプチ(ジムニー、格好いいなぁ……)キュン…



29: 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/12/13(火) 22:37:18 ID:yadrw/EY


サンタwwww



30: 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/12/13(火) 23:43:21 ID:K4/1SKLE


サンタがぶれなさすぎ




31: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/15(木) 13:14:47 ID:RyS/TzeA


アクア《それでは最終審査項目、『スタイリングチェック』です!》

アコード《やはり子供達も格好いい車でプレゼントを運んでもらえたら嬉しいですからね、重要な要素です》

アクア《現在までの最高評価を受けているのは昨年に続きハイエースさん、僅差でキャラバンさん! トールワゴン以外で健闘しているのが、レガシーさんとなっています!》

アコード《このスタイリングにおいては背の低い車にも大いに分がありますからね、これは最後までわかりませんよ》


ジムニー(……上位30車種まではボードに車名が出てるけど、俺の名前があるわけない)

ジムニー(ほら、ミニバンのストリーム先輩でさえギリギリの30位なんだ)ハァ


ハスラー「やあ、ジムニー。順位はボードに載ってたか?」

ジムニー「ハスラー……大きなお世話だよ、お前だって載ってないだろ」

ハスラー「まあね、さすがにトナカイカーへのハードルは高い。でもこの種目で少しは巻き返せるかな? こう見えて割と女性を中心に評価してもらっててね」ニヤリ

ジムニー(くそ……俺なんか20年近くも前のデザインなのに──)



32: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/15(木) 13:16:30 ID:RyS/TzeA


カプチ「──ジムニー! 最後まで諦めずに頑張って!」

ジムニー「え?」

カプチ「私、応援してる! ジムニーだけを応援してるからね! あなたの野性的なデザイン……私は、す……好きだからっ!」

ジムニー「カプチ……」


ハスラー「……やれやれ、どうやれば彼女の目を覚まさせてやれるかね」チッ

ジムニー「無理だよ」

ハスラー「なんだって?」

ジムニー「カプチは昔っからああなんだよ、趣味が悪いんだ」


ハスラー「ふん……解ってるじゃないか。つまりスタイリングで巻き返しなんかできない、トナカイカーの座は諦めるって事だな」

ジムニー「それも諦めない、叶わなくても最後までやり切るさ──」



33: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/15(木) 13:17:57 ID:RyS/TzeA


アクア《──スタイリング評価、最初のエントリーはエスティマさんです! ミニバンらしからぬ流線型フォルムは、この種目でも高得点が期待できまね!》

アコード《彼は積載性でもまずまずの加点を受けてますからね、これはかなりイイ線いくんじゃないでしょうか》

アクア《この種目ではサンタさんが自ら審査員として会場に赴いています! 果たして点数は100点中いくつでしょうか!》


サンタ「ボンキュッボンのキュッが無いから5点」ケッ

エスティマ「えっ」ガーン


アクア《これは残念! あくまでエロスを求めるサンタさんからは辛口の評価がなされました!》

アコード《ボンキュッボンだとアメ車くらいしか当てはまらなさそうですね》

アクア《残念ながらこのトライアウトはあくまで日本のトナカイカーを決める舞台、外車の出場は予定されていません!》



34: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/15(木) 13:19:40 ID:RyS/TzeA


オオォッ…スゴイ テンスウ ダゾ!!
ザワザワ…


アクア《おっと、会場に何やらどよめきが起こっています! 高得点が出たようです!》

アコード《審査を受けたのはZ34のフェアレディZのようです、アメ車的なフォルムはZ32をピークに薄れたようにも思えますが……》

アクア《点数は驚きの85点! 確かに曲線美を感じるフォルムではありますが、何がサンタさんの心を捉えたのでしょうか!》


Z34「そりゃこのセクシーなヘッドライト&テールランプのデザインさ」フッ

サンタ「ネーミングがフェr」
アコード《そこまでだ》


ハスラー「なんてこった……スタイリング評価じゃないのかよ……」クッ

ジムニー(◯◯ニー……きびしいか)ウムム…



35: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/22(木) 12:35:31 ID:ZWzxKQY.


………


…会場からの帰り道


カプチ「──ジムニー、元気出して」

ジムニー「うん……」トボトボ

カプチ「頑張ってる姿、かっこよかったよ」


ジムニー「でも判定はDだったよ……絶望的だよね」ハハッ

カプチ「Dの人は他にもたくさんいたじゃない」

ジムニー「だいたいスポーツタイプの人達だったけどね……彼らは特設サーキット走りたくて来てるようなもんだしさ」


カプチ「ジムニーが本当に得意なのは悪路だもん。そこを審査する項目が無いから、不利なのは仕方ないよ」

ジムニー「……そうだね、ありがと」ニコッ

カプチ「やっと笑ってくれた、よかったぁ」エヘヘ

ジムニー「もう大丈夫、立ち直ったよ。クロカンがしょげて車高低くしてちゃダメだよね」

カプチ「そうだよ! リフトアップしてんのかってくらい胸張ってなきゃ!」フンス



36: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/22(木) 12:36:53 ID:ZWzxKQY.


カプチ「おウチ到着ーっと。また明日、ちゃんと元気な顔でね!」

ジムニー「うん、わかった」


カプチ「精一杯やったんだから、悔やむ事なんか無いんだよ! 来年また頑張ろ!」

ジムニー「あい」

カプチ「じゃ、おやすみー!」フリフリ

ジムニー「おやすみ、また明日な」


ジムニー(……でも、本当に悔しかったのは──)


『──望み薄なのは同じだけど、一応B判定だったよ。いずれカプチちゃんからの評価も、キミを上回ってみせるさ』


ジムニー(ハスラーに……言い返せなかった事なんだ)

ジムニー(いつか本当に──)



37: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/22(木) 12:38:26 ID:ZWzxKQY.


……………
………


…クリスマスイブ当日、午後7時


ジムニー「──やっべえええぇえぇぇ!」ブイイイィイィィィン!


ジムニー(しまった……! 山に薄っすら雪が積もった事に興奮して、雪中林道で遊んでたら遅くなった!)

ジムニー(もうみんなパーティー会場に集まってる……ってか、7時だからパーティーそのものが始まっちまう!)

ジムニー(カプチに先に行っといてもらったのはいいけど、ハスラーと二人きりにしたら絶対ちょっかいかけてくるだろ!)


ブイイイィイィィィン……キュキュッ!
……ジュリッ──


ジムニー「──おっと」グイッ!

ジムニー(街でも少し雪降ったんだな……日陰だったとこには残ってる)



38: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/22(木) 12:40:16 ID:ZWzxKQY.


ジムニー(……ん?)チラッ

シルフィ「あぁ、もし…どなたか……」オロオロ

ジムニー「どうしたんです、お婆さん」

シルフィ「道の勾配で滑ってしまってねぇ……動くと側溝に落ちてしまいそうで…」

ジムニー「ああ……凍り始めてるのか……」


…ハラリ……ハラハラ……


ジムニー(雪……また降り出した、これは積もるぞ)

ジムニー(時間が……でもこのままじゃ、お婆さんは雪が溶けるまで動けなくなる)


ジムニー(俺は、なんのために四駆なんだ──)

シルフィ「参ったねぇ……」ヤレヤレ

ジムニー「──お婆さん、牽引ロープかけるよ」チャキッ



39: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/23(金) 10:32:03 ID:30rGx7JQ


………


…パーティー会場、午後8時


コペン「──めりくりーーっ!」

ワゴンR「めりくりめりくり!」


ワイワイ、ガヤガヤ、プップー
ウルセー ダレダ ホーン ナラシタ ヤツ!


N-ONE「今年もすごい人ねぇ」

ハスラー「トライアウトに敗れた人達にとっての反省会でもあるからね」

プレオ「反省会ってより、ヤケクソ打ち上げ会って感じだけどね」

タントカスタム「チョーウケルー」



40: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/23(金) 10:33:02 ID:30rGx7JQ


キャラバン「ちくしょぉぉぅ……ちくしょぉぉぉぅ……」ウィーヒック

エルグランド「おいおい、泥酔するにゃ早いぜ」


アルファード「仕方ねーべ。採点はほぼ互角だったのに、結局選ばれたのはハイエースだもんな」

エルグランド「今ごろはプレゼント配達の真っ最中だろ」

エリシオン「夕方見た時には、もうツノのトロフィーを前ピラーに着けて、エンブレムのとこにも赤鼻光らせてたぜ」


キャラバン「てやんでぇ……おい、酒だ! 軽油、ジョッキで持ってこい!」

エリシオン「あ、俺はスーパーゼアスね」

アルファード「んじゃ、俺はV-Powerで!」

マーチ「カシコマリー」



41: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/23(金) 10:33:43 ID:30rGx7JQ


86「当たり前だけど、スポーツタイプじゃトナカイカーになる事は無いんだろうな」

BRZ「まあ、積載性が何よりねぇ」

S2000「俺なんかセキュリティ面でアウトだもんよ」

ロドスタ「わかる、ナイフ1本で開けられちゃうもんな。幌車の辛いとこね」ウンウン


アテンザ「おつまみ、何か追加頼む人ー?」

ハリアー「あ、LEDのバルブお願い。6000Kくらいのやつね」

ヴェゼル「6000って、ちょっと青くね? 俺5000Kでいいわ」


フォレスター「さっき頼んだヴィーゴのロックまだ来てないんだけど、大至急ねー!」フリフリ

マーチ「カシコマリー」


カプチ(ジムニー、遅いな……)ハァ…



42: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/23(金) 10:34:18 ID:30rGx7JQ


………


…その頃、街中


ジムニー「──せーので引っ張るよ!」ブォンッ!

フィールダー「悪いなぁ、助かるよ……」

ジムニー「いいって、いくよ? せーの!」ブオォォォン……


デミオ「すみませーん! あっちでCX-3ちゃんが止まっちゃって…」

ジムニー「はいはい、すぐ行くよー」ヤレヤレ

フィールダー「すみません、お礼に添加剤でも」

ジムニー「気にしないで、今度は滑らないように家まで帰ってね!」



43: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/23(金) 10:34:59 ID:30rGx7JQ


ジムニー(雪、すごいな……みんなパーティー会場から帰れるのかな)

ジムニー(まあ、カプチは俺が連れて帰るから心配ないけどさ)

ジムニー(……それともいっそ、今日は──)チラッ


【HOTEL エロエロハット/満室】


ジムニー(──空いてるわけないか……いやいや、何を考えてんだ!)ブンブン


プレミオ「おおおぉぉぉい、そこの若いの、助けてくれええぇぇぇい……」

ジムニー「おいおい、爺さん。なんでこんな日に散歩したんだよ……げっ、後ろ片っぽ脱輪してんじゃん!」

プレミオ「どうせあちこち擦っとるからのぉ、気にせんと引っ張ってくれんか……」フォッフォッフォッ

ジムニー「解った、フロントしっかり右に切っといてよ」


ジムニー(こりゃ、会場行けるの何時になるかなー……)フゥ…



44: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/23(金) 18:33:58 ID:d5FIHgzA


………


…住宅街


ハイエース「──くそっ、遅れ気味だ」ガロロロロ…ッ!

サンタ「雪道だし、あまり飛ばさないように。飛ばすのは私に任せウッ…ふぅ……」


ハイエース「でもサンタ爺さん、このままじゃ街の全部の家を回れないぜ」

サンタ「何年か前にも酷い雪でね、途中からセカンドトナカイカーに出動してもらったよ」

ハイエース「セカンド……俺は、一人でやりきりたい」


サンタ「まあ、このペースならどうにかなるでしょ。ただ、山の上の集落だけは厳しいかもしれん」

ハイエース「山の上って、あの隣市の方から回りこんで長い峠道上がってく、あの集落か?」

サンタ「そう、街に近い方から上がってゆく道もあるが、あれは普通車が通れる幅じゃないしなぁ」



45: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/23(金) 18:34:59 ID:d5FIHgzA


ハイエース「去年や一昨年は、そこに子供はいなかったはずだろ」

サンタ「引っ越してきたそうだ。可哀想だが、そこの子にはクリスマス明けにネコミミヤマトで届けてもらうしかあるまい」


ハイエース「……そこだけ、誰かの手を借りるとか」

サンタ「セカンドをつけるのは嫌なんじゃないのか?」

ハイエース「クリスマスに子供が寂しい想いする方が、もっと嫌だよ」チッ

サンタ「なるほど、三年もトナカイ役をこなしていれば、すっかり板につくものだな」ニヤリ


ハイエース(もう9時になろうとしてやがる……)チラッ

ハイエース(プレゼントを配れるのは、深夜0時まで。間に合わないか……くそっ)

ハイエース(街の方から上がれる……細道…ダメだ、普段でも危ないのに雪まで積もってちゃ)

ハイエース(でも……)


ガロロロロロロロ……ッ!



46: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/23(金) 18:35:55 ID:d5FIHgzA


………


…パーティー会場、午後9時


レヴォーグ「──おい! みんな、ちょっと聞いてくれ!」

アウトランダー「どうしたんだよ、急にでかい声出して」


ヴェゼル「また水平対抗だからプラグ交換し難いとか、自虐風自慢するんじゃねーの」ケッ

レヴォーグ「うるせーよ、その判りにくい後ろのドアノブ赤に塗るぞ」

アウトランダー「いいから、何か言う事あったんだろ?」

レヴォーグ「ああ……そうだ。今、ハイエースさんから電話があってよ──」


『──このままだと山の上の集落にプレゼント届けるのが間に合わねえんだ』

『どこも渋滞気味だ、おそらくもう隣市から回ったんじゃ時間が足りない』

『危険だが、神社の脇の細道を登り切れる自信がある奴はいないか──?』



47: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/23(金) 18:36:33 ID:d5FIHgzA


アウトランダー「──あのへんは午後には日陰だったからな……積雪どころか、下は凍ってんじゃないか」

レヴォーグ「そもそもあの道は、ただでさえ5ナンバーサイズでギリ通れるかどうかの幅員だ」

ヴェゼル「軽ならイケるんじゃねーか?」

アウトランダー「ガードレールも無い未舗装路だ、よほど走破性の高い奴じゃなきゃ無理だぞ」


コペン「パジェロミニちゃん、行けるんじゃない!?」

パジェロミニ「私……二駆のグレードなんだ……」ウッ

コペン「なんかごめん…」

タントカスタム「チョーウケルー」



48: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/23(金) 18:37:25 ID:d5FIHgzA


ワゴンR「ハスラー君なら! 四駆でしょ!?」

ハスラー「……情けない話だけど、積雪の未舗装路となるとボクじゃ無理だ」ショボン…

コペン「ダメかぁ……そりゃ、危ないよね」


ハスラー「くそっ」

ワゴンR「ごめん、変に自分を責めないで」

ハスラー「違うよ……言いたくもない事を言おうとしてるからさ」

ワゴンR「え?」


ハスラー「行ける奴なんて、一人しかいない。馬鹿でガサツで全然お洒落じゃないくせに、でも悪路なら誰よりも強い……アイツなら行ける」チッ


コペン「……!! そっか、ジムニー君なら……カプチ! ジムニー君、もう来た!?」キョロキョロ

ワゴンR「あれ? カプチは……?」キョロキョロ

ハスラー「そういえば、さっきから見ないな──」



49: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/24(土) 12:14:12 ID:qug0LwiQ


………



ジムニー(──はぁ……もう嵌って困ってる人もいないかな)


ゴハン オイシカッター コレカラ ドウスルー?
ワタシニスル? ワタシニスル? ソレトモワ・タ・シ?
ナーンチャッテ///


ジムニー(いつの間にやら、周りはカップルばっかりだ)

ジムニー(……カプチ、怒ってるかな──?)


カプチ「──あ! いた!」

ジムニー「ん?」

カプチ「ジムニー! こっちこっちー!」



50: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/24(土) 12:14:55 ID:qug0LwiQ


ジムニー「え!? カプチ……なんで、お前はこんな積雪路で外出してたら危ないだろ!」

カプチ「だって、ジムニーがぜんぜん会場に来ないから…もしかして、やっぱり落ち込んでて顔を出せないんじゃないかと思って……」

ジムニー「あー……そっか、ありがとな。でも、そうじゃないんだ」


カプチ「そうなの? じゃあ何してたのよ?」

ジムニー「あちこちで雪に嵌っちゃった人がいてさ、それを助けて回ってた」

カプチ「あはは、なーんだ。でも、ジムニーらしいな」クスクス


ジムニー「へへ……じゃあ、行こう」

カプチ「うん、よろしく」

ジムニー「ん? なにをよろしく?」

カプチ「嵌って動けないの……」

ジムニー「えー……」ヤレヤレ



51: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/24(土) 12:15:31 ID:qug0LwiQ


………



ジムニー「このくらいのペースで大丈夫?」トロトロ

カプチ「うん、平気」トロトロ


カプチ(でも、ずっと牽引ロープで繋がったままって、なんだか照れちゃうな)テレテレ

カプチ(……嬉しいけど)

カプチ(前に観た映画、雪道でレンジストーマーがエリーゼお嬢様の手を引いてたっけ)

カプチ(えへへ、憧れてたんだぁ)ニヤニヤ


ジムニー「会場、こっちだよね?」

カプチ「う、うん……でも」

ジムニー「?」

カプチ「……ちょっと、遠回りして行きたいな──」



52: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/24(土) 12:16:05 ID:qug0LwiQ


………


…公園、遊歩道


カプチ(──って、言ったら人影まばらな公園の遊歩道)ドキドキ

カプチ(ジムニー、意外と大胆なのかな……うわ、この先は真っ暗だよ? もしかして…?)ソワソワ

ジムニー「はー……やっぱり木々の多いとこは落ち着くなー、林道みたいで」

カプチ(落ち着いてるんかいっ!)ガーン


ジムニー「寒くない?」

カプチ「エンジンかかってたら、寒い方が快調だよ」

ジムニー「そだね、たまにはこんなのもいいな」



53: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/24(土) 12:16:52 ID:qug0LwiQ


カプチ「たまに……じゃなくて、いいよ?」

ジムニー「ん?」


カプチ「きっとジムニーのせいだよ」

ジムニー「なにが? なにか悪い事した…?」

カプチ「ううん、私……FRのくせに街中より、こういうところの方が好きみたい」

ジムニー「公園とか?」

カプチ「林道とか、河川敷とか……つまりジムニーが輝いて見える場所だよ」


ジムニー「か、輝いて…って」テレテレ

カプチ「なかなか一緒にそこへ行けないのが寂しいなぁ」

ジムニー「……連れて行きたくはあるんだけど」

カプチ「連れてってよ。私は入れるとこまで入って、ジムニーが走り回ってるのを見てるだけでいいの」



54: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/24(土) 12:17:27 ID:qug0LwiQ


ジムニー「でも……あんまりそんな山の中とかに女の子を連れてってたら、カプチだって心配されちゃうだろ」

カプチ「なんの心配?」

ジムニー「そ、そりゃ……その……」ゴニョゴニョ

カプチ「私だって、もう小さな女の子じゃないんだよ? 排気量は変わらないけど」


ジムニー「だからだよ」

カプチ「そう、だから……だよ?」


ジムニー「え? カプチ……っ?」


……チュッ


カプチ「……ずっと、好きだったよ」

ジムニー「カプチ……」



55: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/24(土) 12:18:33 ID:qug0LwiQ


カプチ「大丈夫、幼馴染みのジムニーとなら、パパもママも安心して見守ってくれると思うの」

ジムニー「……俺も、好きだよ。カプチ」

カプチ「よかった……えへへ、よろしくね」ギュッ


ジムニー(う……カプチ、甘い匂いがする。カストロール入れてる…?)ドキドキ

カプチ(ちゃんと勝負オイルに換えてきたんだから……準備はできてる、心の準備も……!)ドキドキ


ジムニー「カプチ……会場、戻れなくてもいい?」ゴクリ

カプチ「……そういう事、訊かないの」スリスリ

ジムニー「俺……我慢できない」

カプチ「うん、いいよ……ジムニー、底見せて」


ジムニー「今日は雪道で遊んだから汚れてるよ?」

カプチ「いいの、ジムニーらしくて好き」

ジムニー(う……底見せちゃった……いつ以来かな…前はまだ子供だったけど)ドキドキ



56: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/24(土) 12:19:25 ID:qug0LwiQ


カプチ「ふふ……このラダーフレーム、大好き」チュッ…

ジムニー「く、くすぐったいよ」ピクッ


カプチ「ねえ、前にオイル換えたのいつ?」

ジムニー「……5,000kmちょっと、そろそろと思ってた」

カプチ「じゃあ溜まってたんだ……私が換えてあげるね? カストロールの化学合成油、持ってきてるんだ」


ジムニー「え……!? 汚れちゃうよ!」

カプチ「ジムニーに汚して欲しいの、ほら……恥ずかしがってもドレンから少し滲んでるよ?」ハァ…ハァ…

ジムニー「だって、我慢できない…」


カプチ「ん…」ペロッ

ジムニー「あぁっ……ばかやろ、急に舐めたりすんな」ビクンッ

カプチ「あは、鉄粉の味がする……緩めてくよ?」ドキドキ

ジムニー「うぁ……あっ…だめだ、エンジン温もってるからすぐ出そうに…っ!」ドクッ…ドクンッ…!

カプチ「ぷぁ…っ、いいよ…出してっ──」



57: 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/12/24(土) 13:49:13 ID:EPAsYdk2


何出してやがるんだ



58: 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/12/24(土) 14:07:05 ID:PFnEeuvI


発想が狂ってる(褒め言葉)




59: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/24(土) 15:58:45 ID:PkTAf0ko


S2000「──見つけたぁっ! お前ら、なにこんなとこで不純異性交遊してんだ!!」

ジムニー&カプチ「うわああああぁあぁぁぁっ!?」


S2000「急げ! ジムニー! お前の出番だ!」

ジムニー「で、出番って…!?」

S2000「お前じゃないとプレゼントを届けられない場所があんだよ! お前がセカンドトナカイカーになるんだ! 」


ジムニー「セカンド……俺が…?」

カプチ「ジムニー! すごいよ!」



60: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/24(土) 15:59:32 ID:PkTAf0ko


ジムニー「で、でも……もうドレン緩めてて…」

S2000「時間が無えっつってんだろ! おらっ!」キュルキュルスポーン!ドクドクドクドク…

ジムニー「ひぎぃ」ビクンビクン

カプチ「ジムニーーーっ!!」


S2000「ほら、エクスターオイル飲め! 飲め!」コポコポコポ…

ジムニー「げふっ…ごほっ、も、もう規定量…!」

S2000「はい終わり! 行けっ!」

ジムニー「うぅ……慣れた鉱物油の味…」グスン


カプチ「ジムニー! 急いで! プレゼントは午前0時までしか配れない!」

ジムニー「う、うん…でもカプチ……」

S2000「俺と二人きりになったって、妹のツレに妙な真似なんかしねぇよ! それに俺は一度停まったから、もうここから動けねぇ!」

カプチ「私も、動けない」



61: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/24(土) 16:00:07 ID:PkTAf0ko


ジムニー「……解りました。俺、行きます!」ブォンッ

S2000「神社のところでハイエースさんが待ってる! ブッ飛ばせ!」

ジムニー「はいっ!!」ジャリッ…ギャギャッ!!


ブオオオォオォォン……


S2000「……カプチちゃん、助け呼べるアテある? あ、だめだ、滑る、側溝落ちそう」ツツツーーー

カプチ「無いです」

S2000「あっ」ガコンッ



62: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/24(土) 16:01:04 ID:PkTAf0ko


………


…神社前


ハイエース「──来たか!」

ジムニー「すみません! 待たせました!」ズシャアッ


サンタ「よし、それでは手分けをするか……ミニスカサンタ娘」

ミニスカ「はい、お祖父様」

ジムニー「こちらは……?」

サンタ「私の孫だ、こいつを乗せてやってくれ」

ミニスカ「キャッ…いきなり騎乗位だなんて」ポッ



63: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/24(土) 16:01:52 ID:PkTAf0ko


ハイエース「ジムニー、この道はとにかく狭い。舗装もされてねえ……気をつけて行けよ」

ジムニー「何度か登った事ならあります!」

ハイエース「馬鹿野郎、積雪時の経験もあるってのか?」

ジムニー「それは……」フルフル


ミニスカ「それじゃあ、お守りのツノトロフィーもちゃんと着けましょうね」

ハイエース「ツノは毎年使い回しだろ? 予備があったのか?」

ミニスカ「ちゃんとセカンド用がありますわ。ほらっ」ピタッ

サンタ「鼻飾りもな」ポチッ


ジムニー「へへへ……どうですか? ハイエースさん」クルッ

ハイエース「ああ、なかなか勇ましいぜ」

ジムニー「憧れてたんだ……嬉しいなぁ」ジーン

ハイエース(どう見てもシカのツノと正月飾りのミカンだけど、言わねぇでおくか……)



64: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/24(土) 16:02:27 ID:PkTAf0ko


ジムニー「じゃあミニスカサンタ娘さん、乗って下さい! 急ぎます!」ヴォンッ

ミニスカ「失礼しまぁす、んっ…」ウットリ

ハイエース「さすがこのジジイの孫娘だぜ」


ジムニー「ハイエースさん、呼んで頂いてありがとうございました。残りの道、お気をつけて!」

ハイエース「生意気言ってんじゃねーよ、そっちこそ谷に落ちるんじゃないぞ」

ジムニー「はい、気をつけます! それじゃ!」ヴォンッ!

ミニスカ「あんっ…激しいっ……」


ブオオォォォン……


ハイエース(……本当に気をつけて行けよ)

ハイエース(上手くこなせば……山の上の集落に子供がいる限り、お前は不動のセカンドになれる器だ──)



65: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/24(土) 16:03:03 ID:PkTAf0ko


………



ブオオオオォォオォォッ!
ジャリッ…ザザザッ!


ジムニー(──くそ、ハイエースさんの言う通りだ)

ジムニー(走った事はあっても、夜……しかも積雪路。路面の凹凸や転石が全く判らない)


ゴロッ……ズザザッ!


ジムニー「うぉっ…と!!」ガタンッ!ズシャァッ…!

ミニスカ「すごい突き上げ……サスが底突きしちゃいそう……っ!」ビクンビクン

ジムニー「大丈夫ですか!? 喋ってたら舌噛んじゃいますよ!」ヴォオオオォォォッ!

ミニスカ「もっとぉ…もっと激しくぅっ!」トローン



66: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/24(土) 16:03:44 ID:PkTAf0ko


ジムニー(五合目は超えた……でも、この先に丸太橋があったはず)

ジムニー(登り勾配に設置してあったし、左右の勾配さえ怪しいもんだ。滑ったら谷底だぞ…)


ガォンッ!ブロロォオオォォッ…!
パラパラパラ…


ジムニー「あった…! 丸太橋だ!」

ミニスカ「私、マグロじゃないもん!」

ジムニー「ミニスカさん、一応降りて下さい。渡りきったところでまた乗ってくれたら」

ミニスカ「お預けは嫌ぁ…」ウルウル

ジムニー「……知りませんよ、じゃあ突っ切ります! 4L切替…本気モードだ!」ヴォンッ!ヴォオオォォォ…


ガタッ…ズズズッ……
…ヴォンッ…ブロロロロ……ヴォンヴォンッ…


ジムニー「もう……少し、丸太の継ぎ目からタイヤを外さないように…っ!」

ミニスカ「私、この振動知ってる……っ」ヴヴヴヴヴ…



67: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/24(土) 16:04:17 ID:PkTAf0ko


ジムニー「よし……丸太橋クリア! あとは路面は悪くても普通の林道と変わらないはず…!」ガォンッ!ヴォオオオォォォ…

ミニスカ「フィニッシュ間近……いいわ! どこにでも!」ハァハァ


ポロポロ…カランッ…
ザシャッ…ズズズ……


ジムニー(でも油断はできない……あちこちで小規模な落石が起きてる)

ジムニー(この先の道が、無事とは限らないな──)


──ザザッ!ブロロロオオォォォォッ…!
ザザザッ…ヴォンッ!

ズシャァッ!


ジムニー「!!」

ミニスカ「あぁんっ…急に止めるなんて意地悪…っ」ビクッ…ビクンッ…

ジムニー「道が…半分埋まってる…!」



68: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/24(土) 16:04:52 ID:PkTAf0ko


ジムニー(片側が谷のところじゃないだけマシだけど、軽自動車分の幅さえ残ってない)

ジムニー(横方向の角度は30度はあるか……側面が岩壁だから転倒はしようが無いものの、ボディはガリガリだな…)


ジムニー「でも──」ヴォンッ…!!

ミニスカ「あぁ……入ってく…! 隙間を押し分けて入ってくる……っ!!」ゾクゾク

ジムニー「──ジムニーがキズを怖れてどうすんだっ!」ヴォオオオォォォォッ!!


ガリッ…ギギギギ…ッ!
ヴォオオォォォンッ…ヴォンッ……メコッ…ガリガリガリッ!


ジムニー「ぐっ……痛くない…っ!」グググ…ッ!

ミニスカ「こ…擦れちゃってるよぉ……!」ガクガク

ジムニー「キズ……錆…泥汚れ……全部っ…! ジムニーの勲章だっ!!」ヴォオオオォォオォォンッ!!

ミニスカ「らめえええぇえぇぇぇっ……!」ビクンビクン


ザザッ!ズシャッ!


ジムニー「越えた……! 駆け上がるぞ──!!」ヴォンッ!!



69: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/24(土) 16:05:33 ID:PkTAf0ko


……………
………


…26日、午後


ジムニー「──痛てて…」

カプチ「ジムニーと言えど、さすがにこの凹み具合は入院・板金コースだねぇ」クスクス

ジムニー「年末だからどこもいっぱいだって、錆止めだけ塗って帰されたけどね」

カプチ「じゃあ年始早々、入院療養かぁ……大変だね」


ジムニー「退屈だから、見舞い来てくれよな」

カプチ「行きますとも、私は貴方のカノジョさんですから」ニヤニヤ

ジムニー「わ、わざとらしい言い方すんなし」テレテレ



70: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/24(土) 16:06:11 ID:PkTAf0ko


ジムニー「プレゼント貰った子供、喜んでたけど驚いてもいたなー」

カプチ「あはは……だって、左側面がベコベコになった車が来たんだもん、そうなるよ。ほとんど事故車だよ?」ケラケラ

ジムニー「……でも『格好いい!』って言ってくれたよ」ポリポリ

カプチ「うん、ジムニーはカッコいいよ!」フンス

ジムニー「へへへ、照れるぜ──」


ハスラー「──なにヘラヘラしてんのさ、見せつけるのも程々にしてくれよ」チッ

ジムニー「ハスラー……ありがとうな、お前が俺の名を挙げてくれたんだろ?」

ハスラー「ふん、雪さえなきゃボクが行ってたさ」プイ


ジムニー「そうだね、雪と最後の土砂崩れが無かったら、ハスラーでも行けたと思うよ」

ハスラー「……本当かい?」チラ

ジムニー「うん、お前だってスズキの誇る立派なクロスオーバーだろ」

ハスラー「おだてたって何も出ないぞ」

ジムニー「おだててるんじゃないよ」クスクス



71: ◆M7hSLIKnTI :2016/12/24(土) 16:06:44 ID:PkTAf0ko


ハスラー「あー、うん……その、ジムニー……よかったら、なんだけどさ──」


S660「──あ、カプチ!!」

コペン「出た! 噂の二人だ! これはお話きかなきゃ!!」フンスフンス

タントカスタム「チョーウケルー」


ジムニー「うわ……これ、まさか」

カプチ「あぁ、もう…っ! S2000先輩、内緒にしといてって頼んだのにぃっ!」ガーン


ジムニー「悪い、ハスラー! また今度聞くよ! カプチ、逃げるぞ!」ヴォンッ!

ハスラー「あ、ああ……また」

カプチ「ごめんね、ハスラー君!」キュキュッ!ヴイイィィィィン……


ニゲタゾー!オイカケロー!
マテマテー!ドコマデヤッタ カ キカセロー!


ハスラー「やれやれ、妬けるね」フゥ…

ハスラー(でも、また今度……林道連れてってくれよな──)



【おわり】



.
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テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

  1. 2016/12/24(土) 16:18:43|
  2. 擬人化SS
  3. | コメント:2

運命の人(原題/ディーラー「納車だよ。保護シートとるからね」 アルト「えっ」)



1 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 13:41:07.95 ID:Ufqq/dgXo


ディーラー「──ではこれで書類も全部頂きました、もう車も入ってきてますので」トントンッ

青年「は、はい」

ディーラー「おそらく来週には納車できると思います」

青年「うわぁ…楽しみだなぁ」


ディーラー「裏の屋根つきのヤードにありますけど、見ますか?」

青年「え? 僕の車ですか?」

ディーラー「ええ、まだ保護シート貼られたままですけどね」

青年「はい、見たいですっ」



2 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 13:42:11.28 ID:Ufqq/dgXo


ディーラー「こちらになります」

アルト(…ふーん、この人が私のご主人様になるのね)チラッ


青年「なんの変哲もない軽四ですけど、やっぱり可愛いですね」

アルト(かっ…!?)ドキィッ

ディーラー「ははは…注文頂いたオプション品を装着すれば、もう少し見た目が引き締まりますよ」

青年「それも楽しみです」


アルト(うふふ…いかにも遊んでなさそうなウブな感じ。悪くない、けっこうタイプかも)ホクホク

青年「じゃあ納車準備ができたらまた連絡お願いします」

ディーラー「かしこまりました」

アルト(保護シート貼ってる間はまだコミュニケーションとっちゃダメなのよね、残念だなぁ)


青年「…また納車の日にね、僕の初めての車さん」ニコッ

アルト(待ってるわ、ダーリン…なんちゃって! えへへ──)ニヤニヤ



3 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 13:42:44.30 ID:Ufqq/dgXo


……………
………


…三日後


DQN「──ざけんな、今日って言ってたじゃねえか、あぁ?」

ディーラー「申し訳ありません、電話でお伝えした通りメーカーの配車ミスのようで…」


DQN「そんなのこっちにゃ関係ねえんだよ! どうすんだ、俺は納車をアテにして実家へ帰る段取りもとってんだぞ?」

ディーラー「代車でよろしければすぐに用意いたします」

DQN「馬鹿野郎! もう先の短いバアさんに新車見せるって約束してんだよ!」バァンッ!

ディーラー「ひっ…!」


DQN「俺は見てんだぞ? 裏のヤードに一台あったじゃねえか、あぁ?」ニヤリ

ディーラー「あ、あれは他のお客様が…」

DQN「そいつの納車予定は?」

ディーラー「来週…ですが」

DQN「じゃあ俺用に注文してるやつをそっちに回しゃいいだろう」

ディーラー(……確かに、偶然にも同じ色の同じモデル…オプションはまだ着けていないし──)



4 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 13:43:12.91 ID:Ufqq/dgXo


………



ディーラー「──納車だよ。保護シートとるからね」ビリッ、ビイイィーーーッ

アルト「えっ」

ディーラー「ちょっと言っていたより早くなってしまったが、がんばってお仕えするんだよ」

アルト「は、はい…」キョトン…


ディーラー「どうぞ、お客様。準備できました」

DQN「おお、やっぱ新車だな。ピカピカだ」

アルト「ちょ…この方は?」

ディーラー「君のご主人様だよ、予定と変わってしまったけどね」



5 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 13:43:38.34 ID:Ufqq/dgXo


アルト「そんなっ! 私のご主人様なら三日前会ったはず…!」

DQN「あぁ? 車が持ち主を選り好みすんのか?」

ディーラー「それはしてはいけないと生産ラインで教えられたはずだろう?」

アルト「くっ…でも…っ!」


DQN「まあいいさ、調教のし甲斐があるってもんだ」クックックッ…

ディーラー「……許してくれ」


DQN「さあ、走ろうぜぇ? たっぷり可愛がってやんよ…ひひひ」

アルト「い…嫌ぁっ、近づかないでっ!」

DQN「ははっ…俺がキーを挿入てやらないと逃げる事もできねえ癖によぉ」



6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 13:44:14.68 ID:upVyVmH70


アルトがマクロスのアルトを思い出してちょっとキモい

続けて




7 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 13:44:53.11 ID:Ufqq/dgXo


アルト「キーなんて挿入られたくないっ! 私はスマートキーだしプッシュスタート──」

DQN「──おらっ!」ズブッ!


アルト「ひぐっ! 違っ…そんなの…っ!」ビクッ

DQN「おら、回すぜ? 素直に開けよ」グリッ

アルト「駄目ぇっ…ボタンで開…けない…とっ! イモビライザーが鳴っちゃ…うからぁっ…!」ビクッ…ヒクンッ…


ディーラー「お、お客様…ここは彼女の言う通りにして下さい。本当に警報が鳴ってしまいます」

DQN「チッ、しゃあねえな……ほらよ」ポチッ、ピピッ

アルト(うぅ…開きたくなんかないのにっ…!)ガチャッ


DQN「ヒューゥ…室内(なか)も綺麗じゃねえか、ココに初めて乗ると思うと興奮モノだな」ニヤニヤ

アルト「いや…見ないで……乗らないでっ」グスッ

DQN「馬鹿言ってんじゃねえ、買ったモノに乗れないなんて理屈あるかよ……っと!」ボフッ!

アルト「ああああああぁあぁぁっ!!」ボロボロ…



8 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 13:45:40.91 ID:Ufqq/dgXo


DQN「さて、エンジンをかけるのは…ココかぁ?」サワッ

アルト「違っ…! そこはハザード…!!」チッカチッカ

DQN「じゃあこっちか?」コソコソ

アルト「んんっ…! 内気循…環…っ!」コオオォォォ…

DQN「ココはどうだよ? あぁ?」クイッ!

アルト「やだっ! 給油口が開いちゃうからぁっ!」ビクンッ…クパァ…


DQN「はははははっ…! 冗談だよ! …ココだろぉ?」ポチッ!

アルト「そんな…いきなりっ! あああぁっ…」ズキュキュッ!ブウウゥゥゥン…

DQN「けっ、澄ました顔しといてアッという間に始動してやがる。はしたねえなぁ、おい?」

アルト(うぅ…もっとロマンチックなハジメテに憧れてたのに…)



9 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 13:46:24.84 ID:Ufqq/dgXo


DQN「ドライブに挿入るぜぇ?」グッ

アルト「えっ…! もっとアイドリングしてから…!」ビクッ

DQN「うるせえ!」ガコッ

アルト「ひぐっ…!! あぁ…挿入った……挿入られちゃ…った…」ガクガク


DQN「ふぅ、まだノブが少し固てぇな…じきにほぐれるか」

アルト「うっ…ううっ……」グスンッ

DQN「さあて、ブレーキを放して……いよいよアクセルオンだ。いい声で啼けよぉ?」クックッ…

アルト「もう…好きにしてよ……」フイッ

DQN「観念したかよ、じゃあ遠慮なく踏み込むぜ」グッ…



10 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 13:46:50.93 ID:Ufqq/dgXo


アルト「んっ…くっ…」ブイイィィィィ……ビクッ…ヒクンッ

DQN「おいおい、まだちょっとアクセル挿入ただけだぜ? ハジメテにしちゃ随分レスポンスいいじゃねえか」ニヤリ

アルト「そんなっ…事ない…もんっ……んっ」ピクン…ジワァ…


DQN「じゃあ一ヶ月点検にはすっかり淫らになったコイツを連れてくるからよ、それこそドレン緩めただけでオイル垂れ流すくらいなぁ!」ゲラゲラ

ディーラー「お待ちして…おります…」ギリッ


DQN「おら、ウインカー点けろ」カチッ

アルト「うっ…んっ……あっ」チッカッチッカッ

DQN「イクぞ…? 走れよ」グイッ

アルト「…はっ…ああぁ…っ…あっ、あんっ…!」ブゥンッ…ブブブブブ…

DQN「よし、あのセレナの次に挿いるからな」

アルト(さよなら…さっきまでの綺麗な私──)



11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 13:48:26.56 ID:u2ps11JAO


最近のDQNはアルトに乗るのか……マッポーだな



12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 13:55:24.05 ID:R7sq0+eAO


新車の匂いってスゲー駄目
あれ臭くね?



13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 14:13:46.78 ID:VF8585yio


給油口開きっぱなしじゃね?



14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 14:20:04.26 ID:4MlEPuHwO


ワゴンRスティングレー「DQNよ、貴様なら我こそ相応しいぞ!」



15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 14:31:46.78 ID:+dV1+i2wO


>>12
俺狂おしいほど好きなんだが…



16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 14:52:33.84 ID:X3LWWus90


プリウス「坊やにあたしを乗りこなせるのかい?」



20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 15:10:44.16 ID:9I1fxk/aO


SUBARU「悪路?バッチこい」




17 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 15:09:27.73 ID:Ufqq/dgXo


………



アルト「うっ…ひっく……うぅ…っ」グスンッ…ブイイイィィィィ…

DQN「いつまで泣いてんだよ、いい加減受け入れろって」チッ

アルト「ふんっ」プイ


DQN「……イエローハット行くからな」グイッ

アルト「んぁっ…! まだ馴らし運転中でしょっ…いきなり踏み込まないでよっ!」ビクッ…ビクンッ

DQN「口の減らねえ奴だ、サスをフルボトムしてやろうか?」

アルト「嫌よ、乱暴にしないで…あああっ!」ブゥンッ!ブイイイイィィィィ…!


DQN「へへっ、乱暴な位が気持ちいいだろ…?」

アルト「こっ…こんなっ…急なキックダウンッ…気持ちいいわけ無いで…しょっ……んっ…!」ピクンッ…フルフル…



18 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 15:09:53.90 ID:Ufqq/dgXo


………


…イエローハット駐車場


DQN「じゃあ待ってろよ、つっても自分じゃ動けないだろうけどなぁ」ケラケラ

アルト「………」フイッ


アルト(……なんでこんな事になっちゃったんだろう)

アルト(私、素敵なご主人様の元に納車される日をずっと楽しみにしてたのに)

アルト(周りのみんなは…幸せなんだろうな…)チラッ


客A「──オイル交換予約してくるから、待っててね」

R34「ああ、化学合成油で頼むぜ」


客B「ほら、新しいワイパー買ってきたよ」

ロードスター「あら、エアロフォルムでス・テ・キ」

客B「君にはピッタリだよ」


客C「エアコンガスも換えたし、この夏はしっかり冷やしてくれよ」

アルファード「お任せ下さい、ご主人様」



19 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 15:10:41.01 ID:Ufqq/dgXo


アルト(…いいな、ああいう関係)

アルト(私も『相棒』とか『ご主人様』とか、心からそう呼べるヒトに乗ってもらいたかった)

アルト(そうしたらきっと、こんな風に『もう店から出て来なければいいのに』なんて思わなかったんだろうな──)


プリウス「──持ち主は元気で留守がいいわよねぇ」クスクス

MPV「ホントホント、この間もねぇ? 車内で子供がジュース零して…」

デリカ「んまぁ…どこのお宅も一緒ねえ」


アルト(……?)


Z「はぁ…大事にはしてくれるんだけどさ、ウチの持ち主あいかわらずクラッチミート下手でね…」

86「あー、上達しない人っているよね」

S15「っつーか安物のHIDなんか入れるなっつーの、光軸ブレブレだし」


アルト(みんな…不満あるの…?)



21 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 15:11:09.35 ID:Ufqq/dgXo

ワゴンR「また車止めでバンパー擦られたし、やんなっちゃう」

ムーヴ「少し下げてるんだっけ?」

プレオ「ワタシなんかホイールガリ傷ついちゃったんだよ?」

タントカスタム「チョーウケルー」


アルト(…なによ、下手糞だろうと安物でドレスアップされようと)

アルト(愛され大事にされてるなら、それでいいじゃない…!)


IS350「僕に乗るならもう少し服装に気を配って欲しいよね」

フーガ「フォーマルとは言わなくともねぇ」

A7「ジャージはやめて欲しいわ──」


アルト「──贅沢言わないでよっ!」キッ



22 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 15:11:49.97 ID:Ufqq/dgXo


ワゴンR「…なに? あの娘…」ヒソヒソ

プレオ「誰に言ったわけ?」ヒソヒソ

タントカスタム「チョーウケルー」


S15「お嬢ちゃん、どうかしたの?」

86「やめとけって、メンヘラじゃねえの?」ヒソヒソ


A7「いきなり大声とか、やっぱり育ちかしらね」フッ…

IS350「まあまあ…」クスクス


DQN「おー、待たせたな」

アルト「!!」


MPV「ああ…あれが持ち主…」ヒソヒソ

プリウス「ちょっとお気の毒かもね」ププッ

デリカ「しっ…聞こえるわよ」



23 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 15:12:16.95 ID:Ufqq/dgXo


DQN「へっへっ…尻出せよ」ニヤニヤ

アルト「こんなところでいやらしい事言わないでよっ!」

DQN「大人しくしてねえとセンターずれちまうぜぇ…?」ガサッ

アルト「……っ…!? それ…は…!」ガタガタ


DQN「いいだろ? 『D.A.D』のウインドウステッカーだ、じっとしてろよ」


ムーヴ「うわぁ…」

ワゴンR「ご愁傷様」

タントカスタム「チョーウケルー」


アルト「嫌…いやだ…そんなのっ! 私はアルトよ…ライフやスティングレーじゃないのっ!」グスッ…!

DQN「このへんかぁ?」ビイイイィィィ…

アルト「ひっ…! やめっ…」ポロポロ

DQN「ほーらよ…っと!」ペターーーッ

アルト「あああああっ…!!!」


86「アルトにD.A.Dって…」

Z「エグいわー」


アルト「ううぅ…嫌ぁ……お願い見ないで…」ブルブルブル…



24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 15:21:02.82 ID:KBrjaZ8LO


ほう



25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 16:04:01.30 ID:+qanMfTSO


やべえ
面白い



26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2015/07/03(金) 16:22:31.82 ID:MLgdE5aSO


ダメだ、面白いが耐えられん
先に脱落させてもらう


N-ONEかわいいよN-ONE



27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 16:55:33.14 ID:a9nMt/CTo


天才のそれ



28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 17:18:27.26 ID:V4xh2HMwo


俺もアルトに乗ってるせいでなんかNTRられた気分になるわww
面白いけど



29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 17:26:54.97 ID:I8qLSW0AO


不人気車に乗っている俺に死角はなかった
しかしアルトにステッカーとは……人間じゃねえ



30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 17:47:01.18 ID:KBrjaZ8LO


ランティスの俺に死角はなかった



31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 18:05:25.13 ID:R7sq0+eAO


給油で軽油入れられそう



32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 18:05:40.29 ID:JrEEhiG4o


アルト47万円



33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 18:24:03.49 ID:cAzAN9Km0


良かった。俺の乗ってる車はまだ出てないなw



36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 18:48:40.00 ID:8OVilpDLO


車なごと思ったけどガチの車だったwww




34 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 18:47:09.72 ID:qZuoZaqVO


……………
………


…数日後、DQNの地元


DQN「──もうすぐだからよ」

アルト「…あなたの実家なんて興味ないわ」ブイイイィィィ…

DQN「けっ…ちっともデレやしねぇ、ほらよっ」グイッ

アルト「ひうっ…! やめて! レブ打っちゃう…!」ブアアアアァァアァ!ビクビクッ!

DQN「へっへっ…カラダは正直だなぁ?」クックックッ…


アルト「くっ…お、お婆さんに見せるんでしょ! 乱暴に扱ってていいのっ!?」

DQN「アクセル踏んだところで傷がつくわけじゃねえだろうがよっ!」グイグイ

アルト「あっ…ああっ! だめっ!」ビクンッ…!



35 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 18:48:34.43 ID:qZuoZaqVO


DQN「よーし、ここが実家だ…いいか? バアさんの前ではツンツンするんじゃねえぞ?」ブウウゥゥゥン…プスン

アルト「………」

DQN「返事はっ!?」

アルト「…解ったわよ」

DQN「ちっ、『ハイ』って言えってんだ」ガチャッ…バタムッ

アルト(言う事きかないとどうされるか解ったもんじゃないわ…)フゥ…


アルト(…けっこう田舎だな)

アルト(こういう所の方が他の車の目につかなくていいかも)

アルト(そんな風に考えちゃう事自体寂しいけど──)



37 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 18:49:13.04 ID:qZuoZaqVO


………



DQN「──バアちゃん、ただいま!」ガラッ

婆「おお…よう帰りんさった、疲れたじゃろう…」


DQN「全然だよバアちゃん、言ったろ? すげえ頼りになる車買ったんだ! 新車だぜ!」

婆「そうかいそうかい…アンタも車を買えるくらい立派になったんだねぇ…」ニコニコ

DQN「へへへ…立派なんてこたぁねえけどさ」テレテレ


婆「アンタは昔から車が好きだったものねえ…ほら、ヘルシオに乗りたいってねえ」

DQN「セルシオだよ、バアちゃん。でも今は俺、違う車が好きなんだ」

婆「そうなのかい…?」

DQN「うん、セルシオよりちょっとだけ小さいけどな──!」



38 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 18:49:49.93 ID:qZuoZaqVO


………



DQN「──ほら! バアちゃん、コイツだよ!」

婆「おやまあ…可愛らしい車だこと」ニコニコ

アルト「は…はじめまして」


DQN「な? ちょっと小さいけど、すげえ綺麗だろ?」

婆「うんうん…立派だよ、本当に…大人になったねえ、嬉しいよ私ゃ」ホロリ

DQN「へへへ…」テレテレ


アルト(なにコイツ、こんな顔するんだ…?)



39 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 18:50:23.09 ID:qZuoZaqVO


DQN「バアちゃん、ちょっと乗ってみるか?」

婆「いいのかい…?」

DQN「もちろんだよ! まだ助手席には誰も座った事ないぜ!」ガチャッ

婆「おやまあ、嬉しいねえ」


DQN「じゃあ、ちょっとだけ流すぜ。安全運転するからよ!」ガチャッ…バタム、ズキュキュッ

アルト(安全運転ねぇ…)フンッ

DQN「よっ…と」クイッ

アルト(んっ…いつもより優しい感じ──)ピクンッ



40 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 18:50:55.49 ID:qZuoZaqVO


………



アルト(──んぅ…回転数も控えめで)

アルト(予告制動からのブレーキングもスムーズ…)

アルト(なによ…ちゃんと優しい運転、できるんじゃないの)


アルト(あ…ちょっと平均車速高そうなバイパス)

アルト「あんっ…」キュン…

アルト(…加速、適度な踏み加減。パワーバンドの下の方を捉えてる)ビクン…ビクン…

アルト(うぅ…認めたくない……私はそんなんじゃない…でも──)ドキドキ


DQN「バアちゃん、少しスピードのせるからな」クイッ


アルト(──気持ちイイ…よぉ…)ビクビクッ…ピクンッ──



41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/07/03(金) 19:49:16.22 ID:p2JF0d3nO


ばあちゃんの前で何やってるんだよwww




42 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 20:06:18.37 ID:qZuoZaqVO


………


…帰りがけ


DQN「──音楽でもかけるかぁ」ピッ

アルト「………」

DQN「BGMなにがいいんだ、おい?」

アルト「………」

DQN「ちっ…SOUL'd OUTでいいか」ウィーン


アッオゥアオゥアッオゥアッアッアッオゥ
アッアッアッアッアッアァアゥワッ♪


アルト「…お婆さん降りても、いつもより運転大人しいんじゃない?」

DQN「あ? いつもみたいな方がいいか?」クイッ

アルト「あっ…! ち、違っ…!」ビクッ



43 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 20:06:52.62 ID:qZuoZaqVO


DQN「じゃあなんだよ、何が言いてーんだ?」チッ

アルト「……あんな気持ちいい運転できるんなら、最初からそうして欲しかっただけよ」プイッ


DQN「お? 今なんつった?」ニヤリ

アルト「えっ?」


DQN「気持ちよかったのか? 俺の運転で気持ち良くなってたのか? あぁ?」ニヤニヤ

アルト「ちょ…変な事言わないでよ! ああもう、言い方を間違っただけなんだからっ!」

DQN「ふーん? へへ…こりゃデレるのも近いな」

アルト「そんなわけないでしょ! とっとと買い替えればっ!」

DQN「そうはいかねーよ、バアちゃんに見せたんだ。物を大事にしてるってとこ、解ってもらわねえとなっ」グイッ

アルト「やっ…あんっ! どこが大事にしてんの…よっ…!」ビクンッ


ェイデベデベレイデベレイデベデベレイ
デベデベレイデベレイ──♪



44 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 20:07:28.21 ID:qZuoZaqVO


……………
………



DQN「──芳香剤ペタリっと」ペタッ

アルト(貼り付けタイプじゃなくクリップのにしてよ…)ウンザリ


DQN「よーし、いい感じの香りだな」

アルト「…グリーンリーフ系のが良かったわ」

DQN「あ? 俺は甘さのある匂いは嫌なんだよ、芳香剤はスカッシュ系に限るぜ」

アルト(せめてムスクじゃないだけマシとしとかなきゃ…かな──)



45 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 20:08:09.98 ID:qZuoZaqVO


………



DQN「──あれぇ? 行き止まりかよ…」

アルト「こんな訳わからない細い道入るからよ、ざまないわ」フンッ


DQN「よし、見通しもいいし全力でバックだな」ガコッ、ブゥンッ!

アルト「えっ…!? ああんっ…だっ…だめっ! バックだとなおさら弱いみたいなの…っ!」ビクビクッ

DQN「へぇ…? そりゃいい事聞いたな、バックがお好きかよ」ニヤリ、ブンブゥンッ!

アルト「ふぁっ…あっ、ああっ…駄目だってば!」ゾクゾクッ


DQN「イクぞ、おらっ!」

アルト「ああああぁあぁぁっ──!」



46 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 20:08:55.40 ID:qZuoZaqVO


………



DQN「──乗り込めるかなぁ…?」ゴトゴト

アルト「ちょっと、やめてよ! 河原なんて入れるわけないでしょ!?」

DQN「いや、いける。スズキ車だろ」グイッ

アルト「バッ…!? ジムニーじゃないんだからっ! ダメダメダメ!」


DQN「今日は川べりでBBQするって決めたんだよ、諦めろ」

アルト「もうっ! 絶対出られなくなるんだからっ!」

DQN「そしたら誰か来るまで車中泊するべ」

アルト「あんたのイビキなんか聞きたくないわよっ──!」



47 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 20:09:40.02 ID:qZuoZaqVO


………



DQN「──おう、今日は洗車するぞ」

アルト「えっ」


DQN「へっへっ…隅々までイジり回してやるからな、泡でヌルヌルにしてよぉ」ニヤニヤ

アルト「ちょっ…やめてよっ! それ普通のタオルでしょ!? マイクロファイバーのウエスにして!」

DQN「贅沢言ってんじゃねえ! おらっ!」ドプッ!ヌルヌルッ…!


アルト「安いワックスinシャンプーなんて使わないで…ああっ! もう…嫌ぁ…っ!」ビクンビクン

DQN「おいおい、いつも以上に敏感なんじゃねえの? おら、フェンダーの内側までグチュグチュだぜぇ──?」



48 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 20:10:17.32 ID:qZuoZaqVO


………



アルト(──あ…S660だ、初めて見たなぁ)

DQN「おお、あれホンダのやつか」

アルト「…悪かったわね」

DQN「は? なにが?」


アルト「どーせ私はターボでもなければMTでもないし、オープントップでもないわよ」

DQN「ふーん、だから?」

アルト「あっちにすれば良かったんじゃない…って、高過ぎて買えないわよね、どーせ」フンッ


DQN「うるせえな」グッ、ブイイイィィンッ!

アルト「はぅっ…あっ、ああぁっ…!」

DQN「おら、こうして欲しくて生意気な口叩いたんだろ? あ?」グイグイッ

アルト「ちっ…違う…もんっ──!」



49 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 20:11:07.05 ID:qZuoZaqVO


……………
………


…1ヶ月点検


ディーラー「──やぁ、元気にやってたかい?」

アルト「……そんなわけないでしょ」

ディーラー「そうか…本当にすまなかったね」

アルト「………」


ディーラー「でもピットクルーの所見では『すごく大事に乗られてる』って判断だったよ?」

アルト「はぁ? あの乗り方で?」

ディーラー「ああ…頻繁に回し過ぎた感じでもないし、かといって低回転しか使わずに変な癖をつけてもないって」

アルト(確かに…本当にニュートラルで吹かしてレブを打たれた事は無いし、割とパワーバンドにかかる寸前辺りを多用されてるかもだけど)



50 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 20:11:39.86 ID:qZuoZaqVO


ディーラー「それに隅々まで拭いた跡があるって、それこそホイールの隙間までね」

アルト「う……あ、あの時はすごく恥ずかしかったんだからっ」プイッ

ディーラー「もちろんどこにも傷はついてないし、僕から見ても綺麗に乗られてると思うよ?」

アルト「…慰めと受け取っておくわ」


ディーラー「はは…本当なんだってば。それより…」

アルト「?」

ディーラー「…いや、やめておこうか」


アルト「なによ」

ディーラー「何でもないよ、それこそ慰めに聞こえてしまうかもしれない。君はこれからも大事にしてもらいなよ──」



51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 20:23:51.07 ID:pWK6sFemo


お、俺はアルトでもラパンだし…



52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 21:20:52.16 ID:4m+8tKPhO


カーズの絵しか想像出来ない



53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 23:00:07.91 ID:UI5Rhmqso


俺の14シルビアは何を言っていたんだろうか…
このスレ見たら大事に乗ろうと思うわ




54 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 23:49:54.03 ID:9KT9f8x9o


………



DQN「──ちぇっ、一ヶ月点検って無料かと思ったらオイル交換は実費とりやがって」

アルト「一ヶ月で交換時期まで乗ったりするからよ」

DQN「うるせえ、吹かすぞ」


ブイイイィィン…


アルト「……なんで」ボソッ

DQN「あ?」

アルト「なんで…私を買ったの?」


DQN「…そんなの、お前くらいしか買う金無かったからだよ」

アルト「……そう、よね」シュン…



55 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 23:50:56.84 ID:9KT9f8x9o


DQN「…嘘だよ、いや嘘でもねえけど」チッ

アルト「?」


DQN「俺ぁよ、昔はセルシオが欲しかったんだ」

アルト「…似ても似つかないわ」

DQN「でも程度を気にしなきゃ、中古でなら買えたんだぜ?」

アルト「そうすれば良かったじゃない」


DQN「だけどバアちゃんも俺の収入は察しがついてるしよ、そんなん乗ったら無理してる…金遣いが荒いって思われちまうだろ?」

アルト「…心配をかけたくなかった?」

DQN「まあな。中古じゃなく新車で、しかも堅実な車を買ってみせりゃ一番安心すると思ったんだよ」

アルト「随分お婆さん孝行なのね」

DQN「中学や高校の頃、親が俺に顔背けるようになってもバアちゃんだけは俺の味方だった…あの人がいなきゃ、俺は卒業もしてねえだろうな」



56 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 23:51:40.02 ID:9KT9f8x9o


アルト「……じゃあ別に私じゃなくても良かったのね」

DQN「あぁ?」

アルト「ミラでもラパンでも、堅実な車であれば良かったんでしょ?」


DQN「…違げえよ」

アルト「?」


DQN「確かに堅実な車の中から考えたさ、でも俺は…ああ、もう──」

アルト「なによ、勿体ぶって」

DQN「──言わせんなってんだ!」グイッ!ブウウゥゥンッ!

アルト「ひゃ…っ!? あぁんっ!」ビクゥンッ


DQN「解れよ! そんな中では俺はお前に一目惚れしたんだよっ!」

アルト「んっ…! あんっ…!」



57 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 23:52:26.83 ID:9KT9f8x9o


DQN「俺はミラでもラパンでもN-ONEでもなく!」グイグイッ

アルト「やっ…駄目、そんなっ…あぁっ」ビクッ…ビクビクッ

DQN「眼鏡っ娘の顔したアルトに惚れたんだよっ!」

アルト「惚れた…って…うぅっ」ハァ…ハァ…

DQN「…ちっ、解ったか」プイッ


アルト「う…うん…でもだったら、どうして最初からあんな意地悪したの…?」ドキドキ…

DQN「そりゃ…やっと惚れた車が手に入ると思ったら──」


『──そんなっ! 私のご主人様なら三日前会ったはず…!』

『い…嫌ぁっ、近づかないでっ──!』


DQN「──そんな言われたら素直にもなれねえだろ…?」

アルト「…そう…だよね。ごめんなさい…」

DQN「くそ、暑くなった。窓開けるぞ」ウィーーン


…ブリリリリリリリリイイィッ


DQN「…ん? えらい下痢便マフラー着けてんな」

アルト「下品な音…」

DQN「後ろから来てる車か──?」



58 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 23:53:32.23 ID:9KT9f8x9o


痛アルト「──お願いです! 少しスピードを落として…!」

青年「イヒヒヒヒッ! どうしてそんなノリの悪い事を言うのさ!?」ブリリリリリリイィッ

痛アルト「だって危ないし! 私、そんなにスピード出す車じゃありませんっ!」


青年「ヒヒッ…僕の車が遅い訳ないじゃないか、一緒にスピードの向こう側へ行こうよ!」ガコッ!ブリリリィッ!

痛アルト「うぅっ…でも貴方、運転が下手ですし──!」グスッ


アルト(──あれって…私の持ち主になる筈だった人…!)

DQN「おい…すげえ萌えアニメの痛ラッピングされてるけど、あれアルトじゃねえか」

アルト「…バンパー擦り傷だらけになってる」

DQN「前の左側なんて外れかかってるぜ…」

アルト「追い抜いてくるわ!」



59 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 23:54:16.31 ID:9KT9f8x9o


ブリリリリリリイィッ!


アルト「あ…あの…」

痛アルト「…見ないで…下さい」グスッ

アルト(酷い…ラッピングはともかく、よく見ればドアまで凹んでる…)

痛アルト「私も貴女みたいに大事にされたかった…こんな下品な音をたてて走るなんて、考えもしませんでした…」フッ…


アルト「修理は…? してもらえるんですよね?」

痛アルト「このラッピングはつい先週にされたもの。凹んだまま…直す事もせずに」

アルト「そんな…」

痛アルト「直してもどうせまたぶつけるから…って、実際そのくらい下手なの──」



60 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 23:55:19.01 ID:9KT9f8x9o


ブリリリリリリリリイイィッ!ブリリリリリリ…


アルト「あんなの…ないよ…」

DQN「ちっ、後ろに回ると余計にうるせえな」


アルト「──て…」

DQN「あ?」

アルト「あの娘を…助けてあげてっ!」


DQN「た、助けるってどうやって…」

アルト「もう一度追い越して、無理にでも停めさせて! そしたら貴方の顔と声で脅せば持ち主の人も目を覚ますかも…!」

DQN「いや、俺そこまで強面か!?」ガーン

アルト「お願い! 早くっ!」



61 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 23:56:17.93 ID:9KT9f8x9o


DQN「で、でもそのためには今までよりずっと強くアクセル踏まなきゃいけないぜ…?」

アルト「…いいよ」ゴクリ

DQN「そりゃもう馴らし運転の距離なんか余裕で超えてるけど…お前、大丈夫なのか」

アルト「最近の貴方の運転、最初よりずっと優しくて好きよ」


DQN「だから、追い越そうと思えばそうできない──」

アルト「──でも、時々もの足りないの」


DQN「え…?」

アルト「貴方が意地悪く急にアクセルを踏んだりキックダウンしたり…その時の刺激……私、嫌いじゃないみたい」

DQN「アルト…」ドキッ


アルト「ねえ、お願い」ウルウル…


アルト「もっと深くアクセルを挿入て」


アルト「もっと、ずっと…激しくして下さい──」



62 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 23:57:15.91 ID:9KT9f8x9o


DQN「──そこまで言わせて応えなかったら、男が廃るぜ…イクぞ!」グイッ!

アルト「あぁんっ…! イイ…もっとぉ…っ!」ビクンビクン…ブァアアアアァアァァッ!

DQN「おら…加速しろ、まだまだこっからだぞ」

アルト「うんっ…でも、私…これで全開…かも…」ハァ…ハァ…


DQN「はぁ? そんなわけあるか」

アルト「えっ…?」ビクッ…ビクンッ…

DQN「シフト、まだセカンドだぜ…?」ニヤリ

アルト「……っ…!!」ゾクゾクッ


DQN「おらぁっ! ドライブに挿入てやらぁ! 啼けよっ!」ガコンッ!

アルト「ひぁっ…ああああぁあぁぁっ──!!」ビクッ…!ブルブル…



63 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/03(金) 23:58:00.24 ID:9KT9f8x9o


青年「──イヒッ!? なんだ…さっき抜いたアルトが迫って来る…!」ブリリリリリィッ!

痛アルト(あの娘…なにを…?)

青年「くっそ! 同じアルトに負けるわけにはいかんっ!」グイッ!

痛アルト「うぅっ──!」


アルト「──はぁっ…はぁーっ…! こっちより…後から加速し始めて逃げられると思ってるの…?」ヒクッ…ビクンッ…

DQN「イクぞ…もう少しだっ!」

アルト「うんっ…いっぱい出して…っ!」

DQN「おおおおぉおぉぉっ!!」


青年「ちっきしょおおおおっ!!!」ブリリリリリリィッ!


アルト「あぁ…っ私…もっ…! 駄目…イッちゃううぅっ…!!」ビクッビクンッ…ガクガクッ

DQN「いいぜ…! イケよ、おらあああっ!」

アルト「ああああああぁああぁぁあぁっ……!!!」


…ビクッ…ビクッ…ビクッ!
プッシャアアアアァアァァ……


DQN「へっ…なんだ今の音は? ターボもブローオフバルブも着いてねぇはずだがな…?」ニヤニヤ

アルト「あっ…あっ…言っちゃやぁっ……ウォッシャー吹いちゃったのぉ…」グスンッ…



64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/04(土) 00:26:05.50 ID:DsULhv87O


俺にはレベルが高すぎたようだ



65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/04(土) 00:45:39.32 ID:th6AMDiH0


こいつの頭どうなってんだ



66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/04(土) 00:51:52.22 ID:/0fgOJeYO


勝手にウォッシャー吐くんじゃねえよ



67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/04(土) 02:13:36.50 ID:WAl1ckpKo


やばい、何かに目覚めそう



68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/04(土) 06:44:39.52 ID:iOTAjM7zo


下痢便マフラーわろみ




69 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/04(土) 09:35:48.03 ID:RKECOKW/O


……………
………


…イエローハット駐車場


プリウス「──ねえ、あれって前の娘じゃない…?」ヒソヒソ

MPV「ああ…あの突然大声出した」ヒソヒソ


アルト「………」


ムーヴ「ぷっ…D.A.Dステッカー貼られたまんまだしっ」ニヤニヤ

プレオ「可哀想にねぇ」ニヤニヤ

タントカスタム「チョーウケルー」


アルト「………」フンッ



70 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/04(土) 09:36:36.25 ID:RKECOKW/O


DQN「おー、待たせたな」

アルト「あっ! その荷物の小ささ…! このステッカーやめてSUZUKI SPORTにしてって言ったのに買ってないでしょ!?」

DQN「まあまあ…芳香剤、グリーンリーフ系のやつ買ってきたからよ」ガチャッ…バタム

アルト「もう…次はちゃんと買ってよねっ!」


DQN「よーし、行くぞー」ズキュキュッ…ブイイイイイィィン

アルト「………」キッ

ワゴンR「ん?」

ムーヴ「なんだし?」


アルト「…私、幸せだからっ」プイッ

ブイイイイィィィン…


プレオ「…気でもふれたのかしら」

タントカスタム「チョーウケルー」

ワゴンR(でも、いい顔してたな…)



71 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/04(土) 09:37:17.11 ID:RKECOKW/O


………



アルト「──あの痛アルトさんも今度は大事にしてもらってるかな?」

DQN「さあなぁ…でも下痢便マフラー外すって約束したし、凹みも直すとは言わせたけどよ」


アルト「痛ラッピングは…」

DQN「…まあ、あれは趣味だからな…どうにもならないかもしれねえ」

アルト「あんまりぶつけないように運転の練習を心がけるとは言ってたよね」

DQN「上手くなるまで、できるだけ細い道には入らないようにする…ってな」


アルト「それに──」



72 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/04(土) 09:37:55.71 ID:RKECOKW/O


『──てめえ! 自分の車が可愛くねえのかっ!』

『イヒッ…い、いくら可愛くてもそんな急に運転上手くなるわけないだろっ!』

『それでもボディは直すんだよ! 綺麗な車だからこそぶつけないよう大事にしようって思えるんだろ!?』

『ラッピングに40万かけて、直す金が…』

『だったらもう車売っちまえっ! 他の奴の元へ行った方がその娘も…!』


『…やめてっ!』


『うぇ…?』

『イヒッ…』

『痛アルトさん…?』


『初めて会った青年さんは優しくて素敵だった…でもハンドルを持って人が変わってしまったの』

『………』

『私は青年さんに上手くなって欲しい、そしてずっと一緒に走ってたい──』



73 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/04(土) 09:38:31.43 ID:RKECOKW/O


アルト「──やっぱり、自分のハジメテの相手だもんね…その人と幸せになれたら、それが一番だよ」

DQN「お前にとっての俺かぁ?」ニヤニヤ

アルト「馬鹿言わないで、私は幸せになれたらって言ったのよ」


DQN「おぉ? さっき駐車場から出て行く時、なんて言ってたっけなぁ?」クックックッ

アルト「なっ…き、聞こえてたのっ!?」アセッ

DQN「へへへ…窓、少し開けてたからな。『私、幸せだから』だっけ…もっかい聞きてえなぁ?」

アルト「ふんっ! 絶対言わないんだから!」テレテレ


DQN「よーし、褒美に今日は高速でも乗るかぁ」

アルト「えっ…でも、この前ガラコかけてたんじゃ…」

DQN「んん? ウォッシャー吹いちまうのを気にしてんのか?」ニヤニヤ

アルト「知らないっ」プイッ



74 : ◆M7hSLIKnTI [saga]:2015/07/04(土) 09:39:44.39 ID:RKECOKW/O


DQN「くっくっくっ…さっき何を買ったと思う…? ほら、見てみな」

アルト「それは…ガラコ専用ウォッシャー液…!」ゾクゾクッ


DQN「さあ、インターに入るぜ。フルアクセル、期待しとけよ」グイッ

アルト「あんっ…もぅ…っ、駄目ってばぁっ…」ビクンッ

DQN「ん? じゃあ、やめとくかぁ?」

アルト「……もう、意地悪…」ウルウル


DQN「ふん、最初のサービスエリアでウォッシャー挿入るぞ、みんな見てる前でなっ」グイッ

アルト「えっ…そんな、それは嫌ああぁっ──」ドキドキ



75 : ◆JtMV7jlIKs [saga]:2015/07/04(土) 09:41:45.28 ID:RKECOKW/O


【おわり】


昨夜の内に全部書ききりたかったが睡魔に負けた、すんません



76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/04(土) 09:50:58.66 ID:Em/W4pd9O



おもしろかったわ



77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/04(土) 09:57:22.84 ID:nplK/VIRo


俺今日どんな顔して車乗ればいいんだ…



78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/04(土) 09:59:29.11 ID:w/JFixWYO


車好きだから良かったわ、乙!
フレアクロスオーバー乗りだけど最近のスズキの新車魅力的すぎて困る



79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/04(土) 10:52:46.87 ID:Wroblu0Do


天才は発想が違うわ



80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/04(土) 11:17:15.57 ID:SjoL758IO



素晴らしかった



81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/04(土) 12:56:29.95 ID:+bRJh6rGo


今日はワックスかけでもしてやるかな



82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/04(土) 14:22:21.53 ID:5ngnrfbqo


あーそろそろ洗車するか




83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/04(土) 14:40:10.18 ID:QB17iYvlO


バイクは管轄外ですかね



84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/04(土) 14:55:01.26 ID:9awjEdH2o


この作者頭おかしい(誉め言葉)




.

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

  1. 2015/07/04(土) 15:09:04|
  2. 擬人化SS
  3. | コメント:10

かなめSeptember



このSSは過去作『さくらOctober』の後日談です


◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


カナメ『──もうちょっとこっちおいでよ』

ケヤキ『いいよ、暑苦しい』

カナメ『もう9月も半ばだよ? 今年わりと涼しいし』

ケヤキ『常緑樹で葉の丈夫なお前とは違うんだよ』


イロハ『ケヤキ、素直じゃないねー』

ノムラ『ねー』


カナメ『少しくらいイチャついたっていいじゃん』

ケヤキ『俺の柄じゃねえ』

カナメ『…ケチなんだから』ハァ…



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


男「おー、痴話ゲンカか」

幼馴染「お邪魔するよー」


カナメ『あ、幼馴染ちゃん! 今日は顔色いいね!』

イロハ『気持ち悪くないのー?』

ノムラ『ないのー?』


幼馴染「うん、ちょっと楽。あんまり心配しないでよ、病気じゃあるまいし」

男「悪かったな、こないだ庭で屈み込んだりしてみせたから…」


ケヤキ『桜の様子でも見に来たか』

男「まあそれもあるけど、新居から徒歩3分の距離を散歩するのに深い理由なんかないよ」

ケヤキ『まあそうか。大丈夫だ、接木の桜は特に葉色がいい』

男「みたいだな、安心したよ」



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


ケヤキ『さすがサクラから直接とった苗木だけある…今度、夜に来てみてくれ』

男「ん? …もしかして?」

ケヤキ『ああ、枝下にぼんやりと光が集まってる。もうじきに意識を持って動きだすだろう』


イロハ『楽しみだねー』

ノムラ『ねー』

カナメ『………』


幼馴染「それって、ひょっとしてサクラの子供!?」

ケヤキ『子供って言い方は相応しくないかもしれないがな、そんなとこだ』

男「早いなー、まだ10年物にもなってないのに」

ケヤキ『もともと精の宿ってた枝の接木だからな』



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


男「よーし、今日は紅葉2本の害虫防除するぞ。こないだ見たら葉っぱにイラガの食い痕あったからな」

イロハ『今はいないよねー』

ノムラ『ねー』

男「だめだ、まだまだ発生期だからな。予防の意味も含めて、やらないわけにはいかん」


ケヤキ『観念して薬浴びな』

男「紅葉ほどじゃなくとも、ケヤキにもカナメにもイラガはくるからな。お前らもだぞ」

ケヤキ『…あんまり展着剤効かせないでくれ。ベタベタして好かん』チッ


カナメ『………』

幼馴染「……?」



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


ケヤキ『実は最近背中がちょっと痒いんだ』

男「って事はこっち側かな…? ああ…あるある、食われてる」


ケヤキ『くそ、やっぱり紅葉のある側じゃねえか、伝染しやがったな』

イロハ『勝手に伝染っていったんだよー』

ノムラ『だよー』


カナメ『………』


幼馴染「…カナメちゃん、ちょっと向こう行こう?」ポンッ

カナメ『えっ、でも…薬…』


幼馴染「男ー、カナメちゃんの防除ちょっと待ってね」

男「あ? 他のやり終わる頃には戻ってくれよ? 調子悪いとこ訊かなきゃ」

幼馴染「解ってるー」



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


幼馴染「さて…と、ここなら声は聞こえないね」

カナメ『幼馴染ちゃん…』


幼馴染「ケヤキさんとちょっとケンカしちゃったのかな?」

カナメ『ケンカってほどじゃないけど』

幼馴染「…聞くよ? ほら、遠慮なく」

カナメ『なんでもない』


幼馴染「……カナメちゃん」

カナメ『べつにケヤキ、なにも悪いことしてないし』



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


幼馴染「近くに居すぎなんだよね」

カナメ『…え?』

幼馴染「同じ庭の中なんだから当たり前だし、仕方ないんだけど」


カナメ『で、でも、それが嫌なんじゃないし!』アセッ

幼馴染「あははっ、解ってるよーう」ニコッ

カナメ『そっか、幼馴染ちゃんと男も…』

幼馴染「うん、ほんと…二人ほど近くないけど、ずっと一緒だったからね。よく解るな、カナメちゃんの気持ち」


カナメ『ボクが隣りにいるなんて、特別な事じゃないのかなって』

幼馴染「うんうん…でも、離れたくもないしね?」

カナメ『…うん』コクン



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


幼馴染「カナメちゃんも大きくなったね…人間の歳の重ねようとは違うみたいだけど」

カナメ『だって、幼馴染ちゃん達と話すようになってもう6年になるんだよ』

幼馴染「そうだね、ちゃーんと恋に悩める乙女になったね」クスッ


カナメ『解ってるんだ、別に大事にされてないわけじゃないの。でも…』

幼馴染「でも?」

カナメ『……もっと、甘えておきたいんだ』

幼馴染「甘えて『おきたい』?」



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


カナメ『まだ九月だけど、じきに10月になって…その後半くらいになると、落葉樹は眠くなって』

幼馴染「ふんふん」

カナメ『11月になると寝てる時間が長くなって、冬の間はほとんど話もできないし』

幼馴染「休眠期だもんね」


カナメ『だからボク、もっと近くにいたいのに…ケヤキは暑苦しいって』

幼馴染「ケヤキさんは硬派で照れ屋だから…」

カナメ『うん…それと──』



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


……………
………


…後日、夜


ケヤキ『…もう少しだな』

カナメ『うん、もう人の形になってる』


…フワッ


カナメ『あ…動いた!?』

ケヤキ『大きい声出すな、モミジ達が寝てるんだ』


カナメ『……ちっちゃいなぁ』

ケヤキ『お前もこんなだったぞ』

カナメ『その頃はケヤキだって子供だったくせに』

ケヤキ『まあな』



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


カナメ『ねえ、ケヤキ』

ケヤキ『なんだ?』


カナメ『……ケヤキはボクの生まれた時のことも、それからのことも全部知ってて』

カナメ『もちろんモミジ達も、今度はこの子のことも…そうなるんだよね』

カナメ『ボク…たまたまこの庭の中で、ケヤキといちばん歳が近かったから』


カナメ『植えられた場所も近かったから──』

ケヤキ『──カナメ、お前…明日ずっと寝とけ』



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


カナメ『えっ…?』


ケヤキ『明日は男が来て、俺の木を手入れする事になってる』

カナメ『そ、それは知ってるけど…』

ケヤキ『悪いがその時、なんの相手もできねえ。だから…そうだな、夕方に作業が終わるまで』


カナメ『なんで…? だって、もう秋──』
ケヤキ『──明日だけだ、それも男が作業を終えるまでだけ。そのくらいもきけねえのか』


カナメ『……ばか』ポロッ

ケヤキ『泣くようなことかよ』

カナメ『ケヤキの馬鹿っ! ニレもどきっ!!』ダッ…



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


……………
………


…翌日


男「…あれ? カナメは?」


イロハ『寝てるよねー』

ノムラ『ねー』

男「寝てるって、もう午後も2時回ってんぞ」

幼馴染「姿消してるみたいだね…」


イロハ『怒らせたんだよねー』ヒソヒソ

ノムラ『ケヤキがねー』ヒソヒソ


ケヤキ『お前ら、うるせえぞ』ギロッ

モミジーズ『あい』



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


男「幼馴染、たぶん自分の木の近くにはいるんだと思うから」

幼馴染「うん…私、傍にいてみるよ」

男「頼む。でも気分悪くなったら、家に入っとけよ」


ケヤキ『男…悪いが』

男「ああ、始めようか」カチャカチャ

ケヤキ『切りよう…剪定の仕方なんだけどよ…』

男「ん?」

ケヤキ『葉を──』



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


………


…夕方


カナメ『……ごめん、幼馴染ちゃん』スゥーッ…

幼馴染「あ…カナメちゃん、おはよう」

カナメ『ずっと傍にいてくれてありがとうね』


幼馴染「…今日は寂しかったよね」

カナメ『もういいの、ケヤキはいつもあんな感じだったもん』

幼馴染「素直じゃないだけだよ」

カナメ『……わかんない』

幼馴染「わかるよ」



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


カナメ『わかんないよ』グスッ

幼馴染「……カナメちゃん」

カナメ『大事に想ってるなんて、伝えてくれなきゃわかんないよっ!』ポロッ…


幼馴染「伝えてくれるよ」

カナメ『え…?』


男「幼馴染ー、終わったぞー。カナメ起きたかー?」



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


幼馴染「ほら、カナメちゃん」

カナメ『………』グスン

男「なに泣いてんだよ、カナメ。ほら、ケヤキ…見違えるだろ?」


ケヤキ『…笑うんじゃねえぞ』ポリポリ

カナメ『笑うって……えっ? ……えぇっ!?』

男「涼しくなってからってのも変だけどな、まあ似合ってんじゃないか?」クックッ…

ケヤキ『うるせえよ』キッ


イロハ『松ジイがいたら「ケヤキ坊主」って言うよねー』

ノムラ『ねー』



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


カナメ『ケヤキ…その頭…なんで人間のスポーツ刈りみたいになってんの!?』

ケヤキ『……悪いかよ』

カナメ『えと…あの…似合ってる…と思う…けど』

ケヤキ『髪の長さは枝の長さだからな…今回思い切って切ってもらったんだよ』チッ


カナメ『でも、どうして──』

ケヤキ『──カナメ』ギュッ


カナメ『ふぇっ!? ケ、ケヤキ…!?』ドキッ

イロハ『ハグしたねー』

ノムラ『あっちいねー』



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


男「夏の西日で焼けた葉はおおかた無くなったし、幹のひびもだいぶ熊手で掻いて落としたぜ」

幼馴染「ふふっ…意外とケヤキさんそういうところ気にするんだね」


ケヤキ『落葉樹は仕方ねえんだ、葉は一年で使い捨てだからよ』

カナメ『ケヤキ…』

ケヤキ『葉が焼けりゃ髪はゴワゴワになるし、幹がひび割れれば肌がガサガサになる』

男「特にケヤキはな、そもそも幹が割れやすいから」


ケヤキ『そんな状態で、お前とくっつくなんて…できるかよ』スリスリ

カナメ『うぅ…そんならそうと…』ウルウル



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


イロハ『ちびちゃん、動いた!』

ノムラ『立った! 立った!』


カナメ『えっ!?』


幼馴染「すごい…もう二歳くらいの姿してる…」

ケヤキ『精として生まれてからは、もうその位になる…姿を固定する力が整ったのが今ってだけだ』

男「もう喋れたりすんのか」

カナメ『モミジ達は生まれた時から片言で喋ってたけど…』


チビ桜『…あぅ、あー』ヨチヨチ



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


チビ桜『ぱ…ぁぱ』

ケヤキ『ん?』


チビ桜『まーまーぁ』ニパッ

カナメ『へ?』


イロハ『怖いパパだねー』

ノムラ『泣き虫のママだねー』

男「お…これは…」ニヤッ

幼馴染「僅かに先を越された…かな?」クスクス


ケヤキ『俺が…パパだと…』テレテレ

カナメ『はぅ…ママかぁ…』ホクホク



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


カナメ『…ケヤキ、ごめんね』

ケヤキ『あ?』


カナメ『ボク…ケヤキにとって、モミジ達やこの子と自分の関係の違いがわからなかった』

ケヤキ『カナメ…』

カナメ『たまたま歳や場所が近かったからこういう仲になっただけで、ボクじゃなくてもよかったんじゃないか…って』


チビ桜『まぁまっ』

カナメ『よちよちー、はじめましてだねー』ニコニコ


ケヤキ『カナメ…知ってると思うが、桜は冬も花芽があるからよ』

カナメ『うん、完全には眠らないよね』

ケヤキ『俺だって完全に寝てるわけじゃねえよ、一応春に芽吹く新芽はある』

カナメ『でも芽吹くの遅いから寝てばっかじゃん。…この子は暖かい日には起きて、少しづつ花芽に水を送るはず』



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


ケヤキ『…だから』

カナメ『解ってるってば』

ケヤキ『言わせろよ』

カナメ『……じゃあ、言ってよ』


ケヤキ『俺が休んでる間…その子を頼む』

カナメ『任せて』


チビ桜『きゃっきゃっ』


ケヤキ『俺たちの子…だからな』

カナメ『…うん』



◆M7hSLIKnTI[] 投稿日:2014/09/12(金) 00:00:00 ID:teiteitoutou


イロハ『私がお姉ちゃんだよねー』

ノムラ『私もお姉ちゃんだよねー』

幼馴染「うん、二人ともそうだよ?」


男「また少し、賑やかになるなー。この庭も…」

幼馴染「これからも、精が増えたりするのかな」


男「どうかな、ツツジとか植えてみるか」

幼馴染「私、紫陽花好きだなー」

男「紫陽花は落葉性だからな、冬場にずっとカナメだけじゃ大変だから」


幼馴染「そっか…そういえば今度、植木市あるって」

男「じゃあ記念樹の候補でも見に行くかー」ナデナデ

幼馴染「もう、まだ触ってもわかんないってば──」



(おわり)


.

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

  1. 2014/09/12(金) 15:24:16|
  2. 擬人化SS
  3. | コメント:10

貴方のために生まれた私(原題/コタツ「コタツは日本の心です」男「自分で言うな」)


1 :名無しさん :2014/03/27(木)12:43:56 ID:ugfAQYdsI


女「じゃあ男君、また明日ね」

男「うん、気をつけて」


男(…最近、割と女さんといい感じ)

男(これは大学二年目にしてようやく春が来るか…!?)

男(でも、焦らない…人によるかもしれないけど、たぶん俺は焦るとロクな事にならない)

男(忘れもしない、高校の時──)


『──えっ? あ…ありがとう』

『あー、でも…ごめんね…勘違いさせちゃったのかな…』

『うん…男君の事、嫌いじゃないんだけどね』

『正直、一緒に遊んで楽しいお友達感覚だったんだ──』


男(…あかん、思い出しただけで泣ける)



2 :名無しさん :2014/03/27(木)12:45:23 ID:ugfAQYdsI


男「はー、ただいまー」ガチャッ

男(……独り暮らしだけどね)


男(メシ…冷蔵庫、何があったっけ)カタッ

男(……何も無いって言った方が正しいな)

男(卵めしでいいか…)ヒョイ


男(ご飯よそってー)モリモリ

男(醤油と卵溶いてー)カチャカチャ

男(味の素ひと振りしてー)フリフリ

男(ご飯にタンパク質をブッかける!)ドロッ!

男(ご飯『らめえええぇぇぇ! 真っ白な私が茶色くなっちゃうううぅぅぅ!』ビクンビクンッ)



男(これから食う物に対して考える事じゃなかったな……)オエッ



3 :名無しさん :2014/03/27(木)12:45:30 ID:ZdfJONwBy


何か始まった




4 :名無しさん :2014/03/27(木)12:46:20 ID:ugfAQYdsI


男(あとはTVつけて……面白いのやってねえなあ…ま、いいか)ポチッ


…コトッ、カチャッ
バフッ、モソモソ…


男「いただきまーす」

男(もう4月だもんな…そろそろこのコタツも片付けなきゃ)モグモグ

男(TVもつまらないんだし、食ったらやろう)


男(そして女さんを部屋に招いた時の事を考えて、二人掛けのローソファーを…!)

男(…まずは買わなきゃな)モグモグ…


5 :名無しさん :2014/03/27(木)12:47:19 ID:ugfAQYdsI

男(…よっし、食ったし、洗い物もしたし)

男(まだ多少はどたばたしても、迷惑なほどの時間じゃないし)

男「さらばだ…コタツ、また晩秋に会おう」ウルッ


男(まずは天板を外さなきゃ……おらっ! 大人しくしろよっ!)ガバッ

『ひゃっ』

男(へっへっへ……そのコタツ布団の下はどうなってるのかな…? ひん剥いてやるぜぇっ!)バサァッ

『きゃあああぁぁっ!』

男(おいおい…真ん中が熱くなってんじゃねえか、とんだ淫乱だぜ…! その脚、よけてみろよっ!)ガシッ


「やぁっ! 乱暴しないで……!」



6 :名無しさん :2014/03/27(木)12:48:02 ID:ugfAQYdsI


男(……俺も妄想が過ぎて幻聴を感じるようになったかぁ)シミジミ

?「だめぇっ…脚をグリグリしちゃ…!」

男(ん…? コタツの脚って、柔らかい材質だったっけ?)

?「男さんっ、お願い…優しくして……」


男「誰だ!?お前はああああぁぁぁっ!」


?「そんな…っ! 誰かも解らずにこんな格好をさせたんですかっ」


男(なんで俺はいつの間にか美少女の素足を掴んでグリグリしてるんだ…!)

男(ましてやこの娘…! 上やパンツはともかく、スカート履いてないじゃねえかっ!)

男(俺はその片足を持ち上げて…彼女は床に半身で倒れてて…)


?「…あんまり…見ないで……」ウルッ

男「これ、理性が弾けてもいいですか」プシュー



7 :名無しさん :2014/03/27(木)12:48:43 ID:ugfAQYdsI


男「待て、俺、冷静になれ、せめて上半身だけでもクールダウンしろ」ブツブツ…

?「あ…あの…だったら手を放してもらっても…?」

男「ああ…ごめんっ」パッ


?「はわわ…っ」ササッ

男「あの、何か下半身を隠すものを…あ、とりあえずコタツ布団でもっ!」

?「ありがとう……って、これ私のなんですけどね」マキマキ

男「はい?」


?「私、コタツです。この部屋の」


男「……ご冗談を」

コタツ「本当ですよ、コタツ…無くなってるでしょ?」


8 :名無しさん :2014/03/27(木)12:49:15 ID:ugfAQYdsI

男(そういえば、片付けようとしてたコタツがどこにも無い)

男(外した天板だけは壁に立てかけたままだけど…)


男「…あれ? コタツ布団が」

コタツ「だから『私のです』って言ったじゃないですか」

男(さっき彼女が腰に巻いたコタツ布団が、いつの間にか普通のスカートになってる…! 柄はコタツ布団と同じだ…)


男「まさか…本当に、コタツなのか」

コタツ「はい」ニッコリ

男「夢でも見てんのか、俺は…」

コタツ「いいえ、現実だと思いますよ」



10 :名無しさん :2014/03/27(木)12:49:46 ID:ugfAQYdsI


男「もういい、信じるしかないし…信じよう。…で、なんで急に人間の姿に?」

コタツ「それですっ!」ビシィッ

男「はい?」


コタツ「男さん、私を片付けようとしたでしょう」ジロッ

男「ええ…まあ…春ですし」

コタツ「また去年みたいに押入れで半年以上も過ごすなんて、絶対に嫌です!」


男「そう言われても、コタツは季節モノだよ」

コタツ「でもでも、コタツ布団さえ外せば普通の卓袱台として使えるんですよっ!?」

男「そりゃまあ、使えなくはないけど…」



11 :名無しさん :2014/03/27(木)12:50:20 ID:ugfAQYdsI


男「でも、押入れにはガラストップのテーブルもあるからさ。季節的にはそろそろそっちかなーって」

コタツ「コタツは日本のココロですっ!」


男「君がそうやって意識を持ってるって事は、ガラステーブルも押入れで辛い想いをしてるんじゃないの?」

コタツ「ハッ…この国にはまだガラステーブルが神化するような歴史はありませんよ」ヤレヤレ

男(ものっそい見下した目したな…)


コタツ「日本の部屋にはコタツ! それはもはや日本人の本能です。男さんは生粋の日本人でしょう?」

男「はあ…」

コタツ「じゃあ、使いましょう。エブリデイ!オールシーズン!グッドコタツライフ!」



12 :名無しさん :2014/03/27(木)12:50:53 ID:ugfAQYdsI


男「まあ…わかったよ、使うからさ。元の姿に戻ってよ」

コタツ「…戻れないんですよね、コレが」

男「はい?」


コタツ「いや、戻れるには戻れるんですけどね? …寝てる間だけなんですよね」

男「誰が?」

コタツ「私が」


男「……じゃあ寝ろよ」

コタツ「貴方、さっき目覚めたばかりで『また寝ろ』って言われて寝られます?」

男「無理です」

コタツ「ですよねー」ニッコリ

男「……ですよねー」イラッ



13 :名無しさん :2014/03/27(木)12:51:26 ID:ugfAQYdsI


男「普通に24時間サイクルで眠くなるの?」

コタツ「はい。今が夜の8時くらいですから、明日の朝くらいには普通に眠たくなって、また夕方か夜に起きると思います」

男「それ、つまり俺が部屋にいない時間帯だけコタツ状態に戻るって事だよね」


コタツ「……そういえばそうですね」


男「よし、押入れ行こうか」ニッコリ

コタツ「待って! 毎日少しずつ寝る時間ずらしてくからっ! あの押入れGが出るんですよぅっ!」


男「…全く、時間をずらした後はいいにしても、しばらくはどうやってメシ食えばいいんだよ」

コタツ「あ、そこはご心配なく」

男「え?」



15 :名無しさん :2014/03/27(木)12:52:00 ID:ugfAQYdsI


コタツ「はい、どーぞ?」

男「…四つん這いになった女の子に天板載せろってのか」

コタツ「大丈夫、もともとそういう作りですから、へっちゃらです」

男「まじか…じゃあ、載せるよ?」ソーッ


…トスッ


コタツ「うん、ジャストフィット」

男「めっちゃハミ出してるんだけど」

コタツ「大丈夫、絶対に落ちませんよ。どうぞご利用下さい」

男「じゃあ、缶ビールでも飲むか…」プシッ



16 :名無しさん :2014/03/27(木)12:52:40 ID:ugfAQYdsI


男「で、これはどう座ればいいの」

コタツ「はい? そりゃ…コタツですから。お一人なら足を伸ばして、どうぞ」

男「四つん這いの女の子の下に足を通すのか…」

コタツ「お気になさらず、ささ…ぐいっと」

男「よっ…と」ズズイッ


…プルンッ

コタツ「ひゃっ…」ピクン


男「はい?」

コタツ「男さんのエッチ……さっき爪先で胸の先っぽ、弾いたでしょ…」ジトー

男(……やっぱ押入れ行きかな、こいつ)



17 :名無しさん :2014/03/27(木)12:53:53 ID:ugfAQYdsI


男「………」グビグビ

TV《ナンデヤネーン!アハハハハ…》

コタツ「ぷっ…」クスクス


男(つまみ…味ごのみ食うか)バリッ

ポリポリ…

TV《モウ キミ トハ ヤッテラレンワー!》

男(……つまんな)グビグビ

コタツ「あー、終わっちゃった…」


男「………」チラッ


コタツ「どうされました?」ニコッ

男「全然落ち着きません」



18 :名無しさん :2014/03/27(木)12:54:22 ID:ugfAQYdsI


コタツ「そうですか…私は超リラックスなんですけどねー」

男「とりあえずビールも飲み終えたから、人間コタツモード解除な」


コタツ「はい……よいしょっと」

男「もはや『そんなランドセル風のベルト無かったろ』とは言わないけど、天板は背負ったままなの?」

コタツ「言ってるじゃないですか、まあ…これが基本形態ですよ?」


男「…亀みたいなのな」ボソッ

コタツ「失礼なっ! 私はコタツですっ! 今の発言、訴訟モノですよ!?」

男「お前の怒りのツボが解らねーよ」



20 :名無しさん :2014/03/27(木)13:02:23 ID:hfWV3B6HO


はやく



21 :名無しさん :2014/03/27(木)13:05:47 ID:1avDogG3g


おねがい



22 :名無しさん :2014/03/27(木)13:36:54 ID:llI3bJc86


続けてたまえ



24 :名無しさん :2014/03/27(木)13:54:18 ID:iOx1T5U0O


大作だ




27 :名無しさん :2014/03/27(木)14:57:37 ID:9m34bKxr8


………



男「さて…寝酒も入ったし、寝るかね」

コタツ「おやすみなさい」


男「……君は?」

コタツ「まだ全然眠くないです」

男「だろうな……ま、寝る時は完全コタツ形態になるんだろ?」

コタツ「なる事もできます」


男「っていうか、なってくれ。さすがに女の子の姿のままでスヤスヤは俺の理性がもたない」

コタツ「私は家電ですよ?」

男「家電の姿をしてないだろ、とにかく寝る時は元の姿で頼む。その方が寝具も要らないだろうしな」


コタツ「わかりました、でも眠くなるまで起きてていいですか?」

男「お好きに、TVもヘッドホン使って観てたらいいから」

コタツ「はーい」



28 :名無しさん :2014/03/27(木)14:58:14 ID:9m34bKxr8


………



男(…とは言ったものの、全然寝付けない)

男(目を閉じると、この娘が現れた時の艶姿を思い出してしまう)


男(いかん…俺は女さん一筋の筈だ)

男(今…俺の横でTVを観てる、こいつは家電だ!)

男(しかもホームセンターで買った安物のコタツだ!)

男(コタツに欲情する奴がどこにいるってんだ!)


…チラッ


コタツ「………」ニコニコ

男(…ただの天板背負った女の子だよなぁ──)



29 :名無しさん :2014/03/27(木)14:58:49 ID:9m34bKxr8


……………
………


…翌朝


コタツ「ふぁ……おはようございまーす」

男「やっぱ、いるんだな…」

コタツ「そりゃいますよ、貴方の持ち物ですもん」

男(女の子が俺の所有物とか…)ムラッ


コタツ「ふあぁ……ぁ」

男「…なんで眠そうなんだ?」

コタツ「えっ?」


男「まさか寝てないのか? 少しずつ寝る時間をずらすために、早めに寝る努力は?」

コタツ「……てへっ」

男「お前、ずっとTV観てたな。通販番組くらいしかあるまいに」

コタツ「けっこう面白かったですよー? あのわざとらしい日本語吹き替えが…」


男「押入れが好きなようだな」

コタツ「許して下さい、今夜から早寝します」



30 :名無しさん :2014/03/27(木)14:59:12 ID:9m34bKxr8


………



男「じゃあ、俺は行ってくるから」

コタツ「はーい、行ってらっしゃーい」


男「どうせ眠いんだろ。誰か来ても出るなよ? コタツの姿で寝とけ」

コタツ「言われるまでも無き事」キリッ

男「なんか腹立つわ…」



31 :名無しさん :2014/03/27(木)14:59:33 ID:9m34bKxr8


……………
………



男「女さん、おはよう」

女「あっ…おはよう、男くん」


女「今度のプレゼン実習の原稿とか、進んでる?」

男「全然…ごめんね、せっかくペア組んでくれたのに」

女「それが私も全然なの、もうあんまり猶予は無いのにねー」

男「何とかしなきゃな」



32 :名無しさん :2014/03/27(木)14:59:56 ID:9m34bKxr8


………



女「──それでね、結局その日は買うのやめたの。でも次の週に行ったらもう売れててね」


男(…あの娘、ちゃんとコタツ状態になってるのかなー)

女「やっぱり買っとけば良かったなーって、かなり悔やんでる」


男(余計な家捜しとかしてなきゃいいんだけどな…)

女「しかも後からネットの通販見たけど、送料考えたらその時に買っとく方が安かったんだよ」


男(そんなに疚しいものは無いけど…健康な男子の持ち物くらい、いくらかはあるぞ)

女「後悔先に立たずだよー、ほんと」



33 :名無しさん :2014/03/27(木)15:00:15 ID:9m34bKxr8



男(そうは言っても、昨夜も今朝もあの娘が起きてたから隠す事も出来なかったもんなー)

女「…男くん?」


男(テレビ台の引き出しだろ…? それから本棚の上……げげっ、そういえば脱衣所のタオル棚にオナホがあるぞっ)

女「………」


男(鏡台の開き戸の中にはローションも立ててるし……でも、コタツにはそれが何か解んないか──)

女「…男くん、つまらない?」

男「えっ」


女「なんか、返事もしないし…ボーッとしてるよね」

男(しまった、考え事に集中しすぎだ…こりゃマズイ)



34 :名無しさん :2014/03/27(木)15:00:32 ID:9m34bKxr8


女「…さては、夜更かししたんでしょ?」

男「お…? う、うん…そうなんだ。ごめん、ちょっと意識飛びそうになってた」


女「もう…あんまり興味無さそうにしてたら、不安になるじゃない」

男「…不安?」

女「んー、話…つまんなかったかなーって」

男「そんな事ないっ! ごめん、俺が悪かったよ!」


女「仕方ない、今回は許してあげよう…その代わり」

男「その代わり…?」

女「今度、男くんの部屋で一緒に原稿を作ろうよ。招待…してくれるかな?」

男「えっ!?」



35 :名無しさん :2014/03/27(木)15:00:47 ID:9m34bKxr8


女「あれ…? だめだった?」

男「そ…そんな事ないっ! 全然、ウェルカムだよ!」

女「よーし、約束ね? じゃあ午後の講義始まるから、行こう」

男「…おう」


男(…とは言ったものの、まさか部屋に女の子がいるとは言えないし)

男(いや、家電だけどさ)


男(とりあえずその時、あの娘には寝といてもらわないとな──)



36 :名無しさん :2014/03/27(木)15:01:09 ID:01GgysPsw


ほう



39 :名無しさん :2014/03/27(木)15:08:05 ID:CECVz6r3Q


ふぅ…



42 :名無しさん :2014/03/27(木)15:36:04 ID:9t9PRKwqo






43 :名無しさん :2014/03/27(木)15:46:25 ID:B3ATyUdb0






44 :名無しさん :2014/03/27(木)16:08:19 ID:9t9PRKwqo






45 :名無しさん :2014/03/27(木)16:08:56 ID:zdPEFnzhb






47 :名無しさん :2014/03/27(木)16:34:59 ID:DAuV1FRJS


がんば!




50 :名無しさん :2014/03/27(木)19:26:28 ID:1bIplJk4A


……………
………



男「…ただいまー」ガチャッ

コタツ「あっ、おかえりなさーい」


男「………」


コタツ「あれ、どうしたんですか?」

男「…『ただいま』に対して『おかえり』が返る事に、ちょっと感動してた」

コタツ「あはは…それは良かったです。人型を見せた甲斐がありました」


男「その代わり、家具としての利便性は落ちたけどな」

コタツ「ひどっ!」



51 :名無しさん :2014/03/27(木)19:27:05 ID:1bIplJk4A


男「ま、とりあえずシャワーでも浴びてくるわ」

コタツ「はーい、ごゆっくりー」


…パタンッ

シャアアアアァァァァァ…


男(…様子に変なところは無い)

男(エログッズは見つかってはいない…か)


男(まあ…でも、やっぱり部屋に独りぼっちじゃないってのは)

男(悪くはない…な)



52 :名無しさん :2014/03/27(木)19:27:39 ID:1bIplJk4A


…パタンッ


男「ふう、さっぱりした」ゴシゴシ…


男「さて…と」

男「………」


男( 着 替 え が 部 屋 だ ! )


男(しし…しまった、いつもの癖で)オロオロ

男(独り暮らしだから何を気にする事も無く、身体拭いたら素っ裸で部屋に戻ってたもんな…)

男(仕方ねえ…部屋干しの中から持ってきてもらおう)



53 :名無しさん :2014/03/27(木)19:28:12 ID:1bIplJk4A


…ガチャッ


男「おーい、コタツー」

コタツ「ん? 呼びましたー? …どうしたんですか、そんなドアの隙間から覗いて。ちょっと怖い…」

男「着替え持ってくんの忘れたんだよ…悪いけど、部屋干ししてる中から取ってくれないか」

コタツ「あはは…独り暮らしの癖ですねー。よいしょ…っと」


…ピーン


コタツ「……ごめんなさい、無理です」

男「え、なんで?」

コタツ「部屋干ししてる窓際まで、コードが届きません…」



54 :名無しさん :2014/03/27(木)19:28:51 ID:1bIplJk4A


男「コードなんて付いてるのか!?」

コタツ「はい…人間で言えば尾てい骨のあるところから、尻尾みたいに…」


男「…抜けばいいんじゃないの?」

コタツ「それが…このコードって、男さんがコンセントに挿したでしょう?」

男「そりゃまあ」

コタツ「私、あくまで男さんの持ち物だから…持ち主の意思によって決定された状態を変える事はできないんです」

男「…まじか」



55 :名無しさん :2014/03/27(木)19:29:14 ID:1bIplJk4A


男(どうする…だからって全裸をあの娘に晒すわけには…)

コタツ「あの、私…後ろを向いておきますからっ」

男「えっ」

コタツ「見ないから…どうぞ、出てきて下さい」


男(それしかないのか…)

コタツ「いいですよー」

男「えーと…絶対だよ?」

コタツ「はい」

男「念のため、手で顔を覆っといてね?」



56 :名無しさん :2014/03/27(木)19:29:47 ID:1bIplJk4A


…スゥーーッ、パタンッ…


男(そーっと、そーっと…って、なんで忍び足の必要があんだよ)

コタツ「………」


男(後ろを向いてるとはいえ、女の子の傍を全裸で…)

コタツ「………」


男(いかん、状況に対して生理反応が起きているっ!)

コタツ「………」


男(落ち着け! 俺! 主張するな!)

コタツ「………」



57 :名無しさん :2014/03/27(木)19:30:22 ID:1bIplJk4A


…パチン、パチッ、ヒョイッ


男(OK、とりあえずパンツとノースリーブは確保…! さあ、どうする…ここで着るか)

コタツ「………」


男(しかし、着てすんだら彼女に目隠し解除を言い渡さなければならない。下半身の主張ぶりを考えれば、それはマズイ)

コタツ「…まだ、ですか?」

男「まだっ!」

コタツ「………」


男(何しろパジャマ代わりのスウェットは、彼女のいる近くの棚の中だ…。これだけ主張していればバレない訳がない)

コタツ「………」



58 :名無しさん :2014/03/27(木)19:31:00 ID:1bIplJk4A


男(ここは脱衣所に引き返し、収束するのを待ってから──)


ヒタ、ヒタ…


コタツ「………」チラッ

男「見た! 今、見ただろ!」

コタツ「み、見てませんっ!」


男「嘘つけっ! パンツ履いてたから良かったものの…!」

コタツ「嘘! 履いてなかったじゃないですかっ! …あっ!」

男「やっぱ見てんじゃねーか!」


コタツ「チラッとですよ! チラッと! 小さいからハッキリは見てません!」

男「お前は今、押入れ行きが確定した」



59 :名無しさん :2014/03/27(木)19:31:30 ID:1bIplJk4A


………



コタツ「ごめんなさいってば」

男「もういい」

コタツ「大丈夫、けっこう大きかったですよっ」

男「うるせえ、どうせ平均以下だよ」


コタツ「もう…あんまり気にしないで下さいよ。今までも私の目の前で裸になってたじゃないですか」

男「えっ! 見てたのか!?」

コタツ「あっ!」


男「何、やっちまったって顔してんだよ! じゃあ、お前…今までの俺の自家発電シーンとかも…!」

コタツ「…だ、だって男さん、私に入ったままするんですもん!」

男「挿入ったままとか言うなっ!」

コタツ「そういう意味じゃないですよっ!」アセアセッ



60 :名無しさん :2014/03/27(木)19:31:51 ID:1bIplJk4A


男(…なんて事だ、エロアイテムが見つかるどころの話じゃねえ)

男(今まで俺はこの娘に見せつけながら、それを使用してたのかよ…)


男「なあ、コタツ」

コタツ「はい…?」

男「全部、忘れてくれ」

コタツ「ああ……はい、忘れました」

男「それらの事に触れる発言したら、本当に押入れ行きな?」

コタツ「わ、解りましたよぅ…」



61 :名無しさん :2014/03/27(木)19:32:19 ID:1bIplJk4A


男「はぁ…気を取り直して、メシにするかぁ」

コタツ「わーい」ニコニコ


男「え? お前…食べるの?」

コタツ「いいえ、コタツを使って貰えるなーって思って」

男「…それって嬉しいのか?」

コタツ「そりゃそうですよ! そのために生まれてきたんですから!」


男「正直、四つん這いの女の子の背中でメシ食うなんて、気が引けるもいいとこなんだけど」

コタツ「ダメッ! 私というものがありながら床でご飯食べるとか、侮辱です!」

男「うーん…」



62 :名無しさん :2014/03/27(木)19:33:08 ID:1bIplJk4A


コタツ「さ、どうぞ!」ビシッ

男「結局こうなるのか…」

コタツ「遠慮は無用です、置いて置いてっ!」


コトッ、コトン…


男「じゃあ…気にはせずに、頂きます」

コタツ「今日は卵ご飯よりはマシですね」

男「一応、惣菜とか買ってきた」モグモグ


コタツ「野菜が少ないんじゃないですか?」

男「なんで天板の上が見えるんだよ」

コタツ「予想しただけですけど、当たりだったみたいですね」クスクス



63 :名無しさん :2014/03/27(木)19:33:49 ID:1bIplJk4A


男「……それにしても、この状態だとテーブルにはなってもコタツの役目はしてないよな」モグモグ

コタツ「コタツ布団に足が入ってないですもんね…」


男「だったら、もうコンセント抜いとこうか? その方が自由きくだろ」

コタツ「うーん…それもあんまり嬉しくはないです」

男「なんで?」ゴキュゴキュ


コタツ「やっぱり私はコタツとして使われるために生まれてきたわけで…ただのテーブルに成り下がるのは複雑です」

男「でもこれからの時期はどうしてもコタツとしての利用はできなくなるぞ?」プハーッ

コタツ「それは仕方ないんですよ、逆にそうだからこそ冬の風物詩的なポジションでもあるんですから」

男「それでもコンセントは抜かない方がいいのか…ヘンなの」



64 :名無しさん :2014/03/27(木)19:34:45 ID:1bIplJk4A


………



男「さて、メシも食ったし…もう人間コタツ体勢はやめてくれ。どうしても見た目に抵抗がある」

コタツ「はーい」

男「それと、その天板…ずっと背負ったまんまで重くないの?」

コタツ「自分の一部ですからね。でも、あちこちにぶつけちゃいけないから、使わない時は降ろしときましょうか」


男「まだ寝るにも早いな…どうせいいのはやってないだろうけど、TVでもつけるか」

コタツ「じゃあ…失礼して」ゴソゴソ

男「ん?」

コタツ「よいしょ」トスッ



65 :名無しさん :2014/03/27(木)19:35:16 ID:1bIplJk4A


男「…おい」

コタツ「はい?」

男「なんで俺の膝に座る」

コタツ「…コタツですから」ポフポフ


男「そのスカートがコタツ布団で、俺の足を包んでる…と」

コタツ「はい、電源入れましょうか?」

男「……入れなくても人肌くらいは暖かいけど、じゃあ入れてみてもらおうか」

コタツ「そうこなくっちゃ」パチッ



66 :名無しさん :2014/03/27(木)19:35:45 ID:1bIplJk4A


男「スイッチは普通にコードに付いてんだ」

コタツ「はい…少し待って下さいね」


ジワーッ…ホカホカ…


コタツ「だいぶ暖かくなりました」

男「…膝の上でお漏らしされた気分」

コタツ「なっ…!?」



67 :名無しさん :2014/03/27(木)19:36:18 ID:4K1jvIu4u


コタツかわいい



69 :名無しさん :2014/03/27(木)20:52:30 ID:ze41jST5d


かわいいな



70 :名無しさん :2014/03/27(木)23:43:50 ID:xt3ji0NdQ


是非ハッピーエンドで

コタツかわいすぎる




72 :名無しさん :2014/03/28(金)10:29:11 ID:aaq9LqYNe


男「しかしコレ、どこが発熱してんだ?」

コタツ「……何て事を訊くんですか」ポッ

男「ごめん、言わなくていいわ」


コタツ「重くはないですか?」

男「潰れそう」

コタツ「………」シクシクシク

男「嘘、冗談、小さいって言われた仕返しのつもりだった、謝るから」



73 :名無しさん :2014/03/28(金)10:29:44 ID:aaq9LqYNe


男「なあ、さっき家具状態の時も周りが見えてて意識があるって言ってたよな?」

コタツ「はい」

男「それって昨日『寝なきゃ家具状態に戻れない』って言ったのと矛盾してないか?」

コタツ「そんな事ありませんよ」ビクゥッ!

男「台詞と態度が一致してないぞ」


コタツ「ね…寝てても意識はあるんです、身体を休めてるだけなんですよ」アセアセ

男「ふーん…?」

コタツ「…疑ってますね」

男「あ、解る?」

コタツ「信じて下さいよぅ…」



74 :名無しさん :2014/03/28(金)10:30:19 ID:aaq9LqYNe


………



男「じゃあ灯り、消すぞ」

コタツ「おやすみなさい」

男「今夜は早目に寝ろよな」

コタツ「努力しまーす」


男「…あ、だけどさ」

コタツ「はい?」

男「今度、部屋に人を呼ぶ事になると思うんだ。多分昼間なんだけど…その時は家具状態になってくれよな」

コタツ「じゃあ、やっぱり夜更かししてお昼寝できるようにしないといけませんねっ!」キラーン

男「いやいや、まだいつの事かも解らないし…」

コタツ「だったら明日かも知れないじゃないですか! これは仕方ないです、夜更かしするしかありません!」フンス

男「…まあ、好きにしろ」



75 :名無しさん :2014/03/28(金)10:30:41 ID:cFvlviBiZ


wktk




76 :名無しさん :2014/03/28(金)10:30:45 ID:aaq9LqYNe


………



コタツ「………」ニコニコ


男(…相変わらず嬉しそうにTV観ちゃって)

男(普通の家具状態に比べれば、利便性は劣る…)

男(でも昨日から、いつもより楽しいのは確かだよな)

男(…二人の時は、無理に元の姿に戻ってもらう必要も無いか)


男(しかし、さっきの『寝てても意識はある』は嘘だろうな…)

男(それでも家具状態の時にも周囲を見てた)

男(…という事は、嘘があるとしたら──)



78 :名無しさん :2014/03/28(金)12:29:02 ID:1rzeG0zgI


……………
………


…翌朝


コタツ「──てっ! 男さん、起きて下さいよっ!」


男「ん…んん…?」

コタツ「いつもより起きる時間、ずっと遅くなってますよ! なんで携帯のアラームをセットしなかったんですか!?」ユサユサ


男「…ああ、おはよ」

コタツ「いいから早く! 用意しないとっ!」



79 :名無しさん :2014/03/28(金)12:29:59 ID:1rzeG0zgI


男「いいんだよ、今日は…」

コタツ「えっ」

男「受けとかなきゃいけない講義、特に無いから休むつもりなんだ」


コタツ「なんだ…それなら昨日の内に言っといて下さいよ。明け方にうとうとしてて気付くとこんな時間だったから、びっくりしました」

男「ごめんごめん、心配してくれてありがとうな。せっかくだから起きるよ」

コタツ「はーい、今朝はちょっと冷えるからスイッチ入れときますねー」


男(…寝てる間も意識があるなら、時計見てびっくりしないよな)



80 :名無しさん :2014/03/28(金)12:30:36 ID:1rzeG0zgI


コタツ「それで、今日は何をするんです? 映画のDVDでも観ます? ゲームします? それともワ・タ・シ?」

男「じゃあ最後の」

コタツ「えっ」

男「…を、片付けようかな」

コタツ「意地悪…」ウルウル


男「嘘うそ、ごめんって。でも、外出って選択肢は無しなのか?」

コタツ「それってコンセント抜かなきゃいけませんし」

男「そんなに嫌なの?」



81 :名無しさん :2014/03/28(金)12:31:04 ID:1rzeG0zgI


コタツ「…っていうか、部屋が好きなんですよ。なんといっても家具なので」

男「なるほど、屋外には魅力を感じないと」

コタツ「家具たる者、屋外で雨ざらしほど悲しい事もないですから」

男「あー、なんとなく解るかも…あれは侘しい光景だよな…」


コタツ「あ、でも最悪なのは売れ残って使われずに廃棄される事です。もう店頭では毎日ビクビクしてました」

男「そういえばお前、ホームセンターでかなり値下げされてたよな」

コタツ「言わないで下さいよ…本当に怖かったんですから」



82 :名無しさん :2014/03/28(金)12:31:33 ID:1rzeG0zgI


男「その価格だったからこそ購入したんだけどな」

コタツ「はい、あの時は嬉しかった……だから男さんの事は大好きです」

男「ば…ばかやろ、大好きとか言うなっ」


コタツ「私は家具ですよ?」

男「だから家具の姿してないだろ。そうでなくとも俺は女の子に免疫薄いんだよ」

コタツ「知ってます、部屋に連れてきた事ないですもんね」

男「うるせえ」


コタツ「だから私は、アナタしか知らないの…」ポッ

男「てめえ、からかうな」

コタツ「あははっ、もっと挙動不審になってくれるかと思ったのに」



83 :名無しさん :2014/03/28(金)12:31:59 ID:1rzeG0zgI


男「でも、なんとなく部屋に閉じ込めっぱなしってのも悪い気がするなー」

コタツ「そんな事ないですってば」

男「うーん…」


コタツ「男さんに買ってもらった以上、男さんの部屋で使ってもらう事こそが私の幸せなんです」

男「…そっか、じゃあ今日は映画でも借りて来ようかな」

コタツ「はいっ」



84 :名無しさん :2014/03/28(金)12:35:35 ID:24XjCUNYQ


可愛いな



85 :名無しさん :2014/03/28(金)13:38:54 ID:iUqxaoO9L


久しぶりに2次に行きたくなった




88 :名無しさん :2014/03/28(金)20:04:37 ID:ZhlSx18LJ


………


…レンタル店


男(さーて、何を借りるか…)

男(とりあえず、ラブシーンがありそうなやつはパスだな)

男(…でも、割と何にでもあったりするんだよなー)


男(安心なのは…キッズ向け?)

男(CGアニメ系のやつなら、大人が観ても楽しいのあるよな)



89 :名無しさん :2014/03/28(金)20:05:21 ID:ZhlSx18LJ


………



コタツ「うぅ…」グスッ


《…Eve? …Eve!》

《WALL・E…!》


男(…で、『ウォーリー』にしたけど…)

コタツ「男さん…これ、ダメですよぅ」ポロポロ

男「感動した?」

コタツ「それもそうですけど、地球がゴミだらけじゃないですか…」

男「ああ、そっか」

コタツ「家具や電化製品の末路だと思うと……うぅっ」グスン

男(…人間には解らん感覚だ)



90 :名無しさん :2014/03/28(金)20:06:07 ID:ZhlSx18LJ



男「ゲームでもするかー」

コタツ「はいっ」


男「二人で出来るのは……Wiiパーティーくらいだな」

コタツ「………」

男「ん? どした?」

コタツ「…いえ、なんでパーティーゲームなんか持ってるのかなーって」


男「……やっぱやめる」グスッ

コタツ「えっ!? 嘘っ、大丈夫! 独りでやっても面白いですよね! ねっ!」アセアセッ



91 :名無しさん :2014/03/28(金)20:07:06 ID:ZhlSx18LJ


コタツ「はっ! …それっ! よっ…ととと…!」フラフラ

男「まあ確かにこの部屋で誰かとやった事は無いんだけどさ」スイッ

コタツ「えいっ! うわっ、難しいっ!」バタバタ


男「友達の部屋でやった『ぐるぐるパズル』にハマッちゃったんだよな……っと」ヒュッ…

コタツ「ええっ!? そんなに軽い動作でいいんですか!?」

男「うん、座ったままでオッケー」


コタツ「先に言って下さいよ…すっごく疲れたじゃないですか…」

男「すまん、ジタバタ加減に軽く萌えててな」



92 :名無しさん :2014/03/28(金)20:07:55 ID:ZhlSx18LJ


コタツ「そのなんとかパズルをやってみたいです」フンス

男「対戦より一人でとことんモードの方が面白いぞ、やってみ」


コタツ「ええと…?」

男「とにかく回して四つ以上の同色パネルが繋がったら消える。あとは素早く消してコンボを途切れさせるな」

コタツ「うわっ、間に合いません! コンボとぎれるー!」ジタバタ

男「落ち着け、これはリモコン振らなくていい」


…ドーーーンッ!


コタツ「アッと言う間に終わった……」

男「面白かった?」

コタツ「まだ面白さが解りません、ただ…」

男「…ただ?」

コタツ「男さんのMii、こんなにハンサムじゃないたたたたたっ! やめて! 粗大ゴミになりますっ!」

男「粉砕して可燃ゴミにしてやんよ」グリグリ



93 :名無しさん :2014/03/29(土)00:32:27 ID:ummsUqGfZ


こたつかわいい



94 :名無しさん :2014/03/29(土)06:16:50 ID:7jN0hbRip


しえん




96 :名無しさん :2014/03/29(土)11:03:52 ID:Yzj5xryc9


……………
………


…1週間後、早朝


男「…ん」


…モゾッ


男(あれ…えらく早い時間に目が覚めちゃったな…)


《スタジオノ ミナサン オハヨウ ゴザイマース!ケサノ キオンハ キノウヨリタカク──》


男(TVの音が出てる…それで目が覚めたのか)

男(あーあ、コタツめ……家具状態にもならずに、うたた寝してんじゃねーか)

男(寝返りでヘッドホンのプラグが抜けたんだな)

男(たぶん人間の姿だと寒いだろうに…)



97 :名無しさん :2014/03/29(土)11:04:21 ID:Yzj5xryc9


…バサッ


男(…コタツが寒くないように毛布をかけてやるってのも、変な話だな)


男(眠る時は家具にも人型の状態にもなれる…か、それは本当みたいだけど)

男(じゃあ、家具状態の時には寝てても周囲が見えてて、人型だと全くの睡眠状態?)

男(やっぱりそんな変な話、無いだろ)

男(眠らなきゃ家具型になれないって部分は、きっと嘘だな)


男(つまり多分、今までずっと家具の状態でいた時も、眠ったり目覚めたりを繰り返してたんだ)

男(店頭でも、この部屋に置かれてる時も、押入れにしまわれてる時も)

男(さぞ退屈だったろうけど、外出に魅力を感じないとか…そういう家具の感性からすれば平気なのかな)


男(でも、明らかに夜更かしが好きだったりゲームや映画に興じたり)

男(人型を現してからの毎日が、楽しそうなんだよな)



98 :名無しさん :2014/03/29(土)11:04:46 ID:Yzj5xryc9


男(…女さんを部屋に呼ぶ時……もう明日の事か)

男(いや、それより後だってそうだ)

男(いつかはまた、ずっと家具の状態でいてもらわなきゃいけなくなる)


『──男さんの部屋で使ってもらう事こそが私の幸せなんです』


男(…そうは言ってたけど、本当にコイツはそれでいいのかな)

男(ある時を境に『喋るな』『動くな』『姿を変えるな』)

男(そう告げなきゃいけない日は、いつか来る……そしてその時)


『持ち主の意思によって決定された状態を変える事はできないんです』


男(きっとコイツは、笑顔で受け入れるんだろう──)



100 :名無しさん :2014/03/29(土)12:33:07 ID:43rCuhclr


>>1さんは知らないかもしれないけど
高橋留美子っていう漫画家が書いた漫画のノリみたいで好き




102 :名無しさん :2014/03/29(土)15:49:04 ID:8VzRY7ByI


………


…翌日


女「お邪魔しまーす」

男「どうぞー、自慢できるような部屋じゃないけど」

女「うん、でも綺麗に片付いてるから恥ずかしくもないでしょ」


男「がんばって片付けたんだよ、女さんが来るから」

女「あははっ、それは言わない方がよかったんじゃない?」

男「偽っても仕方ないしー、普段は散らかしてるしー」


女「あっ、でもひとつだけ指摘事項みっけ」

男「えっ」



103 :名無しさん :2014/03/29(土)15:49:30 ID:8VzRY7ByI


女「もう春もいいとこなんだから、コタツは片付けないとね?」

男「…ああ、いいんだよ。俺、コタツ好きなんだ」


女「じゃあ年中出しっぱなしなの?」

男「うん」

女「ふーん……まあいっか、布団を取れば卓袱台だもんね」

男「まだ布団も取らなくても、OFFにさえしてれば平気だしな」


女「あ、読めた」

男「何が?」

女「横着して、コタツで寝る癖あるでしょ!」

男「はは、バレたか」

女「でも解る、あれ心地いいよねー」



104 :名無しさん :2014/03/29(土)15:49:48 ID:8VzRY7ByI


………



女「──このスライドの時、グラフはいると思うんだよ」

男「うん、メモしとく」

女「じゃあ文章は私、考えるから。男くんはそういうビジュアル的な部分を任せてもいい?」

男「了解、お互いメールとかで原稿を交換しながらやろう」


女「はぁ…ようやく方向性と骨組みはできたねー」

男「本当はまだ骨組みだけってのじゃ、いけないくらいのタイミングだけどね」

女「人の事は言えないくせにー」

男「解ってるって、責めてるんじゃないよ」



105 :名無しさん :2014/03/29(土)15:50:07 ID:8VzRY7ByI


男「じゃあ今日はこのくらいにして……お腹すいたね」

女「ぺっこぺこです」


男「夕食、どっか行く?」

女「うーん……実は、ですね」

男「?」


女「カレーでも作ろうと思って、ちょっとした材料を持ってきてたりします」

男「まじか、やばい嬉しい」

女「でももし作らない事になったらいけないと思って、お肉とかの生鮮ものは持ってきてないの」



106 :名無しさん :2014/03/29(土)15:50:27 ID:8VzRY7ByI


男「そっか…でも冷蔵庫には無いなぁ」

女「うん、買いに行ってくるよ。来るとき見たけど、近くにスーパーあったよね」


男「ああ、歩くとまあまあ遠いけど。荷物持ちに行こうか」

女「ううん、そんなにたくさん買うわけじゃないから平気。それよりご飯はあるのかな?」

男「……炊かなきゃ無い」

女「じゃあ、そっちを頼みます」


男「わかった、女さん何合くらい食べる?」

女「そんなに何合も食べないよ、失礼だなぁ」

男「はは…冗談、三合くらい炊いとく」



107 :名無しさん :2014/03/29(土)15:50:52 ID:8VzRY7ByI


…ガチャッ


女「先にお菓子のつまみ食いとかしちゃダメだよ?」


男「しないって、女さんこそ試食コーナーの誘惑に負けないようにね」

女「うっ、なぜ私が試食コーナー好きなのを知ってますか」

男「女友さんから色々聞いてまーす」

女「やめてー! 思い出さなくていいからっ!」


男「あはは……そろそろ暗くなり始めてるから、気をつけてね」

女「うん、最近物騒だもんね」

男「そうだよ、こないだも近くで空き巣と放火があったって」

女「怖いねー」



108 :名無しさん :2014/03/29(土)15:51:09 ID:8VzRY7ByI


男「…炊飯器だけセットして、やっぱりついていこうか?」

女「ううん、平気。人通りの多いとこ通るから」


男「なんか心配だな」

女「スーパーに行くのに心配とか、子供じゃないんだから」

男「そっか…まあ、そうだね」


女「でも…嬉しいよ?」

男「ん?」

女「玄関を出る時に、そんな風に心配してくれるのって…なんかいいよね」



109 :名無しさん :2014/03/29(土)15:51:25 ID:8VzRY7ByI


男「…誰だって、暗い時間に女性が外出しようとすれば心配するよ」


女「うーん…それは違うよ、男くん」

男「………」

女「今、言うべき台詞としてはちょっと相応しくない…かな?」


男「…解ってるよ」

女「何を?」


男「さっきのなし、照れ隠しだったよ。……女さんだから、心配したんだ」



110 :名無しさん :2014/03/29(土)15:51:41 ID:8VzRY7ByI


女「やっとだね」

男「やっと?」

女「待ってました! …だよ、その言葉」

男「…お待たせしました」


女「やばい、思ってたより恥ずかしい。もう行ってきます、すぐに帰るからっ」

男「そんなにすぐにご飯炊けないよ」

女「もう照れ隠しはいいってば」

男「…そうだな。じゃあ、早く帰ってきて下さい」

女「了解です!」



111 :名無しさん :2014/03/29(土)15:52:23 ID:8VzRY7ByI


………



男「おい」

コタツ「………」

男「家具状態でもどうせ聞こえてんだろ」

コタツ「………」

男「…っていうか、その状態なら寝てても聞こえるとか見えるとか、嘘だよな。起きてんだろ?」


スウウウゥゥッ……


コタツ「……バレてたんですか」

男「おうよ、けっこう前からな」



112 :名無しさん :2014/03/29(土)15:52:54 ID:8VzRY7ByI


男「少しの間だけど、人型でいても大丈夫だよ。30分もしたら帰ってくるだろうけど」

コタツ「はーい」


男「今日は退屈させたな」

コタツ「何言ってるんですか、ちゃんと天板使われてるのに退屈なわけありません」

男「そういうもんか」


コタツ「それに男さんの緊張した喋り方が面白くて面白くて…」プププッ

男「やっぱそろそろコタツも季節外れかなー」

コタツ「脅してもダメですよ。『俺、コタツ好きなんだ』…でしょ?」ニヤニヤ

男「うわ、ムカつく」



113 :名無しさん :2014/03/29(土)15:52:56 ID:7jN0hbRip


しえん




114 :名無しさん :2014/03/29(土)15:53:30 ID:8VzRY7ByI

コタツ「でも、よかったじゃないですか。祝、初彼女!」パチパチ

男「今まで彼女いた事無いなんて言ってないぞ」

コタツ「あれ? てっきりそうかと…いた事あったんですか?」

男「……無いけどさ」


コタツ「これでWiiパーティーの相手ができましたねー」

男「お前じゃ相手にならなかったからな」

コタツ「失礼なっ! ぐるぐるパズル1万点超えるようになったんですよ!?」

男「3万点超えてから言いな。俺、ちょっと炊飯器セットしてくるわ」

コタツ「ちぇっ、じゃあちょっとだけゲームしてても──」


──ガチャッ


女「ごめーん、お財布大きい方のバッグに入ってたよー」



115 :名無しさん :2014/03/29(土)15:53:58 ID:K23q1EklX


おっ?




118 :名無しさん :2014/03/29(土)16:02:44 ID:Yl2TMfP43


男「お、女さんっ…!?」

女「あはは…時間ロスしちゃった、すぐに行って…くる…か……ら…」


《3…2…1…スタート!チャチャラチャーラーラ、チャチャラチャーララーンラララ…》


女「………」

コタツ「…はわ…はわわ…」ガクブル

男「……最悪だ」


女「えっと……うん、帰るね」


男「ちょっと待って! 女さん、コイツは違う! コタツなんだ!」

女「…コイツとコタツを掛けた感じ? あはは、面白ーい。せめて妹だとか、まともな言い訳は出てこないわけ?」


男「そうじゃない!」

女「何? なんでこのタイミングで部屋で寛いでるわけ? まさか押入れにでも隠れてたの? 本当、さっきの玄関でのやりとり、いいお笑い種ね」ガチャッ…

コタツ「あの、女さん! 本当に違いますからっ!」

女「そう、とにかく帰るから。どうぞコタツさんとぬくぬくしてたら!? さよならっ!」バタンッ!



119 :名無しさん :2014/03/29(土)16:03:30 ID:Ng8NTzdDC


oh.,




120 :名無しさん :2014/03/29(土)16:04:36 ID:Yl2TMfP43


…スタスタスタ
カン、カン、カン…


女「………」グスッ

女(何よ…それ…)

女(彼女いるなんて聞いてなかった)

女(……本当にそうかは解らないけど、でも──)


──バッ!

女「きゃっ…!?」

タタタタタッ…


女(びっくりした…何、今の人…?)

女(もうこんなに暖かいのに、ニット帽なんか被って)

女(男さんのアパートの裏から出て来たけど、すごく慌ててた──)



121 :名無しさん :2014/03/29(土)16:06:09 ID:Yl2TMfP43


………



男「………」

コタツ「……ごめんなさい」


男「………」

コタツ「あの…家具形態になる時は、四つん這いじゃないとひっくり返った状態になってしまうからっ」


男「………」

コタツ「それで、咄嗟には変われなくて…その……ごめんなさい…」グスッ


男「お前のせいじゃないよ…俺が油断してたんだ」

コタツ「でもっ…」

男「告白みたいなシーン、お前に見られたと思ったから…こっ恥ずかしくて話し掛けちまった。そうじゃなきゃお前は家具のままだったろ」

コタツ「……うぅ…」



122 :名無しさん :2014/03/29(土)16:06:27 ID:Yl2TMfP43


男「何とか誤解を解くよ……ただ、何て説明していいか…」

コタツ「だったら早い方がいいです! もし今連れ戻してくれたら、目の前で家具の姿になってみせますから…!」

男「……そうか。素直に戻ってくれるかは解らないけど、それが一番いいのかもしれないな…」

コタツ「そうですよ! だから、追いかけて下さいっ!」


男「……でも」

コタツ「どうしたんですか! 早くっ!」

男「女さんにお前の正体を見せて、その後はどうなる」



124 :名無しさん :2014/03/29(土)16:06:43 ID:Yl2TMfP43


コタツ「どうなる…って…」

男「女さんは良い人だけど…もしお前の噂が広まったら…」

コタツ「その時は私、家具のままになりますから! 誰が見に来たって二度と人型にならなければ、すぐに噂なんか消えますよ!」


男「そんな、お前が二度と人型になれなくなるなんて」

コタツ「私は家具ですっ! 電化製品ですっ!」


男「もう、そうとは思えないよ! どこの世界にこんなに一緒にいて楽しい電化製品がいるんだよ!」

コタツ「!!」



125 :名無しさん :2014/03/29(土)16:06:46 ID:bnrtqt3aO


辛い



126 :名無しさん :2014/03/29(土)16:08:04 ID:Ng8NTzdDC


やめてくれえ




127 :名無しさん :2014/03/29(土)16:08:29 ID:Yl2TMfP43


男「ゲームが好きで、映画で泣いて、夜更かしばっかして、生意気な口叩いて…!」

コタツ「男さん…」

男「家具の姿よりずっと不便で! でも、俺は…!」

コタツ「………」ポロッ


男「俺は…そんな売れ残りの安物コタツを……気に入ってるんだよ…」

コタツ「……っ…」ボロボロッ



128 :名無しさん :2014/03/29(土)16:09:29 ID:Yl2TMfP43


コタツ「…ありがとう、男さん」

男「………」


コタツ「でもね…私は電化製品なんです。電化製品は持ち主に豊かで幸せな暮らしをしてもらうためにあるんです」

男「…お前は充分、俺を幸せにしてくれてるよ」

コタツ「でも、家具なんです」

男「………」


コタツ「家具にできるのは、持ち主の幸せな『暮らし』を叶える事。でも女さんは、貴方の人生そのものに幸せを与えてくれるはずなんです」

男「………」

コタツ「だから、行って下さい」



129 :名無しさん :2014/03/29(土)16:09:58 ID:Yl2TMfP43


男「俺は…」

コタツ「大丈夫、女さんはきっと私の事を言いふらしたりしません。そんな人とは思えませんでした、違いますか…?」

男「………」


コタツ「男さん」

男「…解った、行ってくる」


コタツ「はいっ」ニコッ



130 :名無しさん :2014/03/29(土)16:10:44 ID:bnrtqt3aO


コタツちゃん(´;ω;`)



135 :名無しさん :2014/03/29(土)16:44:01 ID:hmbYEN8hT


期待



136 :名無しさん :2014/03/29(土)18:11:25 ID:43rCuhclr


ハッピーエンドで終わるよね
いやハッピーエンドにしてあげて下さい!




138 :名無しさん :2014/03/29(土)22:23:51 ID:oBWUSsnVZ


………



カン、カン、カンッ…!
タタタッ…!


大家「あら、男くん今からお出かけ?」

男「大家さん! さっき、俺の部屋から出てきた女の人…どっちに行ったか知りませんか!?」

大家「ええ…? いや、私もさっき出てきたばかりだからねぇ…」

男「そうですか…」


男(…女さんはバスで帰る。素直にバス停に向かうなら、こっちだ)

男(くそっ…解らないけど…可能性の濃い方に賭けるしか──)



139 :名無しさん :2014/03/29(土)22:24:16 ID:oBWUSsnVZ


………



コタツ「ごめんなさい…男さん」


コタツ(……自分が原因で持ち主が困るなんて)

コタツ(家電製品失格ですよね…)


コタツ(本当は二手に別れて女さんを探せたらいいのに)

コタツ(…それさえもできない)


コタツ「……?」


コタツ(なんだろう…アパートの裏が、明るい──)



140 :名無しさん :2014/03/29(土)22:24:45 ID:oBWUSsnVZ


………



女「………」トボトボ

女(…追いかけて来る気がして、わざと別の方向に来ちゃった)

女(こっちからだと、バス停より駅に行った方が早いかな…)


『…女さんだから、心配したんだ』


女(…どの口が言ったのよ)

女(でも…もしあの娘が本当に良い仲で、部屋の中かどこかに隠れてたんだとしたら)

女(そして私がいない…隙あらば出てくるように決めてたとしたら)


『──やっぱりついていこうか?』


女(…あんな事、言わない気がする)



141 :名無しさん :2014/03/29(土)22:25:20 ID:oBWUSsnVZ


女(コタツだとか変な言い訳してたけど、本当は親戚の娘だったりするのかも…?)

女(…希望的観測かな)


女(でも私、あの時カッとなって…まともに説明する間も与えなかった)

女(もし本当に勘違いだったら?)

女(今引き返して話を聞けば、ごめんなさいで済む話だったら…?)


…ピタッ


女(だけど…やっぱり私が先走って、それをからかわれてただけだったら…)

女「………」ギュッ…


『──本当、さっきの玄関でのやりとり、いいお笑い種ね』

『どうぞコタツさんとぬくぬくしてたら!? さよならっ!』


女(…だめだよ、やっぱり今日はもう顔なんか──)



142 :名無しさん :2014/03/29(土)22:25:57 ID:oBWUSsnVZ


──ウウウウウゥゥゥゥ…カンカン…


女(…なんだろ、消防車?)

女(そういえばこの前、空き巣や放火があったとか言ってたなぁ…)


女(……あれ?)ハッ


女(さっきの…アパートから走って出てきた人、本当に何してたんだろう…?)

女(……まさか…まさか、ね)

女「………」…クルッ


女(万一って考えたら、心配だから)

女(そう…仕方がないんだよ。これで男くんにもしもの事があったら、後味悪すぎるもん)

女(別に、仲直りしたいわけじゃないけど──)



143 :名無しさん :2014/03/29(土)22:26:49 ID:oBWUSsnVZ


………



女(ええっと…確か、ここを左だったよね)

女(やだ…またサイレン、近くなってる)

女(ここを曲がれば、アパートが見えるはず──)


「──ショウボウシャ ハ マダコナイノカ!」

「コノアタリ ミチガセマイカラ…」

「コノママジャ ゼンショウ スルゾッ!」


女「嘘…! 本当にアパートが燃えてる…!?」ダッ…

女(…嫌だ…! 男くん…逃げてるよね…!?)



144 :名無しさん :2014/03/29(土)22:27:22 ID:oBWUSsnVZ


大家「建物の裏は枯れ草が多かったからねぇ…」

近所の人「さっきからサイレンの音がするだけじゃないか…なんて事だ」


女「あのっ…! 中に人はっ!?」ハアハア…

大家「知り合いが入居してたのかい? 大丈夫、一階の人はみんな気付いて出てきてるし、二階の人もさっき出掛けてるのを見たから…」

女「二階の人って、『男』って人ですか…!?」


大家「あら、貴女…男くんの知り合いなの? そうよ、彼がさっき出掛けるのを見たの」

女「ああ…良かった……」ホッ…



145 :名無しさん :2014/03/29(土)22:27:22 ID:wLkt9TquJ


コタツううう!




146 :名無しさん :2014/03/29(土)22:28:23 ID:oBWUSsnVZ


大家「そういえば出掛ける時、誰か女の人を探してるって言ってたわ」

女「!!」

大家「もしかして貴女の事だったのかしらね…」


女「あの、その時…男くんは一人だったんですか…?」

大家「そうよ?」

女「まさか…その後、男くん部屋からは誰か出てきましたか?」


大家「いいえ…? あの子、独り暮らしでしょう」


女(……じゃあ、もしかして…!)

大家「…どうしたんだい?」


女「…中に、人がいるかもしれない──!」



147 :名無しさん :2014/03/29(土)22:29:01 ID:oBWUSsnVZ


大家「どういう事なの…!? 男くんの部屋に誰かいるってのかい!?」

女「解らないけど…さっきまではいたんです!」

近所の人「なんてこった、まだ二階の火の手は弱いが…しかし…!」


女「………」グッ


大家「消防はまだ来ないの!?」

近所の人「今、遠くからホースを繋ごうとしてるみたいだ、もう少しかかるだろうな…くそっ」

女(……怖い…けど──!)


ダッ…!


大家「ちょっと!? あんた…!」

近所の人「無茶だ! 戻れ…!」


女(──男くんの悲しい顔なんか…見たくないっ!)



148 :名無しさん :2014/03/29(土)22:29:31 ID:oBWUSsnVZ


………



男「はぁ…」トボトボ…

男(結局、バス停まで行っても見つけられなかったな…)


男(さっきから消防車のサイレンが煩いな…また放火でもあったのか)

男(そういえば、なんかあっちの空が明るいような)


男「あれ…?」

男(携帯…着信があったのか、気付かなかった)

男(大家さん…珍しいな。こんなに何回もどうしたんだ?)


男「……まさかな」

男(でも、なんか胸騒ぎがするような──)



149 :名無しさん :2014/03/29(土)22:30:06 ID:oBWUSsnVZ


………



女(──確かに、二階はまだ火が弱い…これなら…!)

女(この部屋…だったよね)


…ドンドンッ!

女「いるのっ!? 返事してっ!」


女(いないのかな……まだこの火の勢いなら、逃げられるはずだもんね…)

女(でも、煙に巻かれてたりしたら…)


…ガチャッ

女(カギ…あいてる…! まさか、やっぱり中に──)



150 :名無しさん :2014/03/29(土)22:30:25 ID:KRAUtTyMo


バッドエンドは勘弁




151 :名無しさん :2014/03/29(土)22:30:36 ID:oBWUSsnVZ


女(…うっ…煙が……でも、まだこれくらいなら)

女「げほっ…誰かいるのっ!?」


コタツ「…女さん…! どうしてっ!?」

女「やっぱり…! 『どうして』はこっちの台詞よっ!」ゲホゲホ

コタツ「だめっ! 入ってきたら煙が…!」

女「ならどうして貴女は逃げないのっ! もういい、入るっ!」


コタツ「だめって言ったのに…!」

女「いいから! 早く出るわよ!」ガシッ



152 :名無しさん :2014/03/29(土)22:31:11 ID:oBWUSsnVZ


コタツ「あの…それが、コンセントが…!」

女「コンセント…?」


コタツ「私は本当にコタツだから…自分でコンセントを抜く事はできないんです…」

女「何をふざけた事……」ハッ


女(この娘のスカート…こたつ布団と同じ模様……その下から、スイッチのついたコード…?)

コタツ「それに…コンセントを抜くと──」

女「意味解んないけど…コンセント抜いて逃げるしかないでしょ!」

コタツ「でも…!」

女「いいからっ! 抜くわよ!」


──プスッ!



153 :名無しさん :2014/03/29(土)22:31:43 ID:oBWUSsnVZ


女「ほら、これでいいんで…しょ……」

女「……えっ…?」


女(…いない……コードの先にはひっくり返ったコタツ…?)

女(まさか…本当に…)


──バリィンッ!ゴオォッ…

女「!!」


女(いけない…! 窓が割れて火が──)



154 :名無しさん :2014/03/29(土)22:31:49 ID:wLkt9TquJ


これはあかん




155 :名無しさん :2014/03/29(土)22:32:24 ID:oBWUSsnVZ


……………
………



男「嘘だろ…おい…」

男「二階まで火の海って…それを今、消火中って…!」


男「嘘だろっ! あいつは自分でコンセント抜けないんだぞっ…!」

大家「あっ…! 男くん!?」


男「くそっ…!」ダッ…!

大家「男くん!? 何を…やめなさいっ!」

近所の人「ばかもん! 死ぬつもりかっ!」ガバッ!


男「離してくれっ! コタツが…!」

大家「コタツって、何を言ってるの!」

男「くそぉっ! 離せよっ…!」



156 :名無しさん :2014/03/29(土)22:33:32 ID:oBWUSsnVZ


女「──男くんっ!」

男「女さん…!?」


女「あの、私…大丈夫なんだけど一応、救急車に乗らなきゃいけないみたいだから…」

男「ごめん! 後にしてくれ…! まだ部屋にコタツがっ!」

女「あ、なんかそれムカつく」イラッ


男「そんな事言ってる場合じゃ…!」

女「ふーん…結局、救急車に乗る私よりそこに置いといたコタツさんの方が大事なんだ」

男「そんなの比べてるわけ…じゃ……そこに置いてる?」


女「あーあ、私がどれだけ危ない目にあってまでコタツさんを助けに行ったと思ってんのよ?」

男「助けた…女さんが…? じゃあ…」


女「消防士さんが間に合わなかったら死んでたんだからねっ、私も──」

男「女さん…!」

女「──そこの塀のところにある『彼女』も」



157 :名無しさん :2014/03/29(土)22:33:57 ID:oBWUSsnVZ


……………
………


…二週間後


女「前の部屋よりは綺麗だね」


男「でも隣の部屋の音、すっごい聞こえるんだ…やっぱ月極めアパートなんてそんなもんなのかな」

女「贅沢言わないの、次の部屋が見つかるまででしょ?」

男「まあね…」


女「しかし部屋の中、備え付けの物以外は空っぽだねー」

男「持ち物ほとんど燃えちゃったからな」

女「何にも無い部屋の真ん中に…」

男「ぽつーんとコタツ、なんか変な感じ」



158 :名無しさん :2014/03/29(土)22:34:27 ID:oBWUSsnVZ


女「あれから、コタツさんは?」

男「……まだ、何にも」

女「そっか」


男「でも、きっとその内またヒョコッと出てくると思うんだ」

女「本当…そうだったらいいね」

男「大丈夫だよ」

女「…うん」



159 :名無しさん :2014/03/29(土)22:34:47 ID:oBWUSsnVZ


男「女さん、本当に何度も言うけどさ…」

女「もう『ありがとう』は充分聞きましたー」

男「…ありがとう」


女「天板だけ、変わっちゃったね」

男「でもサイズはピッタリだよ」

女「ふふっ…オトコの人の部屋にしては、薄ピンクでちょっと可愛いけど」

男「うん」

女「気に入ってくれるよ、きっと」



160 :名無しさん :2014/03/29(土)22:35:16 ID:oBWUSsnVZ


男「…女さんがコンセントを抜いた瞬間、あいつは消えたんだよな」

女「そうだったよ?」


男「つまりたぶん、電源が入ってなきゃ人型にはなれなかったんだろうと思うんだ」

女「うーん…」

男「外出に興味が無いのは本当かもしれないけど、コンセントを抜くのを嫌がったのはそのせいもあるんじゃないかな」


女「でも、今はコンセント刺してるんだよね…」

男「そうだけど、きっと充電中なんだよ」

女「充電式のコタツかぁ」


男「俺さ…コタツに待機電力があるのかは知らないけど、前の冬は一人暮らし始めたばっかでマメにコンセント抜いてたんだ」

女「…この冬は?」

男「横着してずっと刺しっぱなし。だからアイツ、姿を現せたんじゃないかな──」



161 :名無しさん :2014/03/29(土)22:35:36 ID:oBWUSsnVZ





《──バレましたか、やりますね》






162 :名無しさん :2014/03/29(土)22:36:12 ID:oBWUSsnVZ


男「!?」

女「男くん…今の聞こえた…?」


《まだ姿は変えられないけど、一週間経ってようやく声だけ伝えられるようになりましたよー》


男「コタツなのか…!?」

《それ以外だったらこの月極めアパートはお化け屋敷ですね》

女「似たようなものじゃないかな…」

《あっ、女さんひどいです》



163 :名無しさん :2014/03/29(土)22:36:36 ID:oBWUSsnVZ


男「ははっ…まじか、お前…また出てくるのか!」


《まだもう少しかかりますけど、また役立たず形態になりますよー》


男「……はあ…安心したら、なんか気が抜けたよ」

女「良かった…良かったね…!」

男「うん……さっきは当てずっぽうで言ってたけど、本当はもう無理なんじゃないかと思ってた」


《あらあら…女さんがいるのに、そんなに私に会いたかったんですか? 女さん、男さんは私に首ったけかもです》

女「家電に負ける気はありませーん」



164 :名無しさん :2014/03/29(土)22:37:00 ID:oBWUSsnVZ


《あははっ…冗談です、私は家具ですから》

男「持ち主の生活を豊かにする事が幸せだ…って?」

《そういう事です。ちょっと小さめだけど、二人で使って下さいね?》


男「じゃあ、お前がまた姿を現すまでに買っといてやるよ」

《……何をです?》

女「なるほど、三本目だね?」

男「正解、今度は三人でパーティーゲームするからな──」


《──はいっ!》





【おしまい】



165 :名無しさん :2014/03/29(土)22:38:03 ID:RhtZh63PT


乙!



167 :名無しさん :2014/03/29(土)22:44:23 ID:0Y1Ad4cUB


乙!
ハッピーエンド無茶苦茶良かった!!
コタツも女も不幸にならなくて良かった



168 :名無しさん :2014/03/29(土)22:46:52 ID:bnrtqt3aO


乙!
コタツが息を吹き返して良かった



170 :名無しさん :2014/03/29(土)22:49:36 ID:K23q1EklX


よかったよ



171 :名無しさん :2014/03/29(土)22:58:09 ID:7jN0hbRip


良SS記念age



172 :名無しさん :2014/03/29(土)23:18:35 ID:ZvCpVC373


>>1乙



.

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

  1. 2014/03/31(月) 09:17:36|
  2. 擬人化SS
  3. | コメント:4

戦友達の屍を越えて(原題/俺「生存率1億分の1以下…か」)



1 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:29:11 ID:qQ8jI7Nw


俺「いずれ来るんだろうな」

友「ああ…最近、かなりサイクルが早いみたいだ」


俺「その時が来て欲しいような、まだ先でいいような」

友「ま、オレ達がどうこうできるハナシじゃないさ」

俺「…そうだな」



2 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:29:57 ID:qQ8jI7Nw


モブA「おい、オレ達の小隊に集合命令が出てるぞ」

友「!!」

俺「まじかよ…今、話してたばかりだぜ」


モブB「オレ…やだよ、だって全滅が当たり前だって言うじゃねえか」

友「……そりゃ、オレだって怖いさ」

俺「でも、ここにこのままいたって一緒だ」



3 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:30:38 ID:qQ8jI7Nw


モブA「そうだ…今はまだ若い精子、でもすぐに劣化していって……」

友「その内、老廃物……オレはその方が御免だ」

俺「友……」


友「俺、オレは征くぞ。なに…どんなに狭き門だろうと、挑まなければ通れるわけがないんだ!」

モブA「友…その通りだ」

モブB「ごめん…オレ、覚悟するよ! お前達と同期でよかった!」


俺「よし──」

友「俺…?」


俺「──征こう、オレ達の死に場所へ」



4 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:31:52 ID:qQ8jI7Nw


小隊長「総員! 整列っ!」


ビシィッ!


小隊長「…ご苦労、諸君。尻尾を休めて聞きたまえ」

男(いつもと雰囲気が違うな…普段なら『休め』なんて言わない)


小隊長「訓練の定時ではないこの時間に集合を呼びかけた…その時点で皆、察してはおろう」

小隊長「…つい先刻、前立腺(ジェネレーター)が初期拍動の兆候を見せたとの報告があった」



5 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:32:53 ID:qQ8jI7Nw


隊員「おお…遂に…!」

ザワザワ…ザワザワ…


小隊長「騒ぐな! …なに、知らなかったわけではあるまい」

小隊長「何しろ、ここ最近の出撃サイクルは非常に早い」

小隊長「それは言うまでも無く、我々の主たる『男』が二十数年の童貞生活に終止符を打ったからだ」


モブC「お言葉ですが小隊長殿! 我が主『男』は以前より右手の活用に余念はありませんでした!」

ドッ!アハハハハ…
…ソウダ、ソウダ!ミギテハトモダチー!



6 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:34:12 ID:qQ8jI7Nw


小隊長「…静まれ! ……だが、この期に及んでなお、下らん野次を飛ばせる貴様らを頼もしく思う」


小隊長「状況は以前とは違う」

小隊長「主たる『男』は現在、恐るべき頻度で恋仲であり脱童貞の相手でもある『幼馴染』との性交渉を行っておる」

小隊長「右手による演習訓練とはわけが違うのだ……解ろうな?」


俺(つまり、本当に卵子に突入できるチャンスもあるって事だ)

俺(……オレ達は無駄死にすると決まったわけじゃない)



7 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:35:30 ID:qQ8jI7Nw


小隊長「その出撃サイクルの早さ故に、貴様らに充分な訓練を受けさせたとは言えん」

小隊長「正直、もっと…貴様らをしごきヌキたかった──」


ザワザワ…ショウタイチョー
…ナイテル…?


小隊長「──騒ぐなっ!」

小隊長「例え訓練が不足していようとも…! 貴様らがいかに若きヒヨッコであろうとも…!」

小隊長「貴様らはワシが誇る精鋭、一騎当千の兵と信じる!」


俺(小隊長…)ウルッ



8 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:36:23 ID:qQ8jI7Nw


伝令兵「報告いたします! 前立腺の大規模拍動を確認! 間もなく分泌液が押し寄せますっ!」


小隊長「すでにこの竿(ふね)は作戦区域(膣内)に突入しているっ! 端部潤滑液(カウパーリキッド)の分泌量も上々だ!」


ドパッ!ザアアアアァァァッ!
ゴゴゴゴゴゴ…!


俺(あれがオレ達が乗る分泌液…! これだけ頻繁に排出しておいて、なんて量だ…!)


小隊長「挑むは…戦うは、まさに今ぞ! 奮え、勇士よ! 総員、出撃体勢っ!」

隊員「おおおおおおぉぉぉぉぉっ!!!!」



俺(いいだろう…分泌液は今、俺を飲み込み──)



俺(──精液に変わる──!)



9 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:37:04 ID:qQ8jI7Nw


──発射10秒前

波動砲充填20%──


俺「くっ…他の小隊よりも前に出なければっ!」

友「俺っ! こっちだ!」

俺「友…! どこだ、友っ!?」


ライバル「はっ! モタついてんじゃねえよ!」

俺「ライバル…! お前の小隊も出撃していたとはなっ!」

ライバル「俺よ、悪いが貴様が受精する事は無いぜ」

俺「ぬかせっ…!」



10 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:38:06 ID:qQ8jI7Nw


──発射8秒前

波動砲充填50%──


俺「くそ…完全に友とはぐれちまった…!」

俺(かなり前にはきたが…)

俺(ライバルの姿も見えない…あいつの実力なら、先頭に近いところにいるはずだ──)


………



兄『──なあ、俺…重荷を背負わせて悪いが、いつか出撃したら…オレの分まで戦ってくれよな』

俺『な、何を言ってんだよ。…兄貴だって戦うために生まれてきたんだろ』

兄『ははっ…知ってるだろ? 産出される精子の数パーセントは不良品だ』

俺『兄貴…』


兄『不良品の精子は受精しても、うまく分裂できない……それを避けるために、早く死ぬ運命だ』

俺『兄貴は不良品なんかじゃ…!』

兄『いいんだよ、俺…。もう尻尾の先は老廃物化しようとさえしてる…自分の事は自分で解るさ──』



11 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:39:05 ID:qQ8jI7Nw


──発射6秒前

波動砲充填70%──


俺(オレは…)

俺「負けるわけには、いかないんだ…!」ピチピチッ!

ライバル「くっ…こいつ! 食らいついて来やがるっ…!」


モブD「周囲の温度が変わってきたぞ!」

モブE「発射口に近いんだ…いよいよか」


俺(確かに、周りの壁が軟質化してきてる)

俺(おそらく亀頭部に達してるんだ…)

俺(あとは尿道との合流弁がいつ動作するか…!)



12 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:40:55 ID:qQ8jI7Nw


──発射4秒前

波動砲充填90%──


俺(しまった…周りの密度が高すぎる…!)

俺(波動砲は最大で120%まで加圧される…このままじゃ、潰されちまう!)

俺(どこか隙間は…!?)キョロキョロ


俺(…あった! あそこへ逃げ込めば…!)ピチピチッ


ライバル「甘えんだよっ!」ババッ!

俺「ライバルッ! 貴様…!」

俺(くそ…先を越されるなんてっ!)

俺(でも、ライバルが悪いわけじゃない…みんな生き残るのに必死なんだ)


…ギュウウウウゥゥゥッ!


俺(く…そ……意識…が…)

俺(ここ…までか──)



13 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:41:59 ID:qQ8jI7Nw


──発射2秒前

波動砲充填100%──


友「──俺っ!」ドンッ!

俺「うわっ…!?」ピチッ


俺(何が起こった…!? 幾分隙間があるところへ押し出されたが…)


──ハッ!


俺「……友っ!?」

友「くっ……」


ギュウウウゥゥゥゥッ!


俺(馬鹿な! 友が俺のいたところに…!)

友「……生きろ…俺…」

俺「友っ! 今行く…! くそっ、よけてくれっ! 友ぉっ!」ピチピチピチッ



14 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:42:52 ID:qQ8jI7Nw


──発射1秒前

波動砲充填120%──


友「うわああああぁぁぁぁぁっ!!!」

モブ多数「ぎゃあああっ! つ…潰れるうううぅぅっ!!!」


──プチッ
プチプチプチッ!


──波動砲充填限界

生存者ハ耐衝撃体勢ヲトレ

繰返ス、生存者ハ──


俺「友おおおおおぉぉぉぉっ!!!!」


──波動砲

発   射   !!!



15 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:44:03 ID:qQ8jI7Nw


……………
………



俺(……ここは…どこだ)

俺(暖かい…まるで母の胎内のようだ)

俺(俺は…死んだのか…?)

俺(…友は……?)


俺「友…? ……友っ!?」パチッ


俺「………いない…」


俺「そうだ…ここは、膣内…俺は…友の、兄貴のためにも」

俺「ここで倒れるわけにはいかないんだっ!!!」



16 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:44:42 ID:qQ8jI7Nw


モブF「ぎゃあああぁぁぁっ! なんだ…こいつらはああぁぁっ!?」


俺「!?」


モブF「うわあああぁぁぁぁ……! たす…け…て……」ジュウウウウゥゥゥゥ…

俺「なっ…!? 体が溶けて…!」


ライバル「ボーッとするな!  そいつに触れたら死ぬぞ!」

俺「ライバル! 生きていたのか!」

ライバル「くそっ…どうやら、主…『男』はオレ達を見限ったようだぜ」

俺「どういう事だ…?」

ライバル「お前にはアレが見えないのか」


俺「……!!」



17 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:45:21 ID:qQ8jI7Nw


俺(何だ…あの壁はっ!)

俺(全方位を囲んで…オレ達の進撃を阻んでいる…!)


ライバル「聞いた事くらいはあるだろう…あれが『絶対防御壁(ゴム)』だ。…オレも見るのは初めてだがな」

俺「あれが…ゴム…」


モブG「ぎゃああああぁぁぁっ!」ジュウウウウゥゥゥッ


ライバル「そしてあのオレ達を溶かす物体は、ゴムに塗布された殺精子ゼリー!触れたら終わりだぞっ!」ピチピチッ


俺(何て事だ…! でも、それじゃいくら逃げても…!)

俺(くそっ! 『男』はただ快楽のためにオレ達を利用したってのか…)


俺(受精させる気も…!)

俺「……戦う事を許す気も無いってのかよぉっ!」



18 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:46:14 ID:qQ8jI7Nw


──フワリ…


俺(…風? こんな閉ざされた空間で、どこから)

俺(でも間違いない、どこかから吹いてくる)

俺(風が吹くなら…どこかに出口があるはずだ…!)ピチピチッ


ライバル(アイツも気付いたようだな…)ピチピチッ


俺(どこだっ!? どこに出口が…!?)


──ヒュウウゥゥッ


俺「!!」

俺(あった…! 円形の穴が空いてる…!)


ライバル「ハハッ…! どうやら『男』がオレ達を見限っても『女神』は見捨てなかったようだな!」

俺「女神…?」

ライバル「あれは人為的に空けられた『針穴(トラップホール)』だよ…! 『幼馴染』の仕業だろうな!」



19 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:47:09 ID:qQ8jI7Nw


俺「くそっ…しかし殺精子ゼリーの布陣が濃い…これじゃあ近づけない!」

ライバル「チッ…情けねえ、ついて来い!」ピチピチッ

俺「なっ…よせ! ライバル! 死ぬ気かっ!」ピチピチッ


ライバル「殺精子ゼリー、心も持たぬ無機物の兵士よ…! 道を──」

俺「ライバルーーーッ!」

ライバル「──開けろおおおぉぉぉっ!!!」


グチャアッ!
バキッ!ドロッ!ジュウウウウゥゥゥ…



20 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:48:04 ID:qQ8jI7Nw


ライバル「…早く…行けっ……このウスノロ…め…」ジュウウウゥゥ…


俺「なぜ…なぜだっ! ライバル!」

ライバル「ふんっ…勘違いする…な……オレは…さっき一度、ゼリーに触れて…いたんだ…」ジュウウウゥゥ…ブスンッ…ブスッ

俺「…そんな……」


ライバル「尻尾が…焼け落ちる前に…ここをクリアにでき…て…良かった…ぜ…」ボロッ…ボロボロッ…

俺「ライバルッ! 崩れ落ちて…!」


ライバル「さあ…早く……行けっ! オレの死を無駄にしないでくれ…! イクんだ…俺……頼…む──」サアアアァァァ…


俺「ライバルーーーッ!!!」



21 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:48:38 ID:qQ8jI7Nw


俺「ライバル……」

俺「友……兄貴……」

俺「みんな……」


俺「オレは…必ず、受精してみせるっ!!!」

俺「例え主の意思がどうであろうとも……!」

俺「避妊なんか…許さないっ!」


俺「待ってろ…卵子…!」


──みんな、俺を


俺「うおおおおおぉぉぉぉっ!!!!」ピチピチッ


見守ってくれ──



22 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:49:14 ID:qQ8jI7Nw


──この日の戦いは後に『壁越えの聖戦』と呼ばれ、永く歴史に刻まれる事となる


戦死者1億1284万8635名

任務達成者1名


後年明らかとなった破られし壁は『超うす12個入(小さめ用)』だった


無論、穴は人為的に穿けられたものであり、決して商品の質に問題は無い──



23 : ◆M7hSLIKnTI:2014/03/26(水) 12:49:46 ID:qQ8jI7Nw


──三ヵ月後


幼馴染「責任とってよね」

男「あい」



【End】



25 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/03/26(水) 12:59:31 ID:M1h4LZA6


静かな場所で読むんじゃなかった…



26 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/03/26(水) 13:26:29 ID:mZj4gA0o


>小さめ用
あっ…(察し)



27 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/03/26(水) 13:52:01 ID:IWYd.zDs


ウディ・アレンかなwwwwwwwwwww
Everything You Always Wanted to Know About Sex

これ読んでひっさびさに動画見てきたわwwwwwwwwww



31 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/03/26(水) 15:28:53 ID:PsLekaVk


感動した



.

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

  1. 2014/03/26(水) 15:50:18|
  2. 擬人化SS
  3. | コメント:4
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